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巻末は完全に商品カタログとなっていて「ホシ下痢止」「ホシへデキューア」「ホシ救命丸」「ホシ毛生液」……とほとんどに「ホシ」が付くのが楽しい。
わたしが所持しているものは、大正12年(=1923年)の第80版。何度も改訂増補が加えられ、版を重ねたようだ。裏表紙に「福井薬院」のスタンプが押されているので、この薬局に備えられていたか、ここで顧客に配布されたのだろう。
『家庭医書』は、昭和バージョンも存在し、こちらは著者が「宮本貞一」となっている。発行は昭和11年(=1936年)。病気を説明しては、それらに効く星製薬の薬を紹介する、というパターンは変わらないが、解説文が元版とは異なっている。以上『第二』を含めた3冊は、判型もバラバラ。他にも、もっとヴァリアントが存在するかもしれない。
更に遡って、星新一の祖父を。有名なのは父方の祖父なので星姓ではないが、星新一が伝記を書いているのでSFファンは名前を知っているだろう。小金井良精(こがねい・よしきよ)である。この人は人類学者・医学博士で、さすがにSFは書いていないけれども、『日本石器時代の住民』(春陽堂/明治37年=1906年)という原始人に関する本を書いている。しかしこれがまたレア本で、古書市場に滅多に出ない。
本文は妊婦の養生法に始まり、出産時の注意、乳児の扱い方、と述べられていく。「人工育児法」という章があり、おっ、少しはSFかもと思ってページをめくると、哺乳瓶の説明がされている。そうか、明治期だと哺乳瓶だけで「人工育児」になってしまうわけね。哺乳瓶の図もあるが、大きなガラス瓶にゴム管が突っ込まれて、それに吸い口が付いているという形状で、現代のものとはまるで違っております。
いくらわたしでも、星新一の祖父が序文を書いているというだけの理由では古本を買ったりしません。本書が「寸珍百種」という叢書の一冊であるがゆえに購入したのです。「寸珍百種」は、近代的な文庫本の元祖。これ以前にも小型本の叢書はあるけれども、そちらは個人全集的意味合いが強い。��様々な作家が様々な内容について書いている小型本叢書�≠ニいう特徴を備えたのは「寸珍百種」が初だったのだ。渋江保の著書なども入っているのだが、なかなか手に入りません。
ずいぶんと遡ってしまったので、現代に戻ろう。星新一と言えば、装丁画やイラストを描いた真鍋博が切っても切り離せない。もう、イメージが直結してしまっていますから(但し児童向けの場合は和田誠ね)。星新一展でも、原画が展示されておりました。
目録』
『…作品目録』は約300ページ、『…コレクション目録』は約700ページあり、ページ自体も大きいので函に入った状態だとタテ31センチ×ヨコ23センチ×厚さ6.5センチと、かなりの体積だ。『世界幻想文学事典』
すごく余談になるが、わたしの母方の伯父は政府官僚をしていた人でした。わたしが十代の頃、家に遊びに行ったら本棚に真鍋博のサイン本(それも伯父宛て)が何冊も並んでいて、仰天したことがあった。どうやら、仕事の関係で知り合ったらしい。その伯父ももう故人だが、あのサイン本、どうなっただろうか。気になるなあ。
今回、本稿を執筆していて、星新一の祖母・小金井喜美子の著作は一冊も所持していないことに気が付いた。そう気が付いてしまうと、がぜん欲しくなってしまうあたりは、古本コレクター病の末期症状だ。――この病気に効く薬だけは、星製薬からも出ておりません。
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■ 北原尚彦(きたはら・なおひこ)
1962年東京都生まれ。青山学院大学理工学部物理学科卒。作家、評論家、翻訳家。日本推理作家協会、日本SF作家クラブ会員。横田順彌、長山靖生、牧眞司氏らを擁する日本古典SF研究会では会長をつとめる。〈本の雑誌〉ほかで古書関係の研究記事を長年にわたり執筆。主な著作に、短編集『首吊少女亭』
●北原尚彦『SF奇書天外』の「はしがき」を読む。
SF小説の専門出版社|東京創元社




