●最新刊『声』
クリスマスシーズンで賑わうレイキャヴィクのホテル。ロビーにはクリスマスツリーが設置され、世界中からやってきた観光客たちが次々とチェックインする。そんな賑やかなホテルの地下室で、人知れず一人の男が殺された。
ホテルの元ドアマンだったという地味で孤独な男は、地下にある自室で、サンタクロースの扮装でめった刺しにされていた。
事件を担当するのはエーレンデュルとエリンボルグ、シグルデュル=オーリのチーム。彼らは捜査を進めるうちに、被害者の驚愕の過去を知る。
一人の男の栄光、悲劇、転落……そして死。
幼い頃、弟と吹雪の中で遭難し、自分だけが助かってしまい弟は行方不明のままという、癒やすことのできない心の傷をかかえたエーレンデュル。
自身も家族の悲劇を体験した捜査官エーレンデュルが到達した真実とは。
全世界でシリーズ累計1000万部突破。2016年翻訳ミステリー大賞・読者賞をダブル受賞。家族の在り方を描き続ける著者の、『湿地』『緑衣の女』に続くシリーズ第3弾。
●『緑衣の女』
幼い男の子が住宅建設地で拾ってきたその骨は、なんと人間の肋骨の一部だった。
レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、親からの通報を受けて急ぎ現場に駆けつける。だが、その骨はどう見ても最近埋められたものではなさそうだった。
考古学者によると、その骨は埋められてからすくなくとも五十年は経っているらしい。
現場近くにはかつて数件のサマーハウスが建っていて、付近にはイギリスやアメリカ軍のバラックもあったらしい。サマーハウスに住んでいた誰かのものか。それとも軍の関係者か。
エーレンデュルら捜査陣が調べていくと、付近の住人の証言の端々に緑のコートの女が現れる。そして、封印されていた哀しい事件が長いときを経て明らかに。
人はなぜここまで酷くなれるのか、そしてなぜここまで毅くなれるのか。
CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞をダブル受賞。世界中が戦慄し涙した。究極の北欧ミステリ。
単行本は『週刊文春2013年ミステリーベスト10』第2位他、各種ミステリベストに続々ランクイン!
●『湿地』
雨交じりの風が吹く、十月のレイキャヴィク。北の湿地(ノルデュルミリ)にあるアパートで、老人の死体が発見された。被害者によって招き入れられた何者かが、突発的に殺害し、そのまま逃走したものと思われた。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。
だが、現場に残された三つの言葉からなるメッセージが事件の様相を変えた。
計画的な殺人なのか?
しだいに明らかになる被害者の老人の隠された過去。
レイキャヴィク警察犯罪捜査官エーレンデュルがたどり着いた衝撃の犯人、そして肺腑をえぐる真相とは。
世界中で紹介され、シリーズ全体で1000万部突破。
ガラスの鍵賞を2年連続受賞、CWAゴールドダガー賞を受賞。
日本では単行本が出るなり、
「ミステリが読みたい!」海外篇 第1位
『週刊文春 ミステリーベスト10』海外編 第2位
本屋大賞 翻訳小説部門 第2位
『このミステリーがすごい!』海外編 第4位
などベストのランキングを席巻した、いま世界のミステリ読者が最も注目する北欧の巨人の傑作、ついに文庫化。
国境も人種も関係ない、刑事たちは刑事だった。「湿地」は、警察小説の普遍性を証明した作品かもしれない。
――堂場瞬一
北の湿地に埋められていた過去が、思いがけない真実を照らす。この圧倒的な牽引力。警察ミステリの本場から、ついに真打ちが登場した。
――大森望
インドリダソンは近年のヨーロッパで最高の作家のひとりだ。ヘニング・マンケル、カリン・フォッスムに勝るとも劣らない。
――マーガレット・キャノン「グローバル&メール」
インドリダソンは文字通り、瞬時にして北欧ミステリ作家のトップにのぼりつめた。
――「ブックリスト」
このシリーズによってインドリダソンは現代ミステリの頂点に立った。彼はストーリーテリングの達人であり、一見とっつきの悪い表面に隠された複雑な人間性を見事に描く天才である。
――「ガーディアン」
最高に面白いミステリを読みたい? だったらインドリダソンを読め。
――ジョン・ハーヴェイ
インドリダソンは世界を席巻した。理由は簡単、彼の作品は本物で、魅力に溢れ、詩的で、忘れがたい。
――ハーラン・コーベン
レイキャヴィクがヨーロッパの犯罪の巣窟などと考える必要はない。だが、アーナルデュル・インドリダソンによってこのアイスランドの首都はイアン・ランキンのエディンバラのように、暗く恐ろしく、禍々しい場所となった。
――マーセル・バーリンズ「タイムズ」
(2015年5月8日/2016年7月5日)
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