7月20日に刊行した、創元文芸文庫第5弾・雪乃紗衣『永遠の夏をあとに』。本書は、累計650万部を超える大ヒットシリーズで、アニメ化もされた《彩雲国物語》の著者が贈る、ひと夏の少年の成長と冒険を描いた物語です。

まずはあらすじを紹介しましょう。舞台は1999年7月。主人公は、田舎町に住む小学六年生の拓人。彼は幼い頃に神隠しに遭い、その間の記憶を失っています。そんな彼の前に、小学生最後の夏休み初日に、弓月小夜子と名乗る年上の少女が現れました。彼女は「以前、拓人の母と共に三人で暮らしたことがある」「幼い拓人は自分のことを『サヤ』と呼んでいた」と話しますが、どうしても拓人は思い出せません。
母の入院のため、彼は夏休みを小夜子(サヤ)と過ごすことになるものの、彼女は自分について話そうとせず……。

謎めいたサヤは何者なのか。なぜ数年の時を経て、拓人の前に再び現れたのか。なぜ拓人は彼女についての記憶が無いのか? 物語は、ふたりが交流する夏休みのパートと、神隠しが起きた過去パート、それぞれを行き来しつつ、徐々にある切ない真実が明かされていきます。

拓人とサヤの心の触れ合いや、ふたりの再会を機で町に発生する怪異を描いたシーンには、泉鏡花『春昼・春昼後刻』をオマージュした幻想的な美しさがあります。その美麗さに魅了される一方で、拓人、彼の親友・彰、拓人と因縁があるクラスメイト・数馬の三人のやり取りは、「小学生男子!」らしさ全開の、コミカルなやんちゃさがあります。
そんな拓人たちが、ラジオ体操、向日葵の観察日記、アイスやかき氷にスイカ、花火、夏祭り、林間学校……といった、小学生最後の夏休みを満喫する姿には、郷愁を覚えてしまいます。

夏休みの終わりは、子ども時代の終わりでもあります。夏休み終盤にある事件が起こり、拓人たちはサヤをはじめとした大切なものを守るために立ち上がります。彼らの子ども時代最後の冒険は、どんな結末を迎えるのか? 少年の勇気と成長を描いたラストシーンを、ぜひ見届けてほしいです。

さて、最後に『永遠の夏をあとに』を更に楽しむためのガイドをいくつか紹介しましょう。

①紹介動画をYouTubeで公開しました!

BGMはsourcesさんに、単行本刊行時に書き下ろしていただいたテーマ曲「恋文」です!「恋文」のフル音源や、雪乃さんの単行本刊行記念インタビューは、こちらの記事をご覧ください。

「書き下ろしテーマ曲も掲載! 雪乃紗衣『永遠の夏をあとに』刊行記念 スペシャルインタビュー」


②雪乃紗衣さんのオフィシャルブログで、文庫化に際した裏話を掲載しています。あのキャラの意外な由来も……!?

「創元文芸文庫版『永遠の夏をあとに』7月中旬発売です」


③単行本刊行時に寄せられた、全国の書店員さんからの熱い感想コメントも要注目です。
一部のコメントは、書店店頭に掲載されるPOPでもご覧になれます。

「雪乃紗衣『永遠の夏をあとに』、全国の書店員さんからの絶賛メッセージ!(&担当編集者および担当営業者からの、感想コメント付き)」


そして、Re°さんの鮮やかな装画、西村弘美さんの綺麗な装幀(カバーのみならず帯もぜひ!)、三村美衣さんの詳細な解説も見逃せません。

夏の読書にふさわしい『永遠の夏をあとに』を、どうぞご堪能ください。

永遠の夏をあとに (創元文芸文庫 LA-ゆ 1-1)
雪乃 紗衣
東京創元社
2022-07-20