平安朝を舞台にした言語SF「繭の見る夢」が第2回創元SF短編賞の佳作に選出され、
『原色の想像力2』で作家デビューした空木春宵さん。
2021年に初の作品集『感応グラン=ギニョル』が刊行されると、
ベストSF2021【国内編】で第3位にランクイン! たちまち注目を集めました。

本日は、第二作品集を準備中の空木さんによる最新読み切り
4W/Working With Wounded Womenを特別公開します!
(下のタイトル画像をクリックすると電子書籍のページがひらきます)

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 わたしはこれから、あの子について綴る。
 けれどもそれは、彼女の生き方を讃美するためでもなければ、己の過ちを悔悟するためでもない。ただひとえに、武器を造り上げるためにこそ、わたしは書く。液晶なり有機ELなりのディスプレイ越しにこれを読んでくれるかもしれない誰かの――そう、つまりは〈あなた〉の――眼前に、研ぎ澄ました刃の切っ先を突きつけるためにこそ。
 どうか、目を背けないでほしい。その刃は〈あなた〉の眼を抉るためではなく、〈あなた〉の手に取ってもらうためにこそ磨き上げられたものなのだから。

ぜひお楽しみください!



■空木春宵(うつぎ・しゅんしょう)
1984年静岡県生まれ。駒澤大学文学部国文学科卒。2011年、平安朝を舞台にした言語SF「繭の見る夢」が第2回創元SF短編賞の佳作となる。21年、初の作品集『感応グラン=ギニョル』を刊行。同作でベストSF2021【国内編】で第3位にランクイン。《異形コレクション》シリーズ、『2084年のSF』『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』などのアンソロジーにも寄稿している。現在、第二作品集の準備中。

感応グラン=ギニョル (創元日本SF叢書)
空木 春宵
東京創元社
2021-07-29