出版社・東京創元社は今年2024年に創立70周年を迎えます。
……ところで、この「創立70周年」というのはいつ、どういう時点から数えてのものなのでしょうか。少々こみいった成り立ちを持つ弊社の歴史については、いまから20年前の2004年、創立50周年のとき実施した鼎談「東京創元社の五十年」の冒頭で、元社長(当時の肩書きは特別編集顧問)にして現在はミステリ研究家の戸川安宣氏が語った内容がわかりやすくまとまっているので、この機に抜粋してご紹介いたします。
●創業の起点について戸川 今年東京創元社が創立五十周年を迎えるということでお集まりいただいたのですが、創業の起点をどこに置くかというのは難しいところで、僕が考えるに三つあるんです。大阪で「創元社」が創業されたのが一九二五年(大正十四)年。東京支社が併設されて、小林茂――僕が一九七〇年に入社したときに会長だった人です――が東京支社の責任者になりました。その後一九三六年(昭和十一年)に小林秀雄先生を編集顧問に迎えています。これ以降、大阪本社は大阪本社、東京支社は東京支社として独自に編集して本を出す方向に向かい始めました。社名はどちらも「創元社」なんですが。そして一九三八年に刊行を開始した〈創元選書〉は完全に東京支社が編集しています。ですので、現在の「東京創元社」の始まりはこの一九三八年だったと言ってもいい。そうすると今年は六十六年目になります。次は一九四八年二月。このとき大阪の「創元社」とは別法人になり、小林茂が支社長から社長に昇格しました。ただしこのときも社名は「株式会社創元社」。ここが非常に面白いところで、同じ名称で大阪と東京に別法人の出版社があったということですね。ここから完全な別会社として、現在につながる「東京創元社」が活動を始めます。この時点で小林秀雄先生は非常勤取締役になっていただいています。(中略)それが一九五四年に倒産して、直後に現在の「株式会社東京創元社」の名称で再建されたのです。ですから今回の「創立五十周年」というのはこの時点、一九五四年の七月十六日を起点としています。今も一部ですが刊行している〈創元選書〉などは、それ以前の「株式会社創元社」時代、ものによっては戦前の「創元社」時代のものを引き継いでいます。(以下略)――紀田順一郎・北村薫・戸川安宣「東京創元社の五十年 創立五十周年記念鼎談」(『ミステリーズ!』vol.05【2004年6月号】収録)より抜粋
いかがでしょうか? この三つ目の考え――1954年(昭和29年)を創立の年とする考えをもとに、弊社ではこれまで創立○○周年をお祝いしてきました。
70周年の今年は、さまざまなフェア、記念出版物やプレゼント企画など、豪華な催しを予定しております。詳細は随時70周年特設サイトで公開していきますのでどうぞお楽しみに。
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