2012~13年、星海社FICTIONSから刊行され反響を呼んだ、紅玉いづきさんの『サエズリ図書館のワルツさん』シリーズ。近未来の図書館を舞台に、本への愛を描いた傑作2巻を、この度創元推理文庫で文庫化し、連続刊行することになりました!

今回は、刊行後即重版となった第1巻に続く、第2巻の内容を紹介しましょう。

戦争(ピリオド)の影響と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、本を無料で貸し出すサエズリ図書館を舞台に、本を愛し本に導かれた人々の物語が始まる――。自信のない就活生と老図書修復家が人生を見つめ直し、再出発する中編、ワルツさんと電子図書館司書との対立を描く短編や書き下ろしほかを収めたシリーズ第2弾!

第2巻では、サエズリ図書館の利用者ではなく、図書館に関連した人々にスポットが当たります。
就職活動に全敗し、希望していた専門職の試験も体調不良で棄権してしまい、自信を失った就活生のチドリさん。彼女が「天職と思える仕事と出会えるのだろうか」と悩む中、鮮やかな職人技を持つ老図書修復家・降旗(フルハタ)先生に魅せられ……。チドリさんと降旗先生が、「本当にやりたいことは何か」「人生としての図書修復の仕事」と向き合い、新たな一歩を踏み出す中編には、胸が熱くなります。

更に、ワルツさんの同僚・サトミさんの過去が明かされる短編、ワルツさんと、彼女に「サエズリ図書館の書籍を全て電子化してほしい」と迫る電子図書館司書・ヒビキさんとの対立を描く短編でも、「己の仕事」「人生の選択」「悩む自分の孤独に寄り添ってくれる本」について、丁寧に語られています。

そして書き下ろしは、サエズリ図書館の警備員・タンゴくんをメインに描かれます。高齢の祖父を継ぐ形で警備員をしている彼は、金髪に、口や耳にピアスをつけているという派手な外見や、愛想のなさから不良のように見られることもありますが、他人を気遣える優しい男の子でもあります。「ワルツさんのことは他よりほんの少し丁寧に扱う」とも表される、タンゴくんの本心が描かれる新作は必見です!

また第1巻に続き、「著者あとがき」を単行本版に加え、文庫版も書き下ろししていただきました。シリーズや書き下ろしについての想いを、紅玉さんに存分に語っていたいております。

第1巻から通して描かれる、本と人の奇跡の物語をどうぞお楽しみください!