文字を持たぬ辺境の島に生まれ、異国の師に導かれて書物に耽溺して育った青年は、長じて憧れの帝都に旅立つ。だが航海中、不治の病に冒された娘と出会ったがために、彼の運命は一変する。世界じゅうの書物を収めた巨大な王立図書館のある島で幽閉された彼は、書き記された〈文字〉を奉じる人々と、語り伝える〈声〉を信じる人々の戦いに巻き込まれてゆく――デビュー長編にして世界幻想文学大賞、英国幻想文学大賞、ジョン・W・キャンベル新人賞、クロフォード賞の四冠を制覇した驚異の新人による、書物と言葉をめぐる傑作本格ファンタジイ。文庫版解説=乾石智子

2017年に単行本が刊行されるや、読書界で大きな話題となったソフィア・サマター『図書館島』。その文庫版がとうとう登場します。

未読のかたは、ぜひ冒頭の第一章だけでも読んでいただければと思います。初めて文字というものを知ったときの衝撃、書物というものがこの世に存在するという事実への驚き、そうしたものの魅力が著者の精緻な文章によって語られていくさまは、それだけで読者を物語に没頭させてくれるでしょう。

さらに、文庫版には作家・乾石智子が解説を新たに書き下ろし。5月上旬の刊行をお楽しみに!

図書館島 (創元推理文庫)
ソフィア・サマター
東京創元社
2022-05-12


翼ある歴史 図書館島異聞 (海外文学セレクション)
ソフィア・サマター
東京創元社
2019-04-11