アーサー王伝説を描いたT・H・ホワイト『永遠の王』を原作としたブロードウェイミュージカル「キャメロット」が10月7日より日生劇場(東京)で開演いたします。主演を務めるのは確かな演技力と歌唱力で活躍する坂本昌行さん。共演には舞台の経験も著しい桐山照史さん(ジャニーズWEST)、女優として活躍の場を広げる唯月ふうかさん、声優はもとより、ミュージカル界でも存在感を示す入野自由さん、ミュージカル俳優としてその風格ある演技と歌声で魅了し続ける今井清隆さんと、実力派キャストが集結し大きな注目を集めています。東京創元社では原作小説に舞台キャストのスチール帯をつけて出荷中です。

多くの作品に影響を与えている〈アーサー王伝説〉は、ウェールズの『マビノギオン』などブリテン島の英雄伝説をもとに、様々な要素が加わりキリスト教の影響、中世の騎士道文学の要素も加わって物語群として形成されていったものです。
長い時代をかけて、様々な要素が加わって生まれた伝承ですので手短にまとめるのは難しいのですが、簡単にあらすじをご紹介いたします。
〈アーサー王伝説〉あらすじ
ローマ占領下のブリテン島(現在の英国)。ブリテン島の王ユーサー・ペンドラゴンがコーンウォールの王妃イグレインに横恋慕し、魔法使いマーリンの助けを借りて思いを遂げて生まれたのがアーサー。
騎士のもとで育てられたアーサーは、あるとき誰にも抜くことが叶わなかった石に刺さった剣を引き抜いて王の血筋であることを証明、ローマの軛から解き放ちブリテン島を統一するべく、円卓の騎士を率いて戦う。
ブリテン統一を果たしたあと、円卓の騎士たちはキリストの最期の晩餐で使われたという聖杯を探す探求の旅に出る。
だが、アーサーの王妃グェネヴィアと円卓の騎士ランスロットの道ならぬ恋から王国に内乱が勃発、アーサー王は息子モードレッドに討たれ王国は崩壊する。
アーサー王は湖の妖精たちによってアヴァロンの島に船で運ばれ、今も眠っている。ブリテン島が真の危機に陥ったときに目覚め国を救うという伝説を残して。
(ものすごくざっくり刈り込んだあらすじです。他にも様々なバージョンがあります。ご了承ください)
この伝説を元に15世紀ウェールズ出身のトマス・マロリーが書きあげたのが現在でも決定版として知られる『アーサーの死』です。
勇壮な戦あり、凜々しい騎士の探求譚あり、麗しい女性と騎士の恋物語あり、魔法ありとわくわくするような要素が満載の伝説で、数え切れないほどの小説、舞台、映画などの元になってきました。
エクスカリバー、魔法使いマーリン、モルガン・ル・フェ、湖の妖精(レディ・オブ・ザ・レイク)、騎士ランスロット、王妃グェネヴィア、トリスタンとイゾルデの悲恋……、どこかで目にしたことはないでしょうか?
有名なものではロマン派詩人アルフレッド・テニスンの『国王牧歌』、リヒャルト・ワグナーの歌劇『トリスタンとイゾルテ』『パルジファル』、そして『指輪物語』『ホビットの冒険』の著者J・R・R・トールキンの『サー・ガウェインと緑の騎士』などが挙げられます。舞台ではこれから公開される「キャメロット」がありますが、宝塚歌劇でも「エクスカリバー」「トリスタンとイゾルデ」などを上演しています。
映画では、ジョン・ブワマン監督の『エクスカリバー』、ジェリー・ブラッカイマー監督の『キング・アーサー』、デヴィッド・ロウリー監督の『グリーン・ナイト』など数多く製作されています。忘れてはいけないのが、舞台と同じく『永遠の王』の第一部「石にさした剣」を原作にしたディズニーのアニメ映画『王様の剣』でしょう。
他にも「Fate/Grand Order」などのゲームやアニメ作品にも多く取り上げられています。
アーサー王を扱った小説では、東京創元社だけでもフィリップ・リーヴの『アーサー王ここに眠る』、マーク・トゥエイン『アーサー王宮廷のヤンキー』や、少し変わったところでは『ニューヨークの魔法使い』から始まるシャンナ・スウェンドソンの〈(株)魔法製作所シリーズ〉では、(株)魔法製作所のCEOとして伝説の大魔法使いマーリンが登場します。
そしてなんといってもアーサー王物語の決定版ともいえるT・H・ホワイト『永遠の王』があります。
『永遠の王』では〈アーサー王伝説〉を元に、著者独自の解釈を交えてアーサーの少年時代をユーモラスに描き、人間味溢れたアーサー王を描写しています。だからこそ辿る運命の過酷さをより感じられる作品となっているのではないでしょうか。
様々な広がりを見せる〈アーサー王物語伝説〉の世界。読めば世界が広がり、知識が深まること間違いなし。舞台の世界観もより面白く感じられるのではないでしょうか。ぜひこの機会にお手にとってみてください。
■ミュージカル「キャメロット」公演情報
2023年10月7日(土)~28日(土)東京都 日生劇場
2023年11月4日(土)~20日(月)大阪府 大阪松竹座
脚本・歌詞:アラン・ジェイ・ラーナー
音楽:フレデリック・ロウ
演出:宮田慶子
翻訳・訳詞:高橋亜子
出演:坂本昌行、桐山照史(ジャニーズWEST)、唯月ふうか、入野自由、今井清隆 ほか■原作小説情報
書名:『永遠の王』上下
著者:T・H・ホワイト
訳者:森下弓子
レーベル:創元推理文庫(ファンタジイ)ページ数:上 556ページ 下 590ページ
ISBN:上 978-4-488-54901-5 下 978-4-488-54902-2
Cコード:C0197
価格:各1,540円(税込)
装画:羽住都
装幀:大野リサ
【内容紹介】
少年の名はウォート。孤児だ。いずれ騎士の従者となって一生を過ごす。それが少年の運命のはずだった。そう、森のなかで奇妙な老人と出会うまでは。予言者マーリン、時間を逆に生きる魔法使い。彼にはウォートが何者なのかわかっていた。少年こそは、イングランドを統べる伝説の王アーサーその人だったのだ! 史上最高のファンタジイ。








