乱れからくり【新装版】

緻密な伏線と論理展開の妙、「亜愛一郎」「曾我佳城」「ヨギ ガンジー」などの愛すべきキャラクターなどで、読者を魅了した泡坂妻夫。
去年2023年は、そんな「ミステリ界の魔術師」と称された偉大なミステリ作家の生誕90周年でした。その節目の年を記念して、創元推理文庫にて隠れた名作『ダイヤル7をまわす時』『折鶴』『蔭桔梗』を復刊し、さらに『11枚のとらんぷ』を新装版で刊行しました。

そしてこの度、上記企画の好評を受けて、泡坂ミステリの代表作のひとつ、『乱れからくり』を新装版で刊行いたしました!

玩具会社部長の馬割朋浩は、降ってきた隕石に当たり命を落とす。その葬儀も終わらぬ内に、今度は彼の幼い息子が過って睡眠薬を飲み死亡。更に馬割家で不可解な死が連続してしまう。一族が抱える謎と、「ねじ屋敷」と呼ばれる同家の庭に造られた、巨大迷路に隠された秘密に、調査会社社長・宇内舞子と新米助手・勝敏夫が挑む。第31回日本推理作家協会賞受賞作にして、不朽の名作。

『乱れからくり』は1979年に映画化され、1982年には火曜サスペンス劇場でテレビドラマ化されたので、ご存じの読者も多いかと思います。宇内舞子を前者は野際陽子さん・後者は古城都さんが、勝敏夫を前者は松田優作さん・後者を柴田恭兵さんが演じました。

その原作である本書は第31回日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリ史に残る名作中の名作だと断言できるくらい、謎解きの面白さに満ちあふれています! 「降ってきた隕石によって死者が出る」という衝撃的なシーンから始まり、玩具会社の一族に次々と襲いかかる奇怪な死、「かたかた鳥」「逆立人形」といった多彩で魅力的なからくり、巨大迷路に隠された秘密、そしてラストで解き明かされる、一連の事件の驚愕の真相。

鮮やかなトリックとさりげない伏線を描く華麗な手捌きは、まさに魔術師そのもの。馬割一族を襲った悲劇の真相や、一連の事件の裏で何が起こっていたのかという強烈な「ホワットダニット」の正体を知った時、泡坂ミステリの醍醐味を味わえるでしょう。

解説は、熱烈な泡坂ファンでもある阿津川辰海さん。本書の魅力をはじめ、泡坂ミステリの面白さを丹念に分析・熱く語っていただきました。
不朽の名作である本書は、絶賛発売中です。どうぞお見逃しなく!

乱れからくり (創元推理文庫)
泡坂 妻夫
東京創元社
2024-07-11


11枚のとらんぷ【新装版】 (創元推理文庫)
泡坂 妻夫
東京創元社
2023-11-13


ダイヤル7をまわす時 (創元推理文庫)
泡坂 妻夫
東京創元社
2023-02-20


折鶴 (創元推理文庫)
泡坂 妻夫
東京創元社
2023-05-11


蔭桔梗 (創元推理文庫)
泡坂 妻夫
東京創元社
2023-08-12