先日、国宝に値するという藤原定家直筆の『古今和歌集』注釈書が発見され、大いに話題になりました。



藤原定家と言えば、『小倉百人一首』『新古今和歌集』の撰者である歌人であり、『源氏物語』などの古典文学の研究者として著名な天才。そして、現在絶賛放送中の大人気大河ドラマ『光る君へ』で柄本佑さん演じる藤原道長と、瀧内公美さん演じる源明子の子孫でもあります。
(筆者も『光る君へ』を毎話夢中になって観ています。ききょうが大切な中宮定子に捧げた『枕草子』誕生といった史実や、直秀や周明などまひろに関わる人々といったフィクションの融合が見事で、今後の展開も楽しみです!)

今後の『光る君へ』の重要なシーンで登場するであろう、紫式部の名歌「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲隠れにし 夜半(よは)の月かな」。その和歌が殺人に利用されたことに憤慨した、藤原道長の子孫・藤原定家が、和歌の名誉を守るため謎に立ち向かう! ――そんな第1話が収められた、羽生飛鳥さん『歌人探偵定家 百人一首推理抄』が6月12日に発売になります!

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一一八六年。平家一門の生き残りである、亡き平頼盛の長男、保盛はある日、都の松木立で女のバラバラ死体が発見された現場に遭遇する。生首には紫式部の和歌「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲隠れにし 夜半の月かな」が書かれた札が針で留められ、野次馬達はその惨状から鬼の仕業だと恐れていた。
そこに現れた、保盛の友人で和歌を愛してやまない青年歌人・藤原定家は「屍に添えて和歌を汚す者は許せん」と憤慨。死体を検分する能力のある保盛を巻きこみ、事件解決に乗り出す! 後に『小倉百人一首』に選出された和歌の絡む五つの謎を、異色のバディが解く連作ミステリ。

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藤原定家は有名人ですが、あまりの天才ぶりのためか今まで主人公として描かれた小説や、探偵役を務めるミステリは多くありませんでした。その新機軸ミステリが、満を持しての登場です!

「一 くもがくれにし よはのつきかな」
紫式部の和歌が添えられた屍は、なぜバラバラにされていたのか? 
「二 かこちがほなる わがなみだかな」
若き西行が遭遇した、密室からの人間消失の真相は? 
「三 からくれなゐに みづくくるとは」
河原に捨てられた屍は、なぜ在原業平の和歌に見立てられたのか? 
「四 もみぢのにしき かみのまにまに」
都を襲った大火の真相を解く鍵は、菅原道真の和歌? 
「五 しのぶることの よわりもぞする」
衆人環視の中、式子内親王の周りにいた女房たちを殺した方法は?

藤原定家や『百人一首』が好きな方はもちろん、本格ミステリが好きな方にも楽しめるよう、平安時代や和歌の蘊蓄&バラエティに富んだ謎を描いております。

また、エキセントリックな天才探偵タイプの定家とバディを組むのは、平保盛。既刊『蝶として死す 平家物語推理抄』の主人公・平頼盛の長男であり、沈着冷静で優れた武人というワトスン役にふさわしい彼と定家の、軽妙なやり取りは見物です。史実でも親友だったふたりが、事件解決に奔走するバディ物の青春ミステリとしても楽しめます。

カバーイラスト&デザインは、『蝶として死す』に続き、すり餌さんとnext door design長﨑綾さん。華麗なカバーをご堪能下さいませ。
豪華絢爛な世界観のミステリを堪能できる本書は、今年の話題作となること間違いなしです。どうぞお見逃しなく!