もうまもなく鮎川哲也賞の応募締切となります。
なぜ、市川哲也さんが鮎川賞の申し子かといいますと、毎回ご本人がX(Twitter)で呟いていますように、応募締切の10月31日が誕生日だからです。
10月31日の締切に向けて、ラストスパートをかけてらっしゃる方も多いかと思います。今回の第34回からは、Web応募も開始となりましたので、締切当日のギリギリまで粘れます。傑作ミステリのご応募おまちしております、どうぞよろしくお願いします。

さて、市川さんの最新刊『あの魔女を殺せ』ですが、前作の『放課後の名探偵』の刊行後から、プロットをいただいてスタートして、何度も書き直ししていただきつつ、現在の形となりました。その間に、市川さんは大のハロプロファンになり……。

あらすじは以下の通りです。

グロテスクな生(いき)人形の作り手として、賛辞を集める常世三姉妹。彼女たちの人形にはまるで人の魂が宿っているかのような迫力があり、世界中の好事家を魅了していたが、一方でその人形作りについて黒い噂が囁かれていた。三姉妹の新作発表の場に立ち会うことになったフリーライター・麻生真哉は、六歳の娘とともに群馬の山中にある館に向かう。ところが新作人形の発表の夜、三姉妹の長女が殺害される。現場はほぼ密室。館も孤立状態となり、残された姉妹は、館中を捜索し始めるが――。ある魔術を受け継ぐ一族を巡る驚愕の事件を巧みに描いた、鮎川賞作家の最新作。

カバーイラストを手掛けていただいた、まいまい堂さんには、生人形ともメインキャラクターの真理とも取ってもらえるような人物を中央に置くことをお願いしました。カバー表4まで、作中に登場する人形製作室を思わせる、ちょっと不気味で、緻密な雰囲気を出していただいています。作品世界にマッチした、素晴らしい装画、ありがとうございました。

これまでの『名探偵の証明』にはじまるシリーズでの、名探偵像の変遷を描いた作品とは異なり、今作では名探偵も登場しませんし、登場人物それぞれに黒い思惑が見え隠れします。
また、魔術とはいっても、いわゆる万能ではなく、ある一つのことしかできませんし、その条件も限られています。グロテスクで、黒くて、ちょっと大人になった、新生・市川哲也の今後もご期待いただければ。ちなみに、市川さんは今年デビュー10周年。おめでとうございます!