6月に刊行された深沢仁『眠れない夜にみる夢は』の刊行前にプルーフを読んでいただいた書店員様から多くの感想を頂戴しました。絶賛の声の一部をご紹介させていただきます。
書店員様からの絶賛コメント(※氏名五十音順)
まだまだ読んでいたかった。登場人物が誠実でとても愛おしかった。「明日世界は終わらない」大好きです。きっとずっと覚えていると感じるくらい大好き。「家族の事情」も「不自由な大人たち」も好き。どのお話も独特の空気が流れていて、それがすごく好きだった。上質な大人の小説。福岡金文堂志摩店 伊賀理江子さん
歪だからこそ美しい。読者の無責任さでもって、彼らにはこのままのカタチでいてほしい。そして、願わくばそのままで幸せであってほしい。不思議と惹かれてしまう物語たち。主人公が関わる人物もやっぱり歪で、ひとりぼっちではないと思える温かさがあるけれど、それぞれ孤独を抱えているのが伝わってくる。結局のところ、完璧な人なんていないのだから、彼らの歪さが同志のように思えて、どうしようもなく惹かれてしまうのかもしれない。東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん
めちゃくちゃ好みの物語でした。面白い!! 好きだ〜! 大好きだ〜! 不器用すぎて、愛しい。自由であるはずの大人たちが不自由に囚われている。でも、ちょっとの不自由って制約だらけの大人には居心地が良いのかも。じわじわ沁みてくるこの温かさと優しさにずっと浸っていたくなる。何度も通いたくなるカフェみたいな安心感。もう何度も読み返しています。未来屋書店明石店 大田原牧さん
登場人物の魅力はもう圧倒的でした。『この夏のこともどうせ忘れる』や『渇き、海鳴り、僕の楽園』にも感じた、人物の尾をひく魅力が今作も際立っておりました。潔さとすこしの不穏がマーブルのような人々。美しいです。人のあやふやさや、行動の割りきれなさが、呟き、仕草の描写、出来事への反射であぶりだされてほんとうに鮮烈です。
登場人物たちのその後に思いを馳せ続けていました。彼らはどんな声ではなすのだろう 彼らはどんな夜を過ごすのだろう 彼らのこの先は……そんなふうに彼らの輪郭を何度もなぞるうちに、物語に思いを馳せる歓びがあとから追いついて、静かな幸福をそのたびに感じました。今野書店 坂井絵里さん
一読してコミカルなのは設定だけで、どれも心の琴線を震わせてくる短編ばかりでした……。「明日世界は終わらない」は、ありそうでなかった三角関係が切なく、儚く、そして美しかったです。短編ならではの余韻が残りました。
個人的に一番のお気に入りは「不自由な大人たち」です。不倫相手と別れて回るという、「はたから見れば滑稽、本人は至って本気」というシチュエーションが僕は大好きなので、非常に楽しめました。家族をテーマにした物語に弱いので、「家族の事情」には、作中唯一泣かされてしまいました。三省堂書店海老名店 竹村真志さん
どの登場人物も少し人生に苦労していて、でも、何とかしようともがいている姿が魅力的でした。みんな少し変わっているけど、身近にいそうな親密さを感じました。どの話も、長編でじっくりその後を読みたくなりました。とても良かったです。丸善丸の内本店 玉井佐和さん
この物語が必要な人たちに本を手わたすために、わたしは書店員になったのだと思います。「運命の一冊」に出会ってしまいました。本当にどの短篇もすばらしかったです。ジュンク堂書店吉祥寺店 田村知世さん
めちゃくちゃ好き!!! これは大発掘じゃないか!?と興奮しました。この筆舌に尽くしがたいよるべなさ…これは夜遅い時間に読むべきやつだ、と寝る前に読み進めました。特に好きだったのは「明日世界は終わらない」と「家族の事情」です。どの登場人物にも魂が感じられ、読み手の琴線にそっと触れる、そんな筆力が深沢さんにはあると感じました。微力ながら応援していきたいです!!紀伊國屋書店武蔵小杉店 鶴見真緒さん
出勤中の電車でホロリとして、この先にどんな奴らが出てくるのだろうとワクワクしてしまって、我慢しきれずに、仕事終わり、閉店後の休憩室で読み切っちゃいました。夜の静謐が似合う物語。そして、すこやかな朝を迎えたい時に、手を伸ばしたくなる作品でした。スーパーブックスあおい書店春日店 並木宏誌さん
優しさ70%切なさ30%で出来ている。有名な薬の話ではない。この『眠れない夜にみる夢は』の話だ。この物語は、とても優しい柔らかな世界を描いている。登場人物達はとても個性的で魅力的。世間一般からみれば優しいとは言えない人物もいるけれど、でもやはり優しいと感じさせる何かがある。そしてそれと同時に切なさがほんのり感じられるのが秀逸だ。優しさだけではなく切なさが見えることにより、描かれる世界の優しさがより一層、愛しく思えるのだ。読み進めるごとに、大切であった時間や人を思い起こさせてくれる。それはとても心地良い時間であった。読み終えた時に、幸せ過ぎて思わず出たため息は、多分今年一番の幸せ成分が入っていたことだろう。虎ノ門書房田町店 根本隆仁さん
エキセントリックな人間・恋愛関係をかいた小説は山ほどあるけど、そのなかでもアタマひとつ抜けた好きを感じました。登場人物の心境に肩入れして汗や涙でダラダラだし、読み終えてからもすごくじんわりと良かったなとかさびしいなとか、作品に動かされた自分の気持ちを味わっていられます。「なにも傷つけないように、おやすみ」が個人的に一番好きです。本のがんこ堂野洲店 原口結希子さん
誰とも分かち合えないと思っていた、寂しさのひと欠片を分かち合えた気がした。正しさや当たり前に押しつぶされそうな夜、ひとりこの物語を手に取りたい。丸善丸広百貨店東松山店 本郷綾子さん
名前のない関係性の人々が織りなす切なく時には甘やかな人間模様がたまらなく愛しい。好きすぎてコメントもうまくできません。でも間違いなく今年のベストワン作品。とにかくより多くの人に出会ってほしい、誰の胸にも燈を灯す素晴らしい短編集。六本松蔦屋書店 峯多美子さん
みんなと違うと感じる感情に悩みながらも、少しずつ向き合い、変化していく心の様子が繊細で美しい。もどかしく、ままならない気持ちが、深くやわらかい夜にとけていくような心地よさ。大切な誰かと過ごす時間が、コンプレックスや、生きづらい日常をそっと優しく癒やしてくれる。
深夜を落としたような、ほろ苦いコーヒーに、甘くて切ない金平糖を落とした、ビタースウィートな物語。明けない夜がこのまま続いてほしいと思うほど、愛おしく穏やかな時に包まれました。紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
心と身体を委ねるのに誰でも良いわけではない。でもその誰かの温もりに触れたとき、忘れていた、あるいは隠されていた感情が自分から香ってくる。いくつもの日常から放たれた輝かしくも生きることに対して照れたような光に満ちた、稀有な短編集だった。大盛堂書店 山本亮さん
Web東京創元社マガジンでは、『眠れない夜にみる夢は』の第二話「明日世界は終わらない」をただいま全文公開、著者書き下ろしの読書日記を公開中です。
・6月新刊 深沢仁『眠れない夜にみる夢は』刊行記念 収録短編「明日世界は終わらない」を全文公開!
・深沢仁『眠れない夜にみる夢は』刊行記念 深沢仁先生による「読書日記」公開
また、一部の書店店頭にて特別書き下ろし掌編(2種類)の配布企画も書店にて実施中です。書店によって、配布される掌編が異なりますので、詳細は以下より御確認ください。
※紀伊國屋書店での配布(QRコード発行)は7月末までとなっております。
・6月新刊 深沢仁『眠れない夜にみる夢は』刊行記念 購入者特典書き下ろし掌編配布企画!(配布書店リストあり)