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フロム・ヘル
『フロム・ヘル』上下巻
 こんにちは。みすず書房の『フロム・ヘル』 日本語版編集担当です。

 10月10日刊行の『フロム・ヘル』は、超一級のグラフィック・ノベルといわれる作品です。

 厳密に言えばミステリではないのですが、「登場人物たちを絡めとっている複雑な設定や謎の数々を、ラストに見事にまとめあげる豪腕」の著者による、「鬼気迫る暗黒小説」で、「事件の背後にある社会や都市全体を肌で感じさせる」「重量級のエンターテインメント」……などというと、ジェイムズ・エルロイの小説あたりを思い浮かべるかたが多いでしょうか。

 実際、近い感じもなきにしもあらずですが、『フロム・ヘル』の暗黒さはエルロイのそれとは違っていて、ヴィクトリア朝ロンドンの貧民街の陰惨さと、ゴシック譚の妖気が基調になっています(作者のアラン・ムーアはイギリス人で、そこは筋金入りです)。

『フロム・ヘル』イラスト1
 
 おびただしい量の血が流れますが、その流血は恐ろしく静謐なトーンで描かれています。

 たとえばここに示した2コマのモノクロを見てください。文字通り、「たっぷん」と波打ちそうな血の池ですが(笑)、動きも温度も削ぎ落とされている。

『フロム・ヘル』は全編、このトーンで貫かれています。ぜひ本編を読んでこの静止画のような暗黒世界を体感してください。

 しかしこの作品がミステリのファンのかたに愉しんでもらえるだろうと感じるいちばんの理由は、世界の捉え方の部分です。

『フロム・ヘル』イラスト2
 
 徹底的に理詰めで、目に見える世界を解析していった先に、「この世界は私たちの目に見えるとおりのものではないかもしれない」という疑念が、ますます根本的な次元からわきあがってくる。殺人者の心理の核を明晰に見極めようとすればするほど、理屈では計り知れない深淵が見えてくる。

 『フロム・ヘル』 の物語ではそんなムーアの世界観・人間観がストレートに打ち出され、読みながら右脳と左脳の両方を酷使させられます。

 なかなか喰えない人ですよ、アラン・ムーアという人は! できれば巻末の註まで読んでもらって、この緻密なコミックを解き尽くしていただきたいです。

  と、立場上大仰に書きましたが、『フロム・ヘル』はちょっとガラの悪い、四の五の言わずに大口をあけてかぶりつきたいエンターテインメントです。

 日本のコミックに慣れていると最初の数章こそとっつきにくさはあるかもしれませんが、あとはただもう悪魔のように抗いがたくおもしろい。

 日本のマンガと海外コミックの違いを越えて、読まれてしかるべき作品だと思っています。

(『フロム・ヘル』公式ウェブサイトwww.fromhell.jpでも作品紹介をしていますので、ぜひご覧ください。)  






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お申し込み締切 2009年10月31日(土)


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(2009年10月5日)