fukkan2023

東京創元社では品切れ中の文庫作品を対象として、毎年《復刊フェア》を開催しています。
2023年10月上旬よりおこなわれる本年度の復刊フェア作品は以下の全10点となります。
書影、内容紹介をそろえましたので、ご購入の参考にどうぞ。

※実店舗・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは10月上旬以降となります。



殺意

『殺意』 フランシス・アイルズ/大久保康雄訳
英国の片田舎に住む開業医ビクリー博士は、妻を殺そうと決意し、完璧な殺人計画を練り上げた。犯行過程の克明な描写、捜査官との応酬をへて、物語は息詰まる法廷の攻防へ。謎解き小説の雄アントニイ・バークリーが、一転、犯人の側からすべてを語る倒叙推理小説の形式を活かして完成させた本書は、殺人者の心理を見事に描いて新生面を拓いた。驚くべきスリルに富む歴史的名作! 解説=中島河太郎

愚か者の祈り

『愚か者の祈り』
 ヒラリー・ウォー/沢万里子訳《新カバー!》
コネチカット州の小さな町で、顔を砕かれた若い女性の死体が発見された。頭蓋骨をもとに復元された生前の容貌が導き出したのは、女優になる夢を抱いて故郷を出た少女が惨殺されるまでの5年間の空白だった。その間に何が? そして、彼女を殺したのは? ダナハー警部とマロイ刑事は被害者の過去を追い、ニューヨークへ……。『失踪当時の服装は』と並ぶ警察小説の巨匠の初期傑作。解説=川出正樹

シグニット号の死

『シグニット号の死』 F・W・クロフツ/中山善之訳《新カバー!》
証券業界の大立者ハリスンの持ち船、シグニット号の船室は密室状態だった。ベッドではハリスン本人が死んでいる。死因は炭酸ガスによる中毒。ベッド脇のテーブルには、ガスの発生源となる塩酸入りデカンターと大理石の入ったボウルが載っていた。フレンチ首席警部の入念な捜査の結果、事件は自殺の線が濃厚になる。だが……。企業ミステリの先駆者でもあるクロフツ、渾身の力作! 解説=紀田順一郎

猫

『猫』 ジョルジュ・シムノン/三輪秀彦訳
エミール七十三歳、マルグリット七十一歳。再婚同士だった二人が式を挙げて八年、会話が途絶えてから四年になる。相手の存在を痛いほど意識しながら互いに無視しあい、一つ屋根の下で際限のないゲームに飽かず興じる。理解しがたいようでいて妙に頷ける夫婦の執念。屈折した愛と呼べなくもない二人の駆け引きは、飼い猫の死に始まった。訳者あとがき=三輪秀彦

雲なす証言

『雲なす証言』 ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽莢子訳《新カバー!》
ピーター・ウィムジイ卿の兄ジェラルドが殺人容疑で逮捕された。しかも、被害者は妹メアリの婚約者だという。お家の大事にピーター卿は悲劇の舞台へと駆けつけたが、待っていたのは、家族の証言すら信じることができない雲を掴むような事件の状況だった……! 兄の無実を証明すべく東奔西走するピーター卿の名推理と、思いがけない冒険の数々。活気に満ちた物語が展開する第二長編。解説=宮脇孝雄

動物好きに捧げる殺人読本

『動物好きに捧げる殺人読本』
 パトリシア・ハイスミス/榊優子、中村凪子、吉野美恵子、大村美根子訳
犬、猫、駱駝(らくだ)、象、鼬(いたち)、……。彼らが人を殺してしまったのには、やはりそこにいたるまでの事情というものがあったのです。最新式の養鶏場を舞台に悲劇と狂気が描かれる「総決算の日」、滑稽にしてブラックな、少年の日の物語「ハムスター対ウェブスター」など、13種類の動物たちの物語を収録。毒とユーモアの組み合わせが、ハイスミスならではの独特の妙味を生み出す傑作短編集。巻末鼎談「ミステリ好きに捧げるハイスミス読本」=菊地千尋、小山正、戸川安宣


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奇蹟の輝き

『奇蹟の輝き』 リチャード・マシスン/尾之上浩司訳
不慮の事故で命を落としたクリスがたどり着いたのは、「常夏の国」と呼ばれる楽園だった。だが、まもなく信じがたい知らせが届く。最愛の妻アンが、彼を亡くした悲しみに耐えきれず自殺してしまったというのだ。クリスは旅立つ――アンを救うため、想像を絶する苦難が待つ地獄へと! 愛のみが成し遂げうる魂の救済を描き、『ある日どこかで』と並び称されるファンタジイの傑作。訳者あとがき=尾之上浩司

ガストン・ルルーの恐怖夜話

『ガストン・ルルーの恐怖夜話』 ガストン・ルルー/飯島宏訳
老練の船長が体験した、あまりにもおぞましい晩餐会での出来事を語る「胸像たちの晩餐」、12人の求婚者から1人選んで結婚する毎に相手が死ぬという悲劇を繰り返す美女の物語「ノトランプ」、かつての惨劇の舞台であり、現在は観光名所となった《血の宿》に泊まった男女を見舞う絶体絶命の危機「恐怖の館」など、『オペラ座の怪人』で知られる文豪の手腕が発揮された恐怖綺譚集。訳者あとがき=飯島宏


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残酷な方程式

『残酷な方程式』 ロバート・シェクリー/酒匂真理子訳
手違いで惑星基地から締めだされた探検隊の一員。融通の利かないロボットを言いくるめなければ命が危うい。彼のとった奇策とは? 表題作ほか、気弱な男の突拍子もない人格改造術「コードルが玉ネギに、玉ネギがニンジンに」、大戦以後失われた文学の〈記憶〉を売る男と村人の交流を描く「記憶売り」など、黒いユーモアとセンチメントが交錯する、奇想作家の佳作16編。解説=K・S

司政官 全短編

星々に進出した地球人類。だが連邦軍による植民惑星の統治が軋轢を生じさせるに及び、連邦経営機構が新たに発足させたのが司政官制度である。官僚ロボットSQ1を従えて、人類の理解を超えた原住者種族を相手に単身挑む若き司政官たちの群像。著者を代表する、遠大な本格SF未来史の短編全7作を年代順に配し、初の一巻本として贈る。巻末には詳細な作品世界ガイドを収録した。著者あとがき=眉村卓/解説=中村融


※実店舗・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは10月上旬以降となります。


(2023年9月22日)