ヴァイオレットだけが知っている

ヴァイオレット、17歳。“爆弾魔”の孫娘。
爆破事件現場から消えた彼女を追う警官ビッシュ。
緊迫の追跡劇の行方は、予想外の真相へ――!

みなさんこんにちは。3月20日発売の創元推理文庫新刊『ヴァイオレットだけが知っている』(メリーナ・マーケッタ、小林浩子訳)をご紹介いたします。

著者のメリーナ・マーケッタはオーストラリア生まれの作家です。高校で英語や歴史の教師をしながら執筆活動を行い、1992年に『アリブランディを探して』で作家デビューしました。日本では、「10代のための海外文学」をテーマに世界各国から選りすぐりの文学作品を集めた岩波書店のシリーズSTAMP BOOKSから翻訳刊行されています。オーストラリア児童図書賞をはじめ数々の賞を受賞し、映画化もされ人気を博しました。
そしてSaving Francesca (2003)で同賞を再度受賞し、On the Jellicoe Road (2007)では全米図書館協会マイケル・L・プリンツ賞を受賞。数々の受賞歴からおわかりいただけるとおり、主にヤングアダルト小説の分野で活躍している作家です。著作は20か国以上で出版されています。

そして2016年に刊行されたのが、この『ヴァイオレットだけが知っている』(原題:Tell the Truth, Shame the Devil)で、著者の初めての一般向けミステリです!
あらすじは……。

ロンドンの警察官ビッシュは、娘の参加したバスツアーのバスがフランスで爆破されたと連絡を受ける。娘は無事だったが死傷者多数。さらにツアー参加者のひとりが、かつて23人を殺害した爆弾犯の孫だと判明する。その17歳の少女ヴァイオレットは、事情聴取のあとでツアー参加者の少年と姿を消してしまい、ビッシュは彼女たちの行方を追うが……。

ツアーバスが爆破されるという衝撃的な冒頭から圧巻の追跡サスペンスが始まっていきます。主な語り手である警察官ビッシュは温厚な人柄ですが、我慢の限界に達すると手がつけられなくなるタイプで、職場で同僚に銃を突きつけて目下停職処分中の身。妻には去られ、娘には愛想を尽かされ……とさんざんな日常を送っています。そんなときに娘の乗っていたバスが爆破されたことを知らされます。そして現場に向かい、ヴァイオレットという少女と出会います。

ヴァイオレット、17歳。オーストラリアからフランスをめぐるバスツアーに参加しましたが、実は彼女にはとてつもない秘密が。かつてイギリスで23人を殺害した爆弾犯の孫だったのです。彼女の母親ノアも共犯として服役中で、父親は死亡しており、ヴァイオレットはオーストラリアの祖父母に育てられました。
イギリスやフランスの警察や政府関係者はヴァイオレットを尋問します。彼女は爆破を計画したのか? もしくは彼女を狙った犯行なのか? 全く無関係のテロ事件なのか? さまざまな謎が渦巻くなか、なんと尋問の翌日にヴァイオレットは現場から姿を消してしまいます。同じツアーに参加していた、13歳のイギリスの少年を連れて――。

失踪したヴァイオレット、それを追うビッシュ。ヴァイオレットの家族、ビッシュの家族、そして爆破事件に巻き込まれた少年少女たちやその家族。物語はさまざまな視点から描かれ、次々に驚きの展開が待ち受けています。ヴァイオレットはなぜ現場からいなくなったのか? 彼女の目的は? 謎が謎を呼び、ページをめくる手が止まらなくなります。そして最後には信じられないような事件の真相が明らかになるのです。

ミステリとしてとても優れており、家族小説でもあり、人種やテロの問題を考えさせられる物語でもあり……さまざまな魅力がある作品です。そして何より「とてつもなく面白い!!!」数々の受賞歴を誇る著者が紡いだ物語をじっくり味わっていただければ嬉しいです。

引き込まれそうに美しくて素敵なカバーデザインは、アルビレオさんが手がけてくださいました! シリアスななかにも明るさのあるような写真をお願いしたいのですが……というわたしのわやわやした希望にぴったりなものを探してくださいました! ヴァイオレット色の帯デザインも格好良くて大好きです。
書店でお見かけの際には、ぜひ手に取ってみてくださいー!

『ヴァイオレットだけが知っている』(メリーナ・マーケッタ、小林浩子訳)は3月20日発売です!

*** 海外書評で絶賛の嵐! ***

「すべてのミステリ・ファンのベッドサイドに置かれるに値する」
――〈ザ・サタデー・ペーパー〉(オーストラリア)

「……最後のページを読んだあともずっと心に響き続ける、美しい構成の犯罪小説だ」
――〈シドニー・モーニング・ヘラルド紙〉、スー・ターンブル

「……好感の持てるキャラクター、家族のドラマと胸が張り裂けるような思いがぎっしりと詰まっている。サスペンス、ミステリ・ファンに強くお勧めする」
――〈ライブラリー・ジャーナル〉、クリスティン・カルバート(星付きレビュー)

ヴァイオレットだけが知っている (創元推理文庫)
メリーナ・マーケッタ
東京創元社
2023-03-20