みなさん鉄道と聞いて何を思い浮かべますか?
新幹線を思い浮かべる方、修学旅行などの特別列車を浮かべる方など様々かと。私は子供の頃の乗った東京の地下鉄(確か銀座線でした)が駅間で暗くなることを、印象深く憶えています。地下鉄のない地方出身にとって、地下で暗くなるというのが、ある意味東京の象徴でした。
さて、『思い出列車が駆けぬけてゆく』は、著者の辻真先さんが雑誌に掲載した、鉄道ミステリを中心に12編を集めた傑作選です。12編中11編が書籍初収録の傑作選ですので、ファンの皆様もお楽しみいただけるかと思います。しかも作中に登場する列車や路線は、いくつかが廃止・廃線になってしまった今となっては懐かしいものばかりです。架空の路線もありますが、鉄道ファンでしたらモデルはどの路線なのか、見当もつくはず。
選者は山沢晴雄『死の黙劇』『ダミー・プロット』も手掛けていただいた、戸田和光さん。実はご自身も鉄道ファンとのことで、作品チョイスと作中の鉄道紹介をメインとした解題をお願いしています。
なかなか全国各地を旅するというのが難しくなったいまだからこそ、小説の中ではあれこれと思い浮かべながら楽しめるのではないでしょうか。
以下収録作と路線、列車名をざっと記載します。
ぜひ参考になさってください。
・「お座敷列車殺人号」……お座敷列車
・「夜行急行殺人号」……北陸本線、信越本線、L特急ほか
・「ブルートレイン殺人号」……ブルートレイン
・「α列車殺人号」……α列車、美信線
・「郷愁列車殺人号」……五能線、ノスタルジックビュートレイン
・「白い闇の駅」……石北本線
・「オホーツク心中」……興浜北線
・「遠い日、遠いレール」……東海道本線、大垣夜行、羽越本線ほか
・「終電車の囚人」……外房線、横須賀線
・「鉄路が錆びてゆく」……羽幌線、山陰本線
・「東京鐵道ホテル24号室」……信越本線
・「轢かれる」……鷹取線