風変わりなひとびと(と動物)が住む、
農業大学のある町の、おかしな事件たち
カツラが告げる事件の開幕!?
殺人事件に選挙騒ぎまで起きる、
〈シャンディ教授〉シリーズ第4作
『にぎやかな眠り』『蹄鉄ころんだ』『ヴァイキング、ヴァイキング』に続く〈シャンディ教授〉シリーズ新版第4作となる『猫が死体を連れてきた』の登場です。
今回の舞台は秋。これまでの作品にも脇役として登場した、シャンディ家の家政婦ローマックス夫人が大きな役割を果たします。家政婦としての仕事のほか、家では下宿人をひとり、猫を一匹お世話している彼女のもとに、ある朝その飼い猫が下宿人――大学を退官し現在は名誉教授となっているアングレー老人――のかつらをくわえて現れるのです。
かつらの主にバレないよう、あわててこっそり返しにいったローマックス夫人ですが、名誉教授は部屋に見つかりません。外までさがしに出たところ、当の本人は博物館になる予定のクラブハウス(とは名ばかりの、貧相な建物)の裏手で死んでいました。夫人が第一発見者となったのです。
警察に信頼をおいていないローマックス夫人は、「名探偵」としての名声が高まりつつあるシャンディ教授の出馬を要請します。一見事故に思えた名誉教授の死ですが、シャンディが現場をざっと調べただけで不審な点がぼろぼろ見つかるあたりからして、どうやらまたも殺人事件のようです。
あまり頼りにならないオッターモール署長(と思いきや、今回は意外な一面を見せてもくれます)を助けて、いざ調査開始……というところで、大学のほうにも問題が発生。バラクラヴァ郡選出の国会議員を決める選挙のいざこざに、不本意なかたちで巻きこまれることになったのです。例によってスヴェンソン学長にこちらのトラブルの解決も押しつけられたシャンディ教授は、いかなる知恵で事態を打破するのか……?
シリーズ四作目ということで、レギュラーキャラクターの再登場あり、新たな顔が明らかになったりと、作品世界の広がりを感じられる一冊です。あたたかみのあるユーモアはもちろん健在。どうぞお読みいただき、楽しいひとときをお過ごしください。
『猫が死体を連れてきた』は4月28日発売予定です。
秋を迎えたバラクラヴァの町で、新たな騒動の始まりを告げたのは、シャンディ教授の家政婦ローマックス夫人の飼い猫がくわえてきたかつらだった。かつらの主アングレー名誉教授をさがしに出た夫人は、博物館の裏手で彼の死体を発見する。一見事故のようにも思われたが、夫人の要請で駆けつけたシャンディが少し調べただけで、おかしな点が次々に見つかり……。好評シリーズ第四弾。
風変わりなひとびと(と動物)が住む、
農業大学のある町の、おかしな事件たち
相次ぐ変事はヴァイキングの石碑の呪い!?
事件も騒動もパワーアップした、
〈シャンディ教授〉シリーズ第3作
『にぎやかな眠り』『蹄鉄ころんだ』に続く〈シャンディ教授〉シリーズ新版第3作となる『ヴァイキング、ヴァイキング』の登場です。
バラクラヴァの町にほど近いホースフォール農場。地元の新聞『週刊バラクラヴァ郡フェイン・アンド・ペノン』の記者クロンカイトが、農場の持ち主である104歳(!)の女性ヒルダにインタビューをしにいくところから今回の物語はスタートします。
インタビューの最中、近くにはるか昔ヴァイキングが立てたとされるルーン文字の石碑があると聞いたクロンカイトは、帰りがけに見物していくことに。ところがその途中で、農場の作男が事故で死んだ現場に出くわします。
しかし、使い慣れているはずの機械に巻きこまれたこと、ふだん農作業に使わない生石灰(せいせっかい)が死因となったことなど、不審な点がいくつもありました。となれば、近頃「名探偵」としての評判が高まりつつある、シャンディ教授にご出馬ねがうのは当然のなりゆきです。
教授の捜査と並行して、おなじみスヴェンソン学長とそのおじスヴェンによるルーン石碑の調査もおこなわれますが、さらに現場付近で事故が相次いだことで、一連の変事は石碑の……ヴァイキングの呪いではないか? と噂がたち、やじ馬が大挙して押しよせることとなります。はたして教授たちは、見事やじ馬を撃退し、事件の謎を解き明かすことができるのか?
おなじみとなりつつある騒動あり、104歳(もうすぐ105歳)のヒルダと102歳のスヴェンという超高齢者同士のロマンスありの、今回も安心して楽しめる作品です。表紙に描かれているとおり、牛・馬・ドーベルマンといった動物たちも大暴れしますので、そちらにもご注目ください。
〈シャンディ教授〉シリーズ、次回は4月に第4作『猫が死体を連れてきた』の新版を刊行します。引きつづきお楽しみください。
『ヴァイキング、ヴァイキング』は2月22日発売予定です。
地元紙の記者クロンカイトは、104歳の女性ヒルダへの取材で農場を訪れたあと、近くにあるというルーン石碑を見にいくが、途中で作男の死亡事故に遭遇してしまう。農場周辺ではその後も“事故”が続き、ヴァイキングの呪いが原因かとうわさがたつなか、シャンディ教授は右往左往しつつもやじ馬撃退と事件解決をめざす。温かなユーモア満載の、心から楽しめる傑作ミステリ第三弾。解説=宮脇孝雄
風変わりなひとびと(と動物)が住む、
農業大学のある町の、おかしな事件たち
美しすぎる豚の誘拐に、殺人!?
事件も騒動もパワーアップした、
〈シャンディ教授〉シリーズ第2作
10月に刊行した『にぎやかな眠り』に続く〈シャンディ教授〉シリーズ新版第2作となる本書『蹄鉄ころんだ』は、前作から数か月が経過した、春が舞台のお話です。
バラクラヴァの町は、年に一回の馬の競技会(蹄鉄投げ、鋤競争、裸馬レースなど、馬に関するあらゆる競技がおこなわれる)を間近にひかえ、浮き足だっていました。豪放なスヴェンソン学長の指揮のもと、バラクラヴァ農業大学はこれまで近隣のライバルを寄せつけず、常勝を誇っていましたが、今年はどうも雲行きが怪しい。
大学の馬房にある蹄鉄をすべてひっくり返して置くという、不幸のおまじないを何者かがしたせいなのか、近くの貴金属工芸店でシャンディ教授夫妻を巻きこむ盗難事件が起きたのを皮切りに、装蹄師(ひづめの手入れをはじめ、あらゆる馬の世話をする仕事)の女性フラックレーが殺され、畜産学部長ストット教授が愛情こめて育てた巨大で美しい雌豚・ベリンダは誘拐されてしまいます。
こうして競技会直前に立てつづけに起きた事件を早急に解決すべく、シャンディ教授はふたたび捜査に励むことに。前作から事件も、ユーモアもさらにスケールアップした愉快なミステリ、ぜひお楽しみください。うるわしの雌豚・ベリンダがどーんと描かれた表紙が目印です。
〈シャンディ教授〉シリーズ、次回は2016年2月に第3作『ヴァイキング、ヴァイキング』を、4月には第4作『猫が死体を連れてきた』の新版を刊行します。引きつづきお楽しみください。
『蹄鉄ころんだ』は12月12日発売予定です。
生涯の伴侶を得て、幸せいっぱいのシャンディ教授を新たな騒動が襲う。貴金属工芸店での強奪事件に巻きこまれたのを皮切りに、同僚が愛情こめて育てた美しい雌豚は誘拐され、殺人まで起きてしまう。すべては不幸のおまじない──何者かが逆さに打ちつけた馬房の蹄鉄のせいなのか? 年に一度の馬の競技会が迫るなか、教授は捜査に励む。温かな笑いに彩られた傑作ミステリ第二弾。
風変わりなひとびと(と動物)が住む、
農業大学のある町の、おかしな事件たち
アガサ賞生涯功労賞作家マクラウドの描く
〈シャンディ教授〉シリーズ第1作は、
とにかく騒がしすぎるクリスマスの物語!
シャーロット・マクラウドを代表する傑作〈シャンディ教授〉シリーズが装いを新たにして登場です。
1978年に刊行され、マクラウドの出世作となった『にぎやかな眠り』を第1作とするこのシリーズでは、農業大学のある田舎町バラクラヴァで起こる事件に、大学関係者や地元住民、そして動物たちがその都度巻きこまれ、人のいい中年の大学教授であるピーター・シャンディが毎回解決に奔走します。
……こうして設定だけ抜き出すと『動物のお医者さん』『銀の匙』といった、やはり動物の出てくる日本のマンガを連想するかたがいらっしゃるかもしれません。それらの作品と同様に、いわゆるユーモアやコージー・ミステリ読者だけでなく、あらゆる読者が楽しめる、万人に愛されるタイプの傑作です。
第1作『にぎやかな眠り』は、そのバラクラヴァの町が一年で最高のにぎわいを見せるクリスマスのお話。日本でも近年増えてきた、きらびやかなイルミネーションを駆使した飾りつけを町ぐるみでおこなうことが評判となって見物客が押し寄せ、毎年たいへんな騒ぎになります。そのことを苦々しく思っていたシャンディ教授がついに我慢の限界に達し、嫌がらせ目的でまわりの家々を物量ともに凌駕する、悪趣味でどはでなイルミネーションを自宅に設置して旅に出るところから始まります。さすがに良心がとがめ、旅行を早々に切りあげて帰宅した教授がみつけたのは、友人の大学教授の妻で、おせっかいで有名な女性の死体でした……
人がよくて温厚な(でもちょっと変わったところのある)シャンディ教授、耳の遠い友人エイムズ教授、とにかく存在感のあるスヴェンソン学長夫妻、そして「あの女性」といった、今後レギュラー出演者となるキャラクターの初登場作であり、またミステリとしても素直によくできている作品ですので、少しでも気になったかたはぜひ、手に取ってみてください。
「面白いのは読んでいるから知ってるよ」と思われたかた、じつは新しくなっているのは加藤木麻莉さんによるシャンディ教授が描かれたカバーだけではありません。今回の刊行にあわせ、翻訳者の高田惠子さんには、大幅に訳文を見なおしていただきました。もちろん作品の魅力はそのままに、訳文をリフレッシュしてお届けいたします。
本年6月には〈セーラ・ケリング〉シリーズ最新作となる『おかしな遺産』を本邦初訳で、9月にはそちらのシリーズ第1作『納骨堂の奥に』を復刊フェアで刊行と、マクラウド作品のラッシュが続きますが……じつはこれでおしまいではありません。
冒頭で「〈シャンディ教授〉シリーズが装いを新たに」と書いたように、このあと12月には第2作『蹄鉄ころんだ』を、2016年2月には第3作『ヴァイキング、ヴァイキング』を、やはり新装して刊行します。二か月に一度のお楽しみにしていただければさいわいです。
『にぎやかな眠り』は10月30日発売予定です。
農業大学のある田舎町バラクラヴァに、今年もクリスマスがやってきた。町をあげての浮かれ騒ぎを見に、群衆が押し寄せる季節が。毎年の喧噪に業を煮やした大学教授のシャンディは、自宅をどぎつく飾りたて旅に出るが、それが事件を招いてしまう。戻ってきたわが家で、友人の妻が変死していたのだ! アガサ賞生涯功労賞作家が贈る、万人に愛された傑作ミステリ・シリーズ第一弾。
【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】
海外ミステリの専門出版社|東京創元社
農業大学のある町の、おかしな事件たち
カツラが告げる事件の開幕!?
殺人事件に選挙騒ぎまで起きる、
〈シャンディ教授〉シリーズ第4作
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『にぎやかな眠り』『蹄鉄ころんだ』『ヴァイキング、ヴァイキング』に続く〈シャンディ教授〉シリーズ新版第4作となる『猫が死体を連れてきた』の登場です。
今回の舞台は秋。これまでの作品にも脇役として登場した、シャンディ家の家政婦ローマックス夫人が大きな役割を果たします。家政婦としての仕事のほか、家では下宿人をひとり、猫を一匹お世話している彼女のもとに、ある朝その飼い猫が下宿人――大学を退官し現在は名誉教授となっているアングレー老人――のかつらをくわえて現れるのです。
かつらの主にバレないよう、あわててこっそり返しにいったローマックス夫人ですが、名誉教授は部屋に見つかりません。外までさがしに出たところ、当の本人は博物館になる予定のクラブハウス(とは名ばかりの、貧相な建物)の裏手で死んでいました。夫人が第一発見者となったのです。
警察に信頼をおいていないローマックス夫人は、「名探偵」としての名声が高まりつつあるシャンディ教授の出馬を要請します。一見事故に思えた名誉教授の死ですが、シャンディが現場をざっと調べただけで不審な点がぼろぼろ見つかるあたりからして、どうやらまたも殺人事件のようです。
あまり頼りにならないオッターモール署長(と思いきや、今回は意外な一面を見せてもくれます)を助けて、いざ調査開始……というところで、大学のほうにも問題が発生。バラクラヴァ郡選出の国会議員を決める選挙のいざこざに、不本意なかたちで巻きこまれることになったのです。例によってスヴェンソン学長にこちらのトラブルの解決も押しつけられたシャンディ教授は、いかなる知恵で事態を打破するのか……?
シリーズ四作目ということで、レギュラーキャラクターの再登場あり、新たな顔が明らかになったりと、作品世界の広がりを感じられる一冊です。あたたかみのあるユーモアはもちろん健在。どうぞお読みいただき、楽しいひとときをお過ごしください。
『猫が死体を連れてきた』は4月28日発売予定です。
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秋を迎えたバラクラヴァの町で、新たな騒動の始まりを告げたのは、シャンディ教授の家政婦ローマックス夫人の飼い猫がくわえてきたかつらだった。かつらの主アングレー名誉教授をさがしに出た夫人は、博物館の裏手で彼の死体を発見する。一見事故のようにも思われたが、夫人の要請で駆けつけたシャンディが少し調べただけで、おかしな点が次々に見つかり……。好評シリーズ第四弾。
風変わりなひとびと(と動物)が住む、
農業大学のある町の、おかしな事件たち
相次ぐ変事はヴァイキングの石碑の呪い!?
事件も騒動もパワーアップした、
〈シャンディ教授〉シリーズ第3作
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『にぎやかな眠り』『蹄鉄ころんだ』に続く〈シャンディ教授〉シリーズ新版第3作となる『ヴァイキング、ヴァイキング』の登場です。
バラクラヴァの町にほど近いホースフォール農場。地元の新聞『週刊バラクラヴァ郡フェイン・アンド・ペノン』の記者クロンカイトが、農場の持ち主である104歳(!)の女性ヒルダにインタビューをしにいくところから今回の物語はスタートします。
インタビューの最中、近くにはるか昔ヴァイキングが立てたとされるルーン文字の石碑があると聞いたクロンカイトは、帰りがけに見物していくことに。ところがその途中で、農場の作男が事故で死んだ現場に出くわします。
しかし、使い慣れているはずの機械に巻きこまれたこと、ふだん農作業に使わない生石灰(せいせっかい)が死因となったことなど、不審な点がいくつもありました。となれば、近頃「名探偵」としての評判が高まりつつある、シャンディ教授にご出馬ねがうのは当然のなりゆきです。
教授の捜査と並行して、おなじみスヴェンソン学長とそのおじスヴェンによるルーン石碑の調査もおこなわれますが、さらに現場付近で事故が相次いだことで、一連の変事は石碑の……ヴァイキングの呪いではないか? と噂がたち、やじ馬が大挙して押しよせることとなります。はたして教授たちは、見事やじ馬を撃退し、事件の謎を解き明かすことができるのか?
おなじみとなりつつある騒動あり、104歳(もうすぐ105歳)のヒルダと102歳のスヴェンという超高齢者同士のロマンスありの、今回も安心して楽しめる作品です。表紙に描かれているとおり、牛・馬・ドーベルマンといった動物たちも大暴れしますので、そちらにもご注目ください。
〈シャンディ教授〉シリーズ、次回は4月に第4作『猫が死体を連れてきた』の新版を刊行します。引きつづきお楽しみください。
『ヴァイキング、ヴァイキング』は2月22日発売予定です。
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地元紙の記者クロンカイトは、104歳の女性ヒルダへの取材で農場を訪れたあと、近くにあるというルーン石碑を見にいくが、途中で作男の死亡事故に遭遇してしまう。農場周辺ではその後も“事故”が続き、ヴァイキングの呪いが原因かとうわさがたつなか、シャンディ教授は右往左往しつつもやじ馬撃退と事件解決をめざす。温かなユーモア満載の、心から楽しめる傑作ミステリ第三弾。解説=宮脇孝雄
風変わりなひとびと(と動物)が住む、
農業大学のある町の、おかしな事件たち
美しすぎる豚の誘拐に、殺人!?
事件も騒動もパワーアップした、
〈シャンディ教授〉シリーズ第2作
*
10月に刊行した『にぎやかな眠り』に続く〈シャンディ教授〉シリーズ新版第2作となる本書『蹄鉄ころんだ』は、前作から数か月が経過した、春が舞台のお話です。
バラクラヴァの町は、年に一回の馬の競技会(蹄鉄投げ、鋤競争、裸馬レースなど、馬に関するあらゆる競技がおこなわれる)を間近にひかえ、浮き足だっていました。豪放なスヴェンソン学長の指揮のもと、バラクラヴァ農業大学はこれまで近隣のライバルを寄せつけず、常勝を誇っていましたが、今年はどうも雲行きが怪しい。
大学の馬房にある蹄鉄をすべてひっくり返して置くという、不幸のおまじないを何者かがしたせいなのか、近くの貴金属工芸店でシャンディ教授夫妻を巻きこむ盗難事件が起きたのを皮切りに、装蹄師(ひづめの手入れをはじめ、あらゆる馬の世話をする仕事)の女性フラックレーが殺され、畜産学部長ストット教授が愛情こめて育てた巨大で美しい雌豚・ベリンダは誘拐されてしまいます。
こうして競技会直前に立てつづけに起きた事件を早急に解決すべく、シャンディ教授はふたたび捜査に励むことに。前作から事件も、ユーモアもさらにスケールアップした愉快なミステリ、ぜひお楽しみください。うるわしの雌豚・ベリンダがどーんと描かれた表紙が目印です。
〈シャンディ教授〉シリーズ、次回は2016年2月に第3作『ヴァイキング、ヴァイキング』を、4月には第4作『猫が死体を連れてきた』の新版を刊行します。引きつづきお楽しみください。
『蹄鉄ころんだ』は12月12日発売予定です。
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生涯の伴侶を得て、幸せいっぱいのシャンディ教授を新たな騒動が襲う。貴金属工芸店での強奪事件に巻きこまれたのを皮切りに、同僚が愛情こめて育てた美しい雌豚は誘拐され、殺人まで起きてしまう。すべては不幸のおまじない──何者かが逆さに打ちつけた馬房の蹄鉄のせいなのか? 年に一度の馬の競技会が迫るなか、教授は捜査に励む。温かな笑いに彩られた傑作ミステリ第二弾。
風変わりなひとびと(と動物)が住む、
農業大学のある町の、おかしな事件たち
アガサ賞生涯功労賞作家マクラウドの描く
〈シャンディ教授〉シリーズ第1作は、
とにかく騒がしすぎるクリスマスの物語!
*
シャーロット・マクラウドを代表する傑作〈シャンディ教授〉シリーズが装いを新たにして登場です。
1978年に刊行され、マクラウドの出世作となった『にぎやかな眠り』を第1作とするこのシリーズでは、農業大学のある田舎町バラクラヴァで起こる事件に、大学関係者や地元住民、そして動物たちがその都度巻きこまれ、人のいい中年の大学教授であるピーター・シャンディが毎回解決に奔走します。
……こうして設定だけ抜き出すと『動物のお医者さん』『銀の匙』といった、やはり動物の出てくる日本のマンガを連想するかたがいらっしゃるかもしれません。それらの作品と同様に、いわゆるユーモアやコージー・ミステリ読者だけでなく、あらゆる読者が楽しめる、万人に愛されるタイプの傑作です。
第1作『にぎやかな眠り』は、そのバラクラヴァの町が一年で最高のにぎわいを見せるクリスマスのお話。日本でも近年増えてきた、きらびやかなイルミネーションを駆使した飾りつけを町ぐるみでおこなうことが評判となって見物客が押し寄せ、毎年たいへんな騒ぎになります。そのことを苦々しく思っていたシャンディ教授がついに我慢の限界に達し、嫌がらせ目的でまわりの家々を物量ともに凌駕する、悪趣味でどはでなイルミネーションを自宅に設置して旅に出るところから始まります。さすがに良心がとがめ、旅行を早々に切りあげて帰宅した教授がみつけたのは、友人の大学教授の妻で、おせっかいで有名な女性の死体でした……
人がよくて温厚な(でもちょっと変わったところのある)シャンディ教授、耳の遠い友人エイムズ教授、とにかく存在感のあるスヴェンソン学長夫妻、そして「あの女性」といった、今後レギュラー出演者となるキャラクターの初登場作であり、またミステリとしても素直によくできている作品ですので、少しでも気になったかたはぜひ、手に取ってみてください。
「面白いのは読んでいるから知ってるよ」と思われたかた、じつは新しくなっているのは加藤木麻莉さんによるシャンディ教授が描かれたカバーだけではありません。今回の刊行にあわせ、翻訳者の高田惠子さんには、大幅に訳文を見なおしていただきました。もちろん作品の魅力はそのままに、訳文をリフレッシュしてお届けいたします。
本年6月には〈セーラ・ケリング〉シリーズ最新作となる『おかしな遺産』を本邦初訳で、9月にはそちらのシリーズ第1作『納骨堂の奥に』を復刊フェアで刊行と、マクラウド作品のラッシュが続きますが……じつはこれでおしまいではありません。
冒頭で「〈シャンディ教授〉シリーズが装いを新たに」と書いたように、このあと12月には第2作『蹄鉄ころんだ』を、2016年2月には第3作『ヴァイキング、ヴァイキング』を、やはり新装して刊行します。二か月に一度のお楽しみにしていただければさいわいです。
『にぎやかな眠り』は10月30日発売予定です。
*
農業大学のある田舎町バラクラヴァに、今年もクリスマスがやってきた。町をあげての浮かれ騒ぎを見に、群衆が押し寄せる季節が。毎年の喧噪に業を煮やした大学教授のシャンディは、自宅をどぎつく飾りたて旅に出るが、それが事件を招いてしまう。戻ってきたわが家で、友人の妻が変死していたのだ! アガサ賞生涯功労賞作家が贈る、万人に愛された傑作ミステリ・シリーズ第一弾。
(2015年10月5日/2016年4月5日)
【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】
海外ミステリの専門出版社|東京創元社