貴族探偵の優美な活躍
奇抜な謎を鮮やかに解決!
クリスティと並び称される“ミステリの女王”の
傑作中短編7編を収録



創元推理文庫では、数年前から定評のある名作・傑作の数々を、新訳または新版化し、読みやすくリニューアルしてきました。本書『ピーター卿の事件簿』もその一冊です。

ドロシー・L・セイヤーズの創造した名探偵ピーター・ウィムジイ卿は10の長編と21の中短編に登場しますが、その中短編の中から7編を選んだ本書は、怪奇趣味あふれる謎に対し、比較的オーソドックスな「名探偵」として挑むピーター卿の活躍が味わえる作品がそろっています。古き佳き英国ミステリの雰囲気は満点といえましょう。

今回、新版として世に出すに当たり、著作権者の諒解を得て一部の固有名詞を変更しました。いちばん大きな変更点は、これまで「ウィムジー」表記だったピーター卿のファミリーネームを「ウィムジイ」としたこと。その他、故・浅羽莢子先生の訳された長編の表記にそろえる方針で修正を加えています。

また、戸川安宣氏の解説「ピーター卿と生みの親セイヤーズ」は、本文と著作リストに最新の情報を反映し、旧版刊行時から大幅アップデートしたものを掲載しています。

そして、最初に目につくのはなんといっても新カバーでしょう。人気イラストレーター・丹地陽子さんの描くピーター卿が、本書に新たな彩りを与えてくれました。ぜひ、実物を手に取って細部(アイテムの数々に注目!)をじっくりご覧いただきたいと思います。

ドロシー・L・セイヤーズ『ピーター卿の事件簿』は10月30日発売予定です。


クリスティと並び称されるミステリの女王セイヤーズが創造したピーター・ウィムジイ卿は、従僕を連れた優雅な青年貴族として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間的に大きく成長、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はその貴族探偵の活躍する中短編から「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、代表的な秀作7編を選んだ作品集である。

(2017年10月26日)




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