まだまだ海外旅行に気軽に行けない今、魅惑の街ヴェネツィアに思いを馳せるファンタジイ『ヴェネツィアの陰の末裔』はいかがでしょう。
 16世紀、権謀術数に明け暮れる大国のなかでしたたかに立ちまわるヴェネツィア共和国。そこではキリスト教世界で異端として迫害されている魔術師たちが、陰の存在ながら諜報活動をおこなっていた。
 異端と迫害されながらも自らの存在意義を探り、懸命に生きる魔術師を描いたファンタジイ、先読みをして下さったNetGalley会員の皆様のレビューをご紹介します。
 場所だけでなく時間も旅をした気分が味わえます!

作品の世界観、設定、キャラクターが全て魅力的でどっぷり浸かって読ませていただきました!
誰を信じていいのか、誰が裏切り者なのかずっとわからなくて最後まで目が離せませんでした。息を呑むシーンが本当に多くて、ドキドキの連続。
魔術師や護衛剣士達のバトルも熱く、ハラハラしながら楽しみました。
最後、主人公の見ていた夢や亡くした記憶など全てが繋がっていき、すごい物語を読んだなぁ!と満足感がすごかったです。
ずっしりとした物語、とても面白かったです!ありがとうございました!
(書店関係者) 

読み始めてしばらくは物語の設定を理解するのに必死でしたが、その後は作品の中にのめり込んで読むことが出来ました。450ページ近くに及ぶ大作です。
16世紀のヴェネツィアが舞台。本当にはいなかったであろう魔術師たちが主人公。ベネデットの視点で物語は進んでいきます。誰を信じたら良いのか分からないまま、主人公と一緒にアクションシーンを体験し、ラストは「そうだったのか!」と衝撃を受けます。当時のヴェネツィアについても、巻末の参考文献が掲載されるほど読み込まれており、その時代を想像しながら読むのが楽しかったです。
登場人物たちも、途中からそれぞれに興味深い背景が現れてきて、飽きることなく、先を楽しみならが読み終えました。
(図書館関係者) 

16世紀ヴェネツィアが舞台の作品。ファンタジーとわかっていても実在していたのではないかと思わせられる様な陰の世界に引き込まれ、終始楽しくワクワクしながら読了です。
主人公を含めた魔術師やそれを取り巻く人物達も個性的で、誰が裏切り者で誰を信じたら良いのかが読み進めていくほどにわからなくなって行き、推理的な要素も含んで面白く感じました。
(書店関係者) 

権謀術数渦巻く16世紀前半のヨーロッパ。フランス、ドイツ、オスマントルコに蹂躙されるイタリアで、ヴェネツィア共和国が魔術師を公認していたという設定で描かれたファンタジー小説。
表舞台ではわれわれが知るヨーロッパ史が展開され、その裏では主人公であるベネデットらヴェネツィア共和国の魔術師がフランスやオスマントルコの陰謀と戦っている。
最初は少々慣れない語り口にページを繰るペースが上がらなかったが、謎が謎を呼ぶストーリー展開で読書のペースも上がっていき、後半部は一気に読了できた。一体誰が味方で誰が敵なのか最後までわからない筋立てがハラハラドキドキで面白い。
呪文による魔術は呪文の詠唱を完成させないと発動されない。そのため戦闘の場面では役に立たないはずなのを、腕輪に魔術を封じ込めで戦闘時に発動させるという設定を設けて魔術戦を描く。物理的に持てる腕輪が六つという設定で、戦闘を今流行のカードバトル的な様相で描いてる。この物語の魔術師同士の闘いは単に魔術の力比べではなく、あらかじめどのような魔術をいくつ腕輪に封じ込めておくか、それをどの時点で発動させるかという戦術が必要になる。単純に魔力が強いものが勝つということでなくして、物語を面白くしている。
さらに、魔術師は体力的に劣るというファンタジーもののお決まりのルールで、魔術師には剣の力で魔術師をまもる護衛剣士がつく。一人の魔術師に一人の護衛剣士。二人は”血の契約”で結ばれており、いわゆるバディもの的な要素を添えている。
また、物語のモチーフにダンテの「神曲」が使われており、筋立てやアイテムの名前などに巧みに神曲が組みこまれているのも面白い。
本作は、第5回創元ファンタジイ新人賞佳作作品だそうだが、撰評を受けて大幅に改稿されている様子で、佳作とは思えない完成度。この手の小説には珍しく巻末に参考作品がずらっと並んでおり、取材の精度が高いことを思わせる。この世界観を活かしたシリーズとして次回作も期待したいところである。
(レビュアー) 

世界観が素晴らしかったです!
陰の世界がほんとによく描かれていて味方なのか敵なのか物語を読んでいてわからなくなりそうでしたが最終的には主人公の背景や出生もわかりすっきりしました!素晴らしい作品をありがとうございます!
(レビュアー) 

16世紀が舞台のファンタジー。
魔術師に護衛剣士といえば私のなかではゲームの中の登場人物に思え、裏切り者が誰なのかと思いつつ、ともに旅をしてゲームをクリアしたようなすっきりした読後感でした。
記憶をなくした主人公が見る夢が繋がる最後までとても面白く読めました。幅広い世代が楽しめるファンタジーだと思います。
(レビュアー) 

映像映えしそうな描写、ころころ変わる展開の臨場感にドキドキする物語でした。
世界の歴史を下敷きにしつつ、ファンタジー要素の混ざった世界観が素敵な作品です。
腕輪を使った魔法バトルも斬新で、頭を使う戦いをしているのだということがいやでも理解できてしまう楽しさがあります。
ですが、それだけではなく、主人公たちの因縁や裏切り者は誰かなどの謎掛けもあるバランスの良い作品でした。
(図書館関係者) 

時は16世紀フランスとオスマントルコ、教皇の勢力図や政情をよく調べてあり、舞台のヴェネツィアでは欧州では唯一魔女狩りが行われなかった歴史的事実が世界観に説得力を与えて歴史の裏側で魔術師たちが戦っていることにワクワクしました。でも、全体的に文章が硬くてちょっと読みにくい感じがしました。
(レビュアー) 

浪漫溢れる世界観にハラハラし、主人公の苦悩に心苦しくなり、切なくも温かいストーリーでした。歴史的背景が壮大だったので、もう少し地理的な動きがあったらもっと素敵な物語になったと思います。が、その時代の町並みや風景がきらびやかに脳内に映し出される表現方法がとても素敵だと思いました。
(図書館関係者) 

ヴェネツィアといえば憧れの地のひとつ。
日本での有名なテーマパークの海辺に模したゴンドラや街並みがあるほど日本人には夢のような地なのでしょう。
明るく煌びやかなイメージの夢の街に、陰とつき末裔とつく物語。ずっしりと濃厚な400ページをお楽しみあれ。
(書店関係者)