あけましておめでとうございます。
今年刊行予定のSF・ファンタジイ作品ラインナップの一部をご案内いたします。読書計画の参考としていただければ幸いです。
ここに紹介した以外にも新作や名作の復刊・新訳など、東京創元社は今年も続々と良質のSFをご紹介してまいります。
本年もご愛読のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
(タイトルは一部を除き仮題です)
■秋田禎信『ノーマンズ・ソサエティー』
「人は望めばいつでも、今の人生をやめられます。ご安心ください。あなたはいつでも安全に転生できます」。記憶をリセットする技術が発達し、不都合があればすぐに以前の人格と記憶を捨て、新たな人間に生まれ変わることが常識となった、近未来の社会。27歳の医者である俺は、数度目となる転生処置を終えた後、死神めいた女と出会う。その夜、俺は彼女や仲間とともに、掘った穴の底へ死体を投げ捨てた夢を見る。この夢は、消したはずの転生前の記憶だった……。〈魔術士オーフェン〉の著者が描く、記憶をめぐる『トータル・リコール』+『インセプション』SF。
■石川宗生『吉田同名』
3年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏(30代、妻と男子ひとり)は、降りた駅から自宅玄関までのあいだで一瞬にして19329人となった――第7回創元SF短編賞を受賞した表題作を始め、突然真っ二つになった家で暮らし続ける家族とその観察に没頭する人々を描く「半分世界」など四編を収録するデビュー短編集。
■円城塔『円城塔短編集』
2008年刊の年刊日本SF傑作選『虚構機関』に収録された第五十回群像新人文学賞二次選考通過作「パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語」と翌2009年刊の『超弦領域』に異例の書き下ろしで収録された数学ハードSF「ムーンシャイン」の二編に、書き下ろし三編を加えた計五編を収録。
■G・ウィロー・ウィルソン『無限の書』
Alif the Unseen by G. Willow Wilson/鍛治靖子 訳(2月下旬刊行)
中東の専制国家でハッカーとして生きる青年アリフは、大砂嵐が吹き荒れる日、政府の検閲官〈ハンド〉にハッキングされて追われる身となる。同時期に別れを告げられた恋人に託された謎の古写本――存在するはずのないその本には、人間が知るべきではない知識が隠されているという。アリフは異界に足を踏み入れ、世界を一変させる本の秘密に近づいてゆく……。魔術的世界と現代ネットワーク社会が融合する、世界幻想文学大賞受賞の傑作SFファンタジイ!
■ウィル・ワイルズ『ウェイ・イン』
The Way Inn by Will Wiles/茂木健 訳(3月刊行)
出口のないホテル、謎の支配人、壁に掛けられた異様な抽象画、そして運命の女――他人の名前でホテルを渡り歩く男が遭遇する異様な一夜に始まる恐怖。J・G・バラード『ハイ・ライズ』+スティーヴン・キング『シャイニング』ともいうべき巨大建築幻想譚!
■山本弘『君の知らない方程式 BISビブリオバトル部』(四六判並製)
美心国際学園(BIS)高等部に入学した伏木空は恐るべきSFマニア。内向的で、SFへの情熱を誰にも口にできない彼女だったが、同級生の埋火武人に誘われ、 ビブリオバトル部に入部する。夏合宿、他校との交流試合などを経て、読書の喜び、 SFの素晴らしさを他に伝える活動に、だんだんと自信をつけていく空。そして、そんな空に恋心を抱くひとりの少年がいた――大人気シリーズ最新刊。
■J・G・バラード『J・G・バラード短編全集』2~4巻
柳下毅一郎 監修/浅倉久志 他訳(四六判上製)
『結晶世界』『ハイ・ライズ』などの傑作群で、叙事的な文体で20世紀SFに独自の境地を拓いた鬼才の、日本初の短編全集。本邦初訳作品およびこの機に新訳・改訳にあらためた作品も多数含む全97編を、発表順に5巻に集成。第2巻~第4巻を1月・5月・9月にそれぞれ刊行予定。
■ピーター・ワッツ『エコープラクシア 反響動作』上下
Echopraxia by Peter Watts/嶋田洋一 訳(創元SF文庫、1月下旬刊行)
太陽系外縁で宇宙船〈テーセウス〉が異星の知性体と接触してから7年――消息を絶ったはずの同船から届いた謎の通信を巡り、地球では集合精神を構築するカルト教団、軍用ゾンビを従えた人類の亜種・吸血鬼(ホモ・サピエンス・ヴァンピリス)ら、超越知性たちがそれぞれの思惑を持って動き出す。星雲賞など全世界7冠制覇『ブラインドサイト』の続編にして、自由意志と神の本質に迫る究極のハードSF。現代版『ソラリス』ともいうべき世紀の傑作、待望の邦訳!
■ロイス・マクマスター・ビジョルド『マイルズの旅路』
Cryoburn by Lois McMaster Bujold/小木曽絢子 訳(創元SF文庫、2月下旬刊行)
惑星「キボウダイニ」で開催された人体冷凍術の蘇生会社主催の会議で拉致され、さんざんな目に遭ったマイルズ。偶然出会った少年に助けられるが……。大人気シリーズ最新刊。
■ダリル・グレゴリイ『アフターパーティ』上下
Afterparty by Daryl Gregory/小野田和子 訳(創元SF文庫、3月刊行)
自殺した少女が残した言葉「ヌミナス」……それは神経科学者だったライダが10年前に開発し、葬った新薬の名。その薬には脳そのものを物理的に改変する効果があり、過剰摂取した者にとっての現実と自我を大きく揺るがす恐るべき副作用があったのだ。自らも過剰摂取の犠牲となっていたライダは、真相を求めて元同僚の足跡を追う。イーガン、チャン、ワッツに続く気鋭が、最新脳科学の知見を駆使して脳と意識の謎に迫る傑作SF!
■キム・スタンリー・ロビンスン『ブルー・マーズ』上下
Blue Mars by Kim Stanley Robinson/大島豊 訳(創元SF文庫、4月刊行)
【ヒューゴー賞・ローカス賞受賞】火星全土に吹き荒れた独立の嵐により、地球の治安部隊はついに軌道エレヴェーターの上端にある宇宙ステーション、ニュー・クラークへと追いやられる。一滴の血も流されることなく、革命は成功するかに思われた。だが穏健派が国連暫定統治機構と交渉している最中、過激な一分派が軌道エレヴェーターにミサイル攻撃を開始した! 第一次火星革命の悪夢がまた繰り返されるのか?『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』に続く火星SFの金字塔、ついに三部作完結!
■シルヴァン・ヌーヴェル『眠れる星の巨人』上下
Sleeping Giants by Sylvain Neuvel/佐田千織 訳(創元SF文庫)
アメリカの片田舎で偶然発見された、明らかに人類の遺物ではないイリジウム合金製の巨大な「手」と、謎の記号群が刻まれたパネル。分析の結果、それらは6000年前に地球外知的生命体が何らかの理由で残していった、巨大な人型ロボットのパーツであることが判明する。そして、謎の人物「インタビュアー」の指揮のもと、地球全土に散らばっている全パーツの回収・調査計画が極秘に始動した――。個人出版から即映画化決定、新感覚の巨大ロボットSF!
■ジョー・ウォルトン『私のほんとうの子供たち』上下
My Real Children by Jo Walton/茂木健 訳(創元SF文庫)
もしあのとき結婚していたら/していなかったら――89歳の老女の回想は、22歳の時の決断を境に大きく分岐する。まったく対照的な波瀾万丈の道筋をたどる、ひとりの女性のふたつの人生の行き着く先は。『図書室の魔法』《ファージング》三部作の著者が放つ、感動の幻想小説。
■田中芳樹『水晶宮の死神』(四六判仮フランス装)
エドモンド・ニーダムと姪のメイプルが務める会員制の貸本屋に、ある日、写真機を抱えた挙動不審な青年が現れた。壁に並ぶ本に興味を示すわけでもなく、幼い少女を執拗に観察する彼を不審に思ったニーダムが声をかけると、青年はオックスフォードで数学教師をしているチャールズ・ラトヴィッジ・ドジスンだと名乗った――ヴィクトリア朝怪奇冒険譚三部作、最終巻!
■真園めぐみ『玉妖綺譚2 異界の庭』(創元推理文庫、2月刊行)
相棒の玉妖くろがねが眠りについて以来、半人前の駆妖師彩音は十分な仕事ができずにいた。そんな折難波コレクションの玉妖で唯一会ったことのない蒼秀に会えるとの知らせが。異界に詳しい蒼秀ならばくろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれないと、期待を胸に蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねる。心の傷を隠して事件に挑む彩音は過去を清算し、相棒を取り戻すことができるのか。
■佐藤さくら『魔導の福音』(創元推理文庫、3月刊行)
エルミーヌの王都にある王立学院で学んでいたカレンスは、父危篤の知らせを受け急ぎ故郷に帰った。五年前、仲のよかった妹が魔物棲みだとわかり若い命を散らしたとき、守ってやることもできず、逃げるように都に向かったのだ。久しぶりの故郷。だがいまわの際の父が彼に託したのは、余りに重い秘密だった。魔導が禁忌とされてきた北の大国エルミーヌを舞台に、偏見や因習と闘い新たな道を切り開く青年の姿を描く『魔導の系譜』続編。
■廣嶋玲子『青の王』(四六判仮フランス装、4月刊行)
魔族に守られた国ナルマーンでは、王族は魔族を使役して国を護り、贅沢な暮らしをしていた。そんなナルマーンの首都で泥棒の疑いをかけられ殺されかけた少年ハルーンは、とある塔に辿り着く。その塔には一人の少女が閉じ込められていた。自分の名前もしらないというその不思議な少女とともに塔を脱出、運良くとおりかかった翼船の女船長に助けられる。だがナルマーンの軍が彼らのあとを追いかけてきた。『妖怪の子預かります』シリーズの著者の異世界ファンタジー。
■羽角曜『エディンヌの末裔』(創元推理文庫、今夏刊行)
古の都エディムーン。滅びたエディムーンの都は“忌み地”としてその上には封印の館が建てられ生涯そこから出ることができない“守り人”が置かれた。館が建てられて200年、守り人グレヴィルは孤独に耐えかねて……。第一回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞『影王の都』の著者のデビュー第二作。
■廣嶋玲子〈妖怪の子預かります〉シリーズ4&5巻(創元推理文庫、6月・12月刊行)
今日も賑やかな太鼓長屋。妖怪子あずかり屋の弥助のもとに小さな女の子が父親に手を引かれてやってきた。事情があって、その子を預かってほしいのだという。承知したのはいいが、女の子はまったく口をきかず、隠れたまま出て来ようともしない。いったいこの子に何があったのか? 大好評シリーズ最新刊。
■シャンナ・スウェンドソン『フェアリーテイル1』
A Fairy Tale by Shanna Swendson/今泉敦子 訳(創元推理文庫、4月刊行)
田舎街町ら女優を夢見てニューヨークに出てきたエミリー。念願かなって代役で主役を獲得、一躍脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、エミリーの姉ソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精の世界を何度も訪れたことがあったから。なんしても妹を救い出さなくては。とはいえ、警察に話しても信じてはもらえまい。エミリーの友人の刑事マイケルの追求をかわしつつ、ソフィーは妹を探し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、ロマンティックな現代のフェアリーテイル開幕。
■エドワード・ケアリー『穢れの町』〈アイアマンガー三部作2〉
Faulsham by Edward Carey/古屋美登里 訳(四六判上製、5月刊行)
驚天動地のラストで読者の度肝を抜いた『堆塵館』。その〈アイアマンガー三部作〉第二巻『穢れの町』では、クロッドとルーシーのその後の運命、アイアマンガー一族の変化、が語られる。
■ケルスティン・ギア『ジルバー 第一の夢の書』
Silber - Das erste Buch der Träume by Kerstin Gier/遠山明子 訳(四六判並製、秋刊行)
新しい家に新しい生活。胸をふくらませてロンドンの空港に降り立ったオリビア、大学教授のママが毎年大学を移るせいで、引越をくりかえしていたが、今度の勤め先はオックスフォード。一家はロンドン郊外のコテージを借りて憧れの田舎暮らしをするはずだった。ところがママは勝手に町中のアパートに変更してしまったのだ! そのアパートがあるのはママの新しい恋人の住んでいる地区。そんな頃、オリビアは奇妙な夢を見るようになった。度重なる奇妙な夢の真相を探ろうと、オリビアは探り始めるが……。〈時間旅行者(タイムトラベラー)の系譜〉シリーズで人気の著者の最新作。
■フランシス・ハーディング『嘘の木』
The Lie Tree by Frances Hardinge/児玉敦子 訳(四六判、10月刊行)
牧師で博物学者を尊敬し、自分も学問に興味を持つ少女フェイス。父はかつて生物学上重要な化石を発見し世間の注目を浴びたのだが、スキャンダルに巻き込まれ、一家は夜逃げ同然に街を出て、ベイン島に渡ってきた。島の発掘現場に父が協力することになったのだ。だが、スキャンダルはここまで一家を追いかけてきた。なんと世紀の発見と注目された父の化石が偽物だというのだ。フェイスは父を信じようと思ったが、その矢先父が謎の死を遂げる。当初は自殺と思われたが、フェイスは父は殺されたのだと確信していた。父がなぜ、誰に殺されたのかを探るうちに、フェイスは父の残した書類から〈偽りの木〉という植物のことを知る……。コスタ賞受賞の傑作登場!
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今年刊行予定のSF・ファンタジイ作品ラインナップの一部をご案内いたします。読書計画の参考としていただければ幸いです。
ここに紹介した以外にも新作や名作の復刊・新訳など、東京創元社は今年も続々と良質のSFをご紹介してまいります。
本年もご愛読のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
(タイトルは一部を除き仮題です)
《創元日本SF叢書》(四六判仮フランス装)
■秋田禎信『ノーマンズ・ソサエティー』
「人は望めばいつでも、今の人生をやめられます。ご安心ください。あなたはいつでも安全に転生できます」。記憶をリセットする技術が発達し、不都合があればすぐに以前の人格と記憶を捨て、新たな人間に生まれ変わることが常識となった、近未来の社会。27歳の医者である俺は、数度目となる転生処置を終えた後、死神めいた女と出会う。その夜、俺は彼女や仲間とともに、掘った穴の底へ死体を投げ捨てた夢を見る。この夢は、消したはずの転生前の記憶だった……。〈魔術士オーフェン〉の著者が描く、記憶をめぐる『トータル・リコール』+『インセプション』SF。
■石川宗生『吉田同名』
3年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏(30代、妻と男子ひとり)は、降りた駅から自宅玄関までのあいだで一瞬にして19329人となった――第7回創元SF短編賞を受賞した表題作を始め、突然真っ二つになった家で暮らし続ける家族とその観察に没頭する人々を描く「半分世界」など四編を収録するデビュー短編集。
■円城塔『円城塔短編集』
2008年刊の年刊日本SF傑作選『虚構機関』に収録された第五十回群像新人文学賞二次選考通過作「パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語」と翌2009年刊の『超弦領域』に異例の書き下ろしで収録された数学ハードSF「ムーンシャイン」の二編に、書き下ろし三編を加えた計五編を収録。
《創元海外SF叢書》(四六判仮フランス装)
■G・ウィロー・ウィルソン『無限の書』
Alif the Unseen by G. Willow Wilson/鍛治靖子 訳(2月下旬刊行)
中東の専制国家でハッカーとして生きる青年アリフは、大砂嵐が吹き荒れる日、政府の検閲官〈ハンド〉にハッキングされて追われる身となる。同時期に別れを告げられた恋人に託された謎の古写本――存在するはずのないその本には、人間が知るべきではない知識が隠されているという。アリフは異界に足を踏み入れ、世界を一変させる本の秘密に近づいてゆく……。魔術的世界と現代ネットワーク社会が融合する、世界幻想文学大賞受賞の傑作SFファンタジイ!
■ウィル・ワイルズ『ウェイ・イン』
The Way Inn by Will Wiles/茂木健 訳(3月刊行)
出口のないホテル、謎の支配人、壁に掛けられた異様な抽象画、そして運命の女――他人の名前でホテルを渡り歩く男が遭遇する異様な一夜に始まる恐怖。J・G・バラード『ハイ・ライズ』+スティーヴン・キング『シャイニング』ともいうべき巨大建築幻想譚!
単行本・創元SF文庫の注目作
■山本弘『君の知らない方程式 BISビブリオバトル部』(四六判並製)
美心国際学園(BIS)高等部に入学した伏木空は恐るべきSFマニア。内向的で、SFへの情熱を誰にも口にできない彼女だったが、同級生の埋火武人に誘われ、 ビブリオバトル部に入部する。夏合宿、他校との交流試合などを経て、読書の喜び、 SFの素晴らしさを他に伝える活動に、だんだんと自信をつけていく空。そして、そんな空に恋心を抱くひとりの少年がいた――大人気シリーズ最新刊。
■J・G・バラード『J・G・バラード短編全集』2~4巻
柳下毅一郎 監修/浅倉久志 他訳(四六判上製)
『結晶世界』『ハイ・ライズ』などの傑作群で、叙事的な文体で20世紀SFに独自の境地を拓いた鬼才の、日本初の短編全集。本邦初訳作品およびこの機に新訳・改訳にあらためた作品も多数含む全97編を、発表順に5巻に集成。第2巻~第4巻を1月・5月・9月にそれぞれ刊行予定。
■ピーター・ワッツ『エコープラクシア 反響動作』上下
Echopraxia by Peter Watts/嶋田洋一 訳(創元SF文庫、1月下旬刊行)
太陽系外縁で宇宙船〈テーセウス〉が異星の知性体と接触してから7年――消息を絶ったはずの同船から届いた謎の通信を巡り、地球では集合精神を構築するカルト教団、軍用ゾンビを従えた人類の亜種・吸血鬼(ホモ・サピエンス・ヴァンピリス)ら、超越知性たちがそれぞれの思惑を持って動き出す。星雲賞など全世界7冠制覇『ブラインドサイト』の続編にして、自由意志と神の本質に迫る究極のハードSF。現代版『ソラリス』ともいうべき世紀の傑作、待望の邦訳!
■ロイス・マクマスター・ビジョルド『マイルズの旅路』
Cryoburn by Lois McMaster Bujold/小木曽絢子 訳(創元SF文庫、2月下旬刊行)
惑星「キボウダイニ」で開催された人体冷凍術の蘇生会社主催の会議で拉致され、さんざんな目に遭ったマイルズ。偶然出会った少年に助けられるが……。大人気シリーズ最新刊。
■ダリル・グレゴリイ『アフターパーティ』上下
Afterparty by Daryl Gregory/小野田和子 訳(創元SF文庫、3月刊行)
自殺した少女が残した言葉「ヌミナス」……それは神経科学者だったライダが10年前に開発し、葬った新薬の名。その薬には脳そのものを物理的に改変する効果があり、過剰摂取した者にとっての現実と自我を大きく揺るがす恐るべき副作用があったのだ。自らも過剰摂取の犠牲となっていたライダは、真相を求めて元同僚の足跡を追う。イーガン、チャン、ワッツに続く気鋭が、最新脳科学の知見を駆使して脳と意識の謎に迫る傑作SF!
■キム・スタンリー・ロビンスン『ブルー・マーズ』上下
Blue Mars by Kim Stanley Robinson/大島豊 訳(創元SF文庫、4月刊行)
【ヒューゴー賞・ローカス賞受賞】火星全土に吹き荒れた独立の嵐により、地球の治安部隊はついに軌道エレヴェーターの上端にある宇宙ステーション、ニュー・クラークへと追いやられる。一滴の血も流されることなく、革命は成功するかに思われた。だが穏健派が国連暫定統治機構と交渉している最中、過激な一分派が軌道エレヴェーターにミサイル攻撃を開始した! 第一次火星革命の悪夢がまた繰り返されるのか?『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』に続く火星SFの金字塔、ついに三部作完結!
■シルヴァン・ヌーヴェル『眠れる星の巨人』上下
Sleeping Giants by Sylvain Neuvel/佐田千織 訳(創元SF文庫)
アメリカの片田舎で偶然発見された、明らかに人類の遺物ではないイリジウム合金製の巨大な「手」と、謎の記号群が刻まれたパネル。分析の結果、それらは6000年前に地球外知的生命体が何らかの理由で残していった、巨大な人型ロボットのパーツであることが判明する。そして、謎の人物「インタビュアー」の指揮のもと、地球全土に散らばっている全パーツの回収・調査計画が極秘に始動した――。個人出版から即映画化決定、新感覚の巨大ロボットSF!
■ジョー・ウォルトン『私のほんとうの子供たち』上下
My Real Children by Jo Walton/茂木健 訳(創元SF文庫)
もしあのとき結婚していたら/していなかったら――89歳の老女の回想は、22歳の時の決断を境に大きく分岐する。まったく対照的な波瀾万丈の道筋をたどる、ひとりの女性のふたつの人生の行き着く先は。『図書室の魔法』《ファージング》三部作の著者が放つ、感動の幻想小説。
単行本・創元推理文庫(F)のファンタジイ注目作
■田中芳樹『水晶宮の死神』(四六判仮フランス装)
エドモンド・ニーダムと姪のメイプルが務める会員制の貸本屋に、ある日、写真機を抱えた挙動不審な青年が現れた。壁に並ぶ本に興味を示すわけでもなく、幼い少女を執拗に観察する彼を不審に思ったニーダムが声をかけると、青年はオックスフォードで数学教師をしているチャールズ・ラトヴィッジ・ドジスンだと名乗った――ヴィクトリア朝怪奇冒険譚三部作、最終巻!
■真園めぐみ『玉妖綺譚2 異界の庭』(創元推理文庫、2月刊行)
相棒の玉妖くろがねが眠りについて以来、半人前の駆妖師彩音は十分な仕事ができずにいた。そんな折難波コレクションの玉妖で唯一会ったことのない蒼秀に会えるとの知らせが。異界に詳しい蒼秀ならばくろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれないと、期待を胸に蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねる。心の傷を隠して事件に挑む彩音は過去を清算し、相棒を取り戻すことができるのか。
■佐藤さくら『魔導の福音』(創元推理文庫、3月刊行)
エルミーヌの王都にある王立学院で学んでいたカレンスは、父危篤の知らせを受け急ぎ故郷に帰った。五年前、仲のよかった妹が魔物棲みだとわかり若い命を散らしたとき、守ってやることもできず、逃げるように都に向かったのだ。久しぶりの故郷。だがいまわの際の父が彼に託したのは、余りに重い秘密だった。魔導が禁忌とされてきた北の大国エルミーヌを舞台に、偏見や因習と闘い新たな道を切り開く青年の姿を描く『魔導の系譜』続編。
■廣嶋玲子『青の王』(四六判仮フランス装、4月刊行)
魔族に守られた国ナルマーンでは、王族は魔族を使役して国を護り、贅沢な暮らしをしていた。そんなナルマーンの首都で泥棒の疑いをかけられ殺されかけた少年ハルーンは、とある塔に辿り着く。その塔には一人の少女が閉じ込められていた。自分の名前もしらないというその不思議な少女とともに塔を脱出、運良くとおりかかった翼船の女船長に助けられる。だがナルマーンの軍が彼らのあとを追いかけてきた。『妖怪の子預かります』シリーズの著者の異世界ファンタジー。
■羽角曜『エディンヌの末裔』(創元推理文庫、今夏刊行)
古の都エディムーン。滅びたエディムーンの都は“忌み地”としてその上には封印の館が建てられ生涯そこから出ることができない“守り人”が置かれた。館が建てられて200年、守り人グレヴィルは孤独に耐えかねて……。第一回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞『影王の都』の著者のデビュー第二作。
■廣嶋玲子〈妖怪の子預かります〉シリーズ4&5巻(創元推理文庫、6月・12月刊行)
今日も賑やかな太鼓長屋。妖怪子あずかり屋の弥助のもとに小さな女の子が父親に手を引かれてやってきた。事情があって、その子を預かってほしいのだという。承知したのはいいが、女の子はまったく口をきかず、隠れたまま出て来ようともしない。いったいこの子に何があったのか? 大好評シリーズ最新刊。
■シャンナ・スウェンドソン『フェアリーテイル1』
A Fairy Tale by Shanna Swendson/今泉敦子 訳(創元推理文庫、4月刊行)
田舎街町ら女優を夢見てニューヨークに出てきたエミリー。念願かなって代役で主役を獲得、一躍脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、エミリーの姉ソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精の世界を何度も訪れたことがあったから。なんしても妹を救い出さなくては。とはいえ、警察に話しても信じてはもらえまい。エミリーの友人の刑事マイケルの追求をかわしつつ、ソフィーは妹を探し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、ロマンティックな現代のフェアリーテイル開幕。
■エドワード・ケアリー『穢れの町』〈アイアマンガー三部作2〉
Faulsham by Edward Carey/古屋美登里 訳(四六判上製、5月刊行)
驚天動地のラストで読者の度肝を抜いた『堆塵館』。その〈アイアマンガー三部作〉第二巻『穢れの町』では、クロッドとルーシーのその後の運命、アイアマンガー一族の変化、が語られる。
■ケルスティン・ギア『ジルバー 第一の夢の書』
Silber - Das erste Buch der Träume by Kerstin Gier/遠山明子 訳(四六判並製、秋刊行)
新しい家に新しい生活。胸をふくらませてロンドンの空港に降り立ったオリビア、大学教授のママが毎年大学を移るせいで、引越をくりかえしていたが、今度の勤め先はオックスフォード。一家はロンドン郊外のコテージを借りて憧れの田舎暮らしをするはずだった。ところがママは勝手に町中のアパートに変更してしまったのだ! そのアパートがあるのはママの新しい恋人の住んでいる地区。そんな頃、オリビアは奇妙な夢を見るようになった。度重なる奇妙な夢の真相を探ろうと、オリビアは探り始めるが……。〈時間旅行者(タイムトラベラー)の系譜〉シリーズで人気の著者の最新作。
■フランシス・ハーディング『嘘の木』
The Lie Tree by Frances Hardinge/児玉敦子 訳(四六判、10月刊行)
牧師で博物学者を尊敬し、自分も学問に興味を持つ少女フェイス。父はかつて生物学上重要な化石を発見し世間の注目を浴びたのだが、スキャンダルに巻き込まれ、一家は夜逃げ同然に街を出て、ベイン島に渡ってきた。島の発掘現場に父が協力することになったのだ。だが、スキャンダルはここまで一家を追いかけてきた。なんと世紀の発見と注目された父の化石が偽物だというのだ。フェイスは父を信じようと思ったが、その矢先父が謎の死を遂げる。当初は自殺と思われたが、フェイスは父は殺されたのだと確信していた。父がなぜ、誰に殺されたのかを探るうちに、フェイスは父の残した書類から〈偽りの木〉という植物のことを知る……。コスタ賞受賞の傑作登場!
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