Fukkancover2022

東京創元社では品切れ中の文庫作品を対象として、毎年"復刊フェア"を開催しています。
これより紹介するのが、2022年10月上旬よりおこなわれる本年度の復刊フェア作品全10点です。
ご購入の参考にどうぞ。

昨年大好評だった作家推薦帯つき作品を今年も3点刊行!

※実店舗・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは10月上旬以降となります。
復刊フェア開催店舗一覧はこちらです(開催時期は書店によって異なります)。


事件当夜は雨
ヒラリー・ウォー/吉田誠一訳
『事件当夜は雨』
《新カバー!》《宮部みゆき推薦!》
「落ち込んだときに取り出しては読み返す、暗夜の灯台のような作品。」宮部みゆき
どしゃ降りの雨の夜。果樹園主を訪れたその男は「おまえには50ドルの貸しがある」と言い放つや、いきなり銃を発砲した……コネティカット州の小さな町、ストックフォードで起きた奇怪な事件。霧の中を手探りするように、フェローズ署長は手がかりを求める。その言葉の意味は? 犯人は? 警察の捜査活動を緻密に描きつつ、本格推理の醍醐味を満喫させる巨匠ウォーの代表作登場。解説=杉江松恋


スターヴェルの悲劇
F・W・クロフツ/大庭忠男訳
『スターヴェルの悲劇』
《新カバー!》
スターヴェル屋敷が一夜にして焼失し、主人と召使夫婦の焼死体が焼け跡から発見され、金庫の中の紙幣が大量に灰になるという事件が起こる。微かな疑問がもとで、スコットランドヤードからフレンチ警部が乗り出すこととなった。事故か? 放火殺人か? だが、フレンチの懸命な捜査を嘲笑うように、事件は予想外の展開を見せて……。クロフツ初期の傑作として名高い作品の完訳。巻末対談=中島河太郎、紀田順一郎、北村薫、小山正(聞き手:戸川安宣)


五匹の赤い鰊
ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽莢子訳
『五匹の赤い鰊』
《新カバー!》
スコットランドの長閑(のどか)な田舎町で嫌われ者の画家の死体が発見された。画業に夢中になって崖から転落したとおぼしき状況だったが、ピーター卿はこれが巧妙な擬装殺人であることを看破する。怪しげな六人の容疑者から貴族探偵が名指すのは誰? 大家の風格を帯び始めたミステリの女王が縦横無尽に紡ぎ出す本格探偵小説の醍醐味。後期の劈頭(へきとう)をなす、英国黄金時代の薫り豊かな第六弾! 解説=小林晋


アブナー伯父の事件簿
M・D・ポースト/菊池光訳
『アブナー伯父の事件簿』
《米澤穂信推薦!》
「ここにはミステリとアメリカ、それぞれの若き日の姿がある。そこでは敬神と合理、法の尊重と自力救済が矛盾なく同居している。」米澤穂信
開拓時代のアメリカを舞台に、無法と悪に挑戦するアブナー伯父。彼は岩のような良識のかたまりで、厳格な篤信家――しかし、悪に対して忍従したりしない、軍神に仕える探偵であった。私刑に対し警鐘を鳴らす「私刑」をはじめ、「不可抗力」「ナボテの葡萄園」など特異な作風を誇る名作に加え、中編「〈ヒルハウス〉の謎」等作者生前の短編集に未収録の作品全編を収録している。解説=戸川安宣


冬そして夜
S・J・ローザン/直良和美訳
『冬そして夜』

11月の深夜、警察署へ呼び出された私立探偵ビル・スミスは、甥のゲイリーと思わぬ再会を果たす。なぜニューヨークへ来たのか話さぬまま、再び姿を消した甥を捜すため、甥一家が住む町ワレンズタウンを訪れたビルと相棒のリディアは、アメリカン・フットボールの盛んな町が抱える歪みと醜聞に、否応なく直面するのだった。私立探偵小説シリーズ第8弾、MWA最優秀長編賞受賞作。解説=山崎まどか


鈍い球音
天藤真
『鈍い球音』
《新カバー!》
東京タワーの展望台から一人の男が忽然と姿を消した、トレードマークでもある口髭とベレー帽を残して――。折しもプロ野球日本シリーズ開幕直前、消えたのは弱小球団を大一番まで導いた監督その人だった。一転窮地に追い込まれた球団は代理監督を立ててシリーズに臨むが、白熱する試合の裏では更なる不可解な事件が。野球小説とミステリの興趣が間然するところなく結びついた快作。解説=倉知淳


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茨文字の魔法
パトリシア・A・マキリップ/原島文世訳
『茨文字の魔法』
《乾石智子推薦!》
「読者は一粒のさざれ石となって、万華鏡の海を漂うことになるだろう」乾石智子
レイン十二邦を統べる王の宮殿。その下にある王立図書館で、捨て子だったネペンテスは育った。ある日、魔法学校の学生から預かった一冊の本。そこに茨のような謎めいた文字で綴られていたのは、かつて世界を征服した王と魔術師の古い伝説だった。おりしも年若い女王の即位に揺れるレイン十二邦は、次第に運命の渦に巻き込まれていく。名手マキリップが織りなす、謎と伝説の物語。訳者あとがき=原島文世


怪奇クラブ
アーサー・マッケン/平井呈一訳
『怪奇クラブ』
《新カバー!》
恐怖的なまでの法悦を描く無二の作家マッケン。英国怪奇小説の黄金期を代表する彼の作品は、いずれも妖しいまでの白光に包まれている。本書には、白い粉薬を服(の)んだがために青年の肉体に起きる変容を綴った「白い粉薬のはなし」を始めとする円環をなす一連の奇譚を集めた表題作に、“聖杯”をテーマにすえ、怪奇小説のひとつの終点をも暗示する『大いなる来復』を併せて収録した。解説=平井呈一


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SFベスト・オブ・ザ・ベスト上
ジュディス・メリル編/浅倉久志・小尾芙佐・深町眞理子訳
『SFベスト・オブ・ザ・ベスト 上』

SF作家/評論家であると同時に、卓抜なアンソロジストとして知られるジュディス・メリル。本書は、彼女の名を不動のものとした年次SF傑作選から、さらに27編を選りすぐった、“傑作中の傑作”を収録した決定版アンソロジイである。上巻には、フリッツ・ライバー「跳躍者の時空」、ゼナ・ヘンダースン「なんでも箱」、デーモン・ナイト「異星人ステーション」ほか全11編を収録。序文=ジュディス・メリル


SFベスト・オブ・ザ・ベスト下
ジュディス・メリル編/浅倉久志・伊藤典夫・井上一夫・吉田誠一訳
SF作家/評論家にして卓越したアンソロジスト、ジュディス・メリル。彼女の名を不動のものとした年次SF傑作選から、さらに逸品を選りすぐって、“傑作中の傑作”を網羅する決定版アンソロジイ。この下巻には、コードウェイナー・スミス「夢幻世界へ」、フリッツ・ライバー「マリアーナ」、ロバート・シェクリー「危険の報酬」などをはじめ、全16編の名だたる傑作を収めた。解説=浅倉久志



※実店舗・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは10月上旬以降となります。


(2022年9月21日/2022年10月6日)