読み進めていくと気づくのは、すべて女性の妖(あやかし)が登場すること。さらに、どうやら彼女たちはみな、死後に妖となって現実世界に紛れ込み、時にはシングルマザーの子守をしたり、工場で不思議な魔力を持つ線香を造ったり、天守閣で古城を守ったりと、活躍していることも分かってくる。そのパワフルなこと、なんだか死んだ後のほうが楽しそうなくらい。
すべて知っているわけではないが、原典では女性がひどい目にあっている話が多い。現代社会においては許されるとは思えない性差別を排除し、女性も男性も、動物も植物も建物も、すべてがフラットな地点で生きていける社会を描き直したのが本作だともいえる。アレンジの上手さもあって、現代女性が安心して楽しめる古典集といえるものになっている。
元美容師の彼女は写真館のスタイリストの職を得て、二話以降は来客たちの抱える人生模様がミステリ仕立てで描かれていく。死がテーマであるため重い内容かと思われるかもしれないが、生前に遺影を撮影しようとするのは、残される人たちを思いやっての行為にほかならない。だからこそ、どの話も温かい思いが湧き上がってくる。また、ハナも実は辛い別れを経験した過去があり、その事実とも向き合って成長していく姿が微笑ましい。 続篇を期待したい。
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■瀧井朝世(たきい・あさよ)
フリーライター。1970 年東京都出身。慶應義塾大学卒。朝日新聞「売れてる本」、本の話WEB「作家と90分」、WEB本の雑誌「作家の読書道」ほか、作家インタビューや書評などを担当。
(2017年3月13日)
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