この女、災難まみれ。
湿地沿いの町でCIA工作員を困惑させる
事件! 動物!! 婦人会!?
読めばたちまちファンになる、型破りミステリ・シリーズ!
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作家や評論家の推薦を受けて世に出る本は多々あります。書店員や読者のおすすめコメントが載った本もよく見ますね。しかし、「校正者絶賛!」という本は、寡聞にして知りません。本にたずさわるプロフェッショナルであるのですから、あっても不思議ではないのですが。本書『ワニの町へ来たスパイ』は、校正が終わってゲラ刷りを戻してもらう際、「面白かった!」と言ってもらえた(毎回ではないので言ってもらえるとうれしい)、「校正者絶賛!」の一冊です。
本書の主人公レディング(通称ミス・フォーチュン)はCIAの秘密工作員……ひらたくいうとスパイです。海外での潜入任務でちょっぴり(いや、かなり)暴れて帰国すると、思わぬなりゆきで一時的な潜伏を命じられます。ハイヒールを武器がわりにして何十人もの敵を血祭りにあげられるような戦闘のプロである彼女が向かうのは、アメリカ南部ルイジアナ州にある、ワニのいる湿地に囲まれた人口数百の小さな町シンフル。ミスコンの常連で、編みものが趣味の図書館司書になりすましての「潜入」です(無理!)
退屈とヒマに殺される覚悟で町に降り立ったフォーチュンを待っていたのは、しかし彼女の予想を大幅に裏切る事態でした。新たな住まいとなる家の裏手で人骨を発見してしまい、パワフルなおばあちゃんコンビ(町を仕切っているという噂の婦人会メンバー)にその人骨の件を一緒に調査するよう強制され、おかげで保安官助手(ちょっとイイ男)には要注意人物としてマークされ……自らの正体がバレないよう、静かに暮らすつもりが、どうしてこうなったのか。
持ち前の強固なプロ意識とけたはずれの体力(と少しの知力)にものをいわせ、事態を打開しようとするフォーチュンの奮闘をお楽しみください。ちなみに本書はアメリカでは10作目まで刊行されている大人気シリーズの第1作で、できるかぎり長く続けたいと思っています。皆さん、どうか応援してください。まずは本書をお読みいただければ、たちまちファンになっていただけるはずですので。
ジャナ・デリオン『ワニの町へ来たスパイ』は12月11日発売予定です。
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潜入任務で暴れすぎたために、敵から狙われる身となった超凄腕CIA秘密工作員のわたし。ルイジアナの小さな町で、自分と正反対の女性になりすまし潜伏するつもりが、到着するなり保安官助手に目をつけられ、住む家の裏の川で人骨を発見してしまう。そのうえ町を牛耳る老婦人たちに焚きつけられ、しかたなく人骨事件の真相を追うことに……。型破りなミステリ・シリーズ第一弾。
(2017年12月5日)
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