『紙魚の手帖(しみのてちょう)』には、「国内外のミステリ、SF、ファンタジイ、ホラー、一般文芸を刊行してきた東京創元社ならではの、総合文芸誌をお届けする」というコンセプトがあります。2月刊行の最新号でやっと3冊目ですが、読者の皆様からの感想より、「国内外やジャンルを問わず、様々な魅力的な小説を掲載することで、未知のジャンルや新たな作家さんとの出会いの場を提供できている」という手応えも感じています。
今後も、素敵な作品・作家さんと読者の皆様を繋いでいけるよう、邁進いたします!

それでは、最新号の『紙魚の手帖vol.03』の掲載内容についてご紹介いたします。
まず、記念すべき本誌初の特集は、「祝・完結!『短編ミステリの二百年』振り返り」。2021年12月に全6巻のシリーズ刊行を終えた、『短編ミステリの二百年』(小森収編)の完結記念特集をお贈りします。小森収さんと書評家・杉江松恋さんによるディープな対談や、「ここだけの編集後記」、各巻解題、ボーナストラックのリング・ラードナーの短編掲載など、盛りだくさん。

シリーズ全てを読破した方も、収録作数編のみを知っているという方も、もちろん未読の方も楽しめる内容です! ぜひ、寒い一日を温かな室内で過ごす際の、お伴にじっくりお読みください。

新連載は、『ぼぎわんが、来る』『邪教の子』といったホラーやミステリで活躍している、気鋭・澤村伊智さんが登場。高校生たちの青春映画をめぐる異色の長編ミステリ、『特撮なんて見ない』を、どうぞご堪能あれ。

また、読み切りも充実しています。国内作品は、乾石智子さんによる〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ最新作(便利なシリーズ解説&年表&地図つき!)、倉田タカシさんによる不思議な猫をめぐる物語、倉知淳さんによる〈乙姫警部〉シリーズ最新作、近藤史恵さんによる〈ビストロ・パ・マル〉最新短編、榊林銘さんによる本格ミステリ、砂村かいりさんによる揺れ動く女性の心情を細やかに描いた短編、松樹凛さんによる少年と少女の幻想譚、森谷明子さんによる〈秋葉図書館〉シリーズ最新作(なんと豪華2本立て)。翻訳作品は、イザベル・フォールによるヒューゴー賞候補の問題作のSF短編といった、様々なジャンルの傑作をお届けします!

そして、エッセイの新連載も2本スタート。ひとつは、当代きっての本好きの3名、有栖川有栖さん・北村薫さん・宮部みゆきさんがそれぞれのとっておきの短編を紹介する、「ぼくたちが選んだ」。3名がどんな名短編を選んだかを、ぜひご覧になってください。

もうひとつは、翻訳家の皆さんが翻訳作品や日常について語るリレーエッセイ、「翻訳のはなし」。第1回を担当した田口俊樹さんが語る、「エンタメ翻訳党宣言」とは何か? エンタメ翻訳にかける熱い想いを、どうぞお見逃しなく。

充実した内容でお届けする、『紙魚の手帖vol.03』をどうぞよろしくお願いいたします!