お久しぶりです。SF班(弟)です。

ときに皆さま、雨はお好きでしょうか……。
豪雨や霧雨、遣らずの雨など、雨にもいろいろございますが、本日ご紹介するのは猛毒の青い雨が降りそそぐ世界を舞台とした長編SF小説――高島雄哉さんの『はじまりの青 シンデュアリティ:ルーツ』(創元SF文庫)です。

現在放映中のTVアニメ「SYNDUALITY Noir」と、ゲーム「SYNDUALITY Echo of Ada」を中心として展開される大型SFプロジェクト〈SYNDUALITY〉(シンデュアリティ)の公式小説である本作。

いままさにアニメをご視聴中の皆さまも、まだご覧になっていない皆さまも、
「シンデュアリティってなに?」
「シリーズ作品との関わりは?」
「カバーイラストのふたりは誰なの?」

などなど、気になるポイントがたくさんおありのことと思います。

〈SYNDUALITY〉シリーズについて整理するために、まずは本作とゲーム、TVアニメを、それぞれの舞台となる年代ごとにまとめました。

2099年~ 小説『はじまりの青 シンデュアリティ:ルーツ』の舞台
2222年~ ゲーム「SYNDUALITY Echo of Ada」の舞台
2242年~ TVアニメ「SYNDUALITY Noir」の舞台

ゲーム「SYNDUALITY Echo of Ada」の舞台となるのは、2222年の地下都市国家〈アメイジア〉崩壊から少しの時間が経った時代。プレイヤーは人と見紛う姿をしたヒューマノイド〈メイガス〉とともに、二足歩行メカ〈クレイドルコフィン〉に乗り込み、外敵〈エンダーズ〉や他のプレイヤーたちとの戦いを繰り広げます。

対して、TVアニメ「SYNDUALITY Noir」の舞台は、ゲームから時が下った2242年。伝説の地〈イストワール〉を目指す青年「カナタ」と、彼が見つけた謎めいたメイガス「ノワール」との冒険が描かれます。

そして……最も古い時代にまで未来史を遡り、シリーズ世界をその「はじまり」から物語るのが、本作『はじまりの青 シンデュアリティ:ルーツ』です。

物語のはじまりとなるのは21世紀末の2099年。超高層都市を築くまでに発展していた旧文明は、突如降り出した青い雨によってまたたくまに崩壊してしまいます。

当時9歳だったエリロスとアイは、この滅亡をからくも生き延び、搭乗型機動装置〈クレイドル〉のパイロットである〈ドリフター〉として、貴重な資源を回収し、外敵〈エンダーズ〉をしりぞけながら成長していきます。

あらたな文明の誕生と発展をめぐるストーリーは、エリロスとアイの娘たちによって引き継がれ、ゲーム「SYNDUALITY Echo of Ada」の直前となる2222年まで、全4世代にわたって繰り広げられます。

固い友情と血縁によって結ばれた、8人の登場人物たちの顔ぶれを見てみましょう。

  登場人物一覧

第一世代
 エリロス……尖塔都市〈ラミナ〉の住人。のちにドリフター
 アイ……尖塔都市〈ラミナ〉の住人。のちにドリフター

第二世代
 エオーナ……地上コミュニティ〈パトリア〉のドリフター
 アサ……地上コミュニティ〈パトリア〉の建築師

第三世代
 エウディア……地下都市〈アメイジア〉のドリフター
 アメ……地下都市〈アメイジア〉の数学師

第四世代
 エリス……地下都市〈アメイジア〉のデータネット配信者
 アオ……地下都市〈アメイジア〉のドリフター

尖塔都市から地上コミュニティ、そして地下都市国家へと、世代とともに舞台が移り変わっていく中で、子孫たちはあたらしい文明の担い手となって活躍し、クレイドルで荒野を駆けるドリフターのほかにも、建築士ならぬ「建築師」、数学者ならぬ「数学師」など、さまざまな職業が現れます。

カバーイラストに描かれた、壊れたクレイドルの腕部に腰掛けるふたりは第四世代にあたり、金髪のキャラクターが「エリス」、黒髪のキャラクターが「アオ」です。
成熟を迎えたアメイジア社会で彼女たちが直面する危機については、ぜひ本編をお確かめください。

シリーズ作品を経て本作を読むのも、本作を読んでからシリーズ作品に挑むのも、どちらも多くの発見があるはず。
ファン必読の公式小説として、ポストアポカリプス社会の未来史を描いたSF作品として、どうぞお楽しみください!