営業部では2ヶ月に一度、その月の中旬頃に、これまでに刊行された文庫のオビとPOPのデザインを一新して書店さんにお送りする「激押し!」という企画を行っております。
2022年4月の激押しは『戦場のコックたち』(深緑野分)です。

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【内容紹介】合衆国陸軍の特技兵(コック)、19歳のティムはノルマンディー降下作戦で初陣を果たす。軍隊では軽んじられがちなコックの仕事は、戦闘に参加しながら炊事をこなすというハードなものだった。個性豊かな仲間たちと支え合いながら、ティムは戦地で見つけたささやかな謎を解き明かすことを心の慰めとするが。戦場という非日常における「日常の謎」を描き読書人の絶賛を浴びた著者の初長編。解説=杉江松恋

本作は、作戦が成功した後に不要なはずのパラシュートを集める兵士の意外な目的が明かされる「ノルマンディー降下作戦」や、一晩でこつ然と消えた600箱もの粉末卵(噴霧乾燥して粉にした卵)の謎を描く「軍隊は胃袋で行進する」、雪が降るクリスマスの松林をさまよう幽霊兵士の顛末「幽霊たち」など、戦場で起きるものの、殺人事件ではない謎を解きあかす物語です。

謎を解く間にも戦況は過酷なものになっていきます。ある時は民家で、またある時は塹壕の中で戦い心をすり減らしていく主人公たち。「最後まで生き残って欲しい」と祈りながら読み進めました。
そして、胸を打つラスト――。彼らがどう生きたかを是非皆様にもお読みいただきたいです。

本作は深緑野分先生の初長編にして2016年の本屋大賞にノミネートされ、第154回直木賞候補作にも選ばれるなど、高い評価を受けました。さらに今年3月には第二次世界大戦直後のドイツを舞台にしたミステリ『ベルリンは晴れているか』(ちくま文庫)が文庫化され、4月には映画の舞台裏を支える特殊造形やCGをテーマにした『スタッフロール』(文藝春秋)が発売されました。

店頭でお見かけの際は是非お手にとってみて下さい!

戦場のコックたち (創元推理文庫)
深緑 野分
東京創元社
2019-08-09


オーブランの少女 (創元推理文庫)
深緑 野分
東京創元社
2016-03-20