こうしてイギリスから熊がいなくなりました
みなさんこんにちは。先日は『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』ゲラ版読者モニター募集にたくさんのご応募ありがとうございました! 予想を大幅に上回るご応募をいただき、とても嬉しかったです!


そして抽選で選ばれたモニターのみなさんから、素晴らしいご感想コメントをたくさんいただきました。うーん、めちゃめちゃ面白いご感想ばかりですね。すべて拝読し、翻訳された田内志文先生にもお送りさせていただきました。この記事では、そのほんの一部を抜粋してご紹介させていただきます。


*読者モニターさんの声*

本当におもしろかったです。
ファンタジー? 歴史ミステリー? 童話? 熊たちのビジネス書? 傑作コント集? 命知らずたちの生物図鑑?
どこの位置にもいられる稀有な1冊だと思いました。
(菜月さん)

さすがはアガサ・クリスティ、コナン・ドイルやJ・K・ローリングを生み出したイギリスの物語。熊と人にまつわるエピソードをファンタジックかつリアリティに描いた今作はある時は子供への絵本、またある時は歴史本として名を残すでしょう。
(木星ひつじさん)

熊には、ちょっとおかしくて、もの悲しい雰囲気があります。ちょっとしたほら話も、熊なら、熊がかかわるのなら、まああるのではないかと思わせる包容力がある。そういうのがイギリスの雰囲気と非常に組み合わせがよく、隅々まで楽しめました。
豊富なイラストもついていて、「紙で手に取っておきたくなる感」も豊富。満喫しました。
(えんじさん)

話の途中や終わりに描かれているデイヴィッド・ロバーツさんのイラストが合っていて、各話の雰囲気を際立たせていて鳥肌が立つこともありました。
このミック・ジャクソンさんの「独特さ」は他の人には無い魅力であり、それが今作にもちゃんとあると思いました。
(只今小説熟読中さん)

人とは違う“もの”を受け入れて、共生している文化。 とても興味深かったです。
大人向けの上質な童話(…と言ってよいのでしょうか?)だと思いました。何度か読み返したいです。
(acoさん)

素直に面白かったです。人に薦めたくなります。
大人のための寓話とは言い得て妙で、単なるメルヘンではなく、端から端までファンタジーでもなく、時に現実的であり、良い意味で乾いた哀愁が読後感として残りました。
(湊 宗一郎さん)

これをユーモアやアイロニーと捉えるか、人間の傲慢さを感じ取るか、人によって思うことは違うのかもしれません。たっぷりのデイヴィッド・ロバーツのイラストが時には微笑ましく時には哀愁を帯びて物語を引き立てます。
奇妙な味のお話がお好きな方は期待を裏切らないと思います。是非手に取って欲しいです。
(aquamarineさん)

熊に感情移入して読むと人嫌いが大量発生してしまいそうになる。けれども軽快な語り口が、そこまで悲観的な想いを抱かせない。やられたらやり返す、でもヒトよりはよっぽど人情味あふれる熊たち。
(30代女性の方)

とてもユーモラスなのに、漂うのは悲しくて切ない。読んでいてときに苦しくなる。
寓話とは、現実への痛烈な批判であり皮肉である。ワハハと笑って読み進めていくなかで、少しずつ心に切なさが突き刺さってくる。自分を熊に置き換えて読むと、とても身につまされる。
(タカラ~ムさん)

ここで語られる熊はもっと人間に近く重く、パディントンやプーさんのような愛らしさはないけれどもどこか愛着を覚える熊たちでした。
熊たちは何も語らないのに人の心が見えてくる。そんな物語でした。
(フレちゃんさん)

サーカスの熊、人の罪を引き受ける熊、下水で暮らす熊…本当に当時、イギリス都市部でそのような生活をした熊たちがいたのだろうか? まるで実際にそんな熊たちが存在したかのように作品に没入してしまう、不思議な熊ファンタジー作品でした。
(Zさんさん)

実写映画化を果たしたパディントン、今年九月に公開予定のクマのプーさん……次々と可愛らしい熊のキャラクターを生み出してきたイギリス。そんな国の熊が既に絶滅しているということを、知らない人は多いと思います。
事実を知り、ショックを受ける人がいたら、「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」を最後まで読むよう薦めたいです。
(真田海帆さん)

『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』、たいへん面白く拝読いたしました。 魅力的かつおそろしかったりつらかったりする設定の数々、人間とのさまざまなかかわり、これを読んで自分たちの生活や周囲のものごとを想起するかたも多いと思います。熊たちはもちろん熊であるのですが、人のようにも精霊のようにもとれて、そのあたりのバランスも好きでした。
(mmsさん)

森で、村で、町で、サーカスで、下水で、ロンドンで、物語の中のイギリスにはありとあらゆる場所にクマがいる。
このクマたちが何を意味するのか、それは読むものそれぞれが想像することだろう。この物語は寓話でありミック・ジャクソンの世界観は楽しかった。
この物語は寓話であり幻想だが、ちょっとクマのことを好きになった。
(クマにあったことのない猟師さん)

熊は、イギリスにとって、畏怖され、恐怖であり、しかし、嫌悪の存在であり、神話的であり、虐殺される可能性がある存在である事は、今の排他的民族間の差別的な隠喩に安易に置き換えられる?いや、熊だ。熊は生き、それに関わる人間次第で熊本来の動物的本能をぶつけてくる。寓話なのか、隠喩の高望みか、はたして、読み手に委ねられる。
(えるろいさん)

熊と人間の関わりを描いたいくつものエピソードがどことなく可笑しみがあって、意地悪っぽい捻くれ方をしていて、とてもオフビートで読んでいて心地よさを感じた。
(森の熊さんさん)

まるで人間のような熊たちと熊のような人間たち。わが邦の『なめとこ山の熊』をも何処か彷彿とさせます。人間にいい様に使われ虐められてきた熊たちは何だか大人しくて、儚いと言っても言いぐらいの存在感。でも暗さや悲しみではなく、不思議とおかしみがある、これが彼らに残っていた野性の逞しさなのかしら、とか。
(田中目八さん)

寓話というと教訓が頭に浮かぶが本作では皮肉の面が強く表れている。SF短編を読み終えた時のようなブラックな笑いが読後に襲ってくる。まさに大人のための寓話であった。
(haz3さん)

ここで描かれている熊はイングランドそのものであり、イングランドの、特に底辺の人々です。それをユーモラスに描くことに成功しています。その成功に寄与しているのが、寓話のような語り口であり、また、(エドワード・ゴーリーを思わせる)イラストであることは疑いないでしょう。
イングランドで、すでに失われた熊に想いを馳せるとき、何が失われたか、何を覆い隠されたかを考えさせられる一冊でした。
(40代男性の方)


* * *


ほんとうに想像力をかきたてられるご感想ばかりですね! みなさまありがとうございました。『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』は8月10日ごろ発売です。どうぞお楽しみに!!

■あらすじ
これは、イギリスで絶滅してしまった熊に捧げる、大人のための寓話です。
昔々、森を徘徊する悪魔だと恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べたせいで、故人の罪を引き受けてしまった「罪喰い熊」。人間の服を着て綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道に閉じこめられ、町の汚物を川まで流す労役につかされた「下水熊」。人間に紛れて潜水士として働く「市民熊」。ブッカー賞最終候補作家が、皮肉とユーモアを交えて独特の筆致で描く8つの奇妙な熊の物語。

『10の奇妙な話』『モンタギューおじさんの怖い話』のデイヴィッド・ロバーツのイラストを多数収録!


(2018年8月7日)



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