〈日常の謎〉の名手・加納朋子さんのデビュー作である、第3回鮎川哲也賞受賞作『ななつのこ』。短大生の駒子が童話集『ななつのこ』と出会い、その作家へファンレターを送ったところ、返信で謎解きが描かれていたことから始まった、〈日常の謎〉の金字塔です。
日常で起こる不思議な謎を優しい筆致で描く〈駒子〉シリーズですが、第2作『魔法飛行』、第3作『スペース』を経て、この度20年ぶりに最新作が刊行されます! 待望の最新作『1(ONE)』では、大学生の玲奈を中心としたある家族と、愛犬との交流が軸に描かれています。*******
大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きんでて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する。ゼロと名付けた仔犬を溺愛するあまり、ゼロを主人公にした短編を小説投稿サイトにアップしたところ、読者から感想コメントが届く。玲奈はその読者とDMでやり取りするようになるが、同じ頃、玲奈の周りに不審人物が現れるようになり……。短大生の駒子が童話集『ななつのこ』と出会い、その作家との手紙のやり取りから始まった、謎に彩られた日々。作家と読者の繋がりから生まれた物語は、愛らしくも頼もしい犬が加わることで新たなステージを迎える。
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玲奈とゼロの成長が、そのままミステリの仕掛けにも繋がるという鮮やかさは、〈日常の謎〉の名手ならでは。未熟なひとりと一匹を見守る、玲奈の家族のある事件に対する向き合い方には、加納さんならではの強さと優しさにあふれています。
また、小説を書いた玲奈とその読者とのやり取りは、かつて駒子が『ななつのこ』の著者と手紙でやり取りをしたことを彷彿とさせます。作家と読者の繋がりから生まれた物語と謎解きは、愛らしくも頼もしい犬が加わることで、新たなステージを迎えるのです。
本書に登場する玲奈とゼロが、駒子とどう関係するのかというと……。それは、読んでのお楽しみ! 事件の裏に潜む人間の負の感情、しかし同時に描かれる希望。生きることの奇跡と尊さを温かい眼差しで描ききった大団円に、涙すること間違いなしです!
更に、書籍『1(ONE)』を購入した皆様へ、購入者特典もご用意しています。詳細は、後日公開予定の特設サイトをご覧ください。20年ぶりの〈駒子〉シリーズ最新刊にして大傑作の『1(ONE)』は、1月11日(ワンワンワンの日)に発売されます。どうぞご期待ください!!