対局で負けようと思う人はいない。しかし対局が進むにつれて、どうも思わしくない局面が訪れる。どこで間違ったのか、苦しくなることがある。
一局はだいたい約240手前後で終わるという。劫争いがあると手数は多くなるし、序盤で石を殺されたりすると手数は少なくなるけれど。まあ、互いに120手くらいは打つことになる。そしてアマチュアの碁では、一局で20回くらいは間違った手を打つと言われている。対局する双方では約40手が間違いということになる。間違うからアマチュアだと開き直ることも出来るが、それではどうにもならない。
間違いは序盤でも中盤でもヨセでもあるが、特に序盤で間違うとずっと苦しくなる。当然守っておくべきところを手抜きしたり、カス石を逃げてみたりする。苦しくなって無理な手を連発して余計に苦しくなる。
しかし、途中で相手が致命的なミスをしてくれて勝ってしまうこともある。そうなると自分の間違いが見えにくくなる。そんな碁を繰り返していても強くなれるはずはない。高段者になっても先入観に囚われてか、自分の間違いに気づかず打ち進めているのを見かけることがある。
本書は、主に布石段階での間違いについて、当然と思っていつも打っている手やクセとして沁みついている手に対して、正しい石の運びを指摘して解説したものである。
強くなるためにはAIの勉強も欠かせないものではあるけれど、まず基本に立ち返ることが肝要であろう。本書によって、自分の碁を見詰め直してみることも上達には必要なことだと思われる。