SFとファンタジーの基本はセンス・オブ・ワンダーだ。そして並はずれたセンス・オブ・ワンダーを味わえるのは、超人的なヒーローが宇宙の命運をかけて銀河のかなたで恐ろしい敵と戦う物語だ(序文より)――常識はずれの宇宙航行生物、謎だらけの巨大異星構造物、銀河をまるごと吹き飛ばす規模の超爆弾。ジャック・キャンベルら充実の執筆陣による、SFならではの圧倒的スケールで繰り広げられる物語18編を集めた傑作選。解説=堺三保


 今回の特徴は、とにかくスケールの大きな話を集めたところ。編者が序文で《マーベル・ユニバース》『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の名前を引き合いに出しているように、SFならではの圧倒的スケールで繰り広げられる冒険とアクションの物語をたっぷり楽しめます。

 18点の収録作の中には、《彷徨える艦隊》シリーズのジャック・キャンベル、『空のあらゆる鳥を』『永遠の真夜中の都市』のチャーリー・ジェーン・アンダーズ、『銀河核へ』のベッキー・チェンバーズのように既に邦訳のある作家に加え、カメロン・ハーレイやヴィラル・カフタンなど、本邦初訳となる注目の新鋭作家の作品も多数。読みごたえのある一冊になっています。

 そして今回も加藤直之による扉絵18点を収録(電子書籍版はカラー収録)。こちらも注目です。

【もくじ】
序文 J・J・アダムズ
チャーリー・ジェーン・アンダーズ「時空の一時的困惑」
トバイアス・S・バッケル「禅と宇宙船修理技術」
ベッキー・チェンバーズ「甲板員、ノヴァ・ブレード、大いに歌われた経典」
ヴィラル・カフタン「晴眼の時計職人」
ジョゼフ・アレン・ヒル「無限の愛」
アダム=トロイ・カストロ&ジュディ・B・カストロ「見知らぬ神々」
キャロリン・M・ヨークム「悠久の世界の七不思議」
アラン・ディーン・フォスター「俺たちは宇宙地質学者、なのに」
カール・シュレイダー「黄金の人工太陽」
A・マーク・ラスタッド「明日、太陽を見て」
ショーニン・マグワイア「子どもたちを連れて過去を再訪し、レトロな移動遊園地へ行ってみよう!」
アリエット・ド・ボダール「竜が太陽から飛び出す時」
リンダ・ナガタ「ダイヤモンドとワールドブレイカー」
ユーン・ハ・リー「カメレオンのグローブ」
カット・ハワード「ポケットのなかの宇宙儀」
ジャック・キャンベル「目覚めるウロボロス」
カメロン・ハーレイ「迷宮航路」
ダン・アブネット「霜の巨人」
解説 堺三保