2021年もいよいよ大詰めとなって、毎年恒例の年末ミステリランキング四つがすべて出そろいました。
おかげさまで、今年も東京創元社の刊行物に高評価をいただき、四つのランキングすべてに多数の作品がランクインしました。
それらのタイトルを、一挙にご紹介いたします。
まだ読んでいない作品、気になった作品があれば、ぜひお手に取ってみてください。


■海外ミステリ

ヨルガオ殺人事件 上 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)

『ヨルガオ殺人事件』(上下)アンソニー・ホロヴィッツ/山田蘭訳(創元推理文庫)
第1位 このミステリーがすごい!2022年版
第1位 週刊文春ミステリーベスト10 2021
第1位 2022 本格ミステリ・ベスト10
第2位 ミステリが読みたい!2022年版
『カササギ殺人事件』から2年。クレタ島で暮らす元編集者のわたしを、英国から裕福な夫妻が訪ねてくる。彼らのホテルで8年前に起きた殺人の真相を、ある本で見つけた――そう連絡してきた直後に夫妻の娘が失踪したという。その本とは、わたしが編集した名探偵〈アティカス・ピュント〉シリーズの一冊だった……。『カササギ殺人事件』の続編にして、至高の犯人当てミステリ! 解説=酒井貞道

自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫)

『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソン/服部京子訳(創元推理文庫)
第1位&新人賞 ミステリが読みたい!2022年版
第2位 このミステリーがすごい!2022年版
第2位 週刊文春ミステリーベスト10 2021
第2位 2022 本格ミステリ・ベスト10
高校生のピップは自由研究で、自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺して、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に関係者にインタビューする。だが、身近な人物が容疑者に浮かんできて……。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、傑作謎解きミステリ!解説=若林踏

見知らぬ人 (創元推理文庫)

『見知らぬ人』エリー・グリフィス/上條ひろみ訳(創元推理文庫)
第3位 週刊文春ミステリーベスト10 2021
第8位 ミステリが読みたい!2022年版
第10位 2022 本格ミステリ・ベスト10
第18位 このミステリーがすごい!2022年版
これは怪奇短編小説の見立て殺人なのか? ――タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の伝説的作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の教師をしながらホランドを研究しているが、ある日クレアの親友である同僚が殺害されてしまう。遺体のそばには“地獄はからだ”と書かれた謎のメモが。それはホランドの短編に登場する文章で……。本を愛するベテラン作家が贈る、MWA賞最優秀長編賞受賞作! 解説=大矢博子

運命の証人 (創元推理文庫 M テ)

『運命の証人』D・M・ディヴァイン/中村有希訳(創元推理文庫)
第6位 2022 本格ミステリ・ベスト10
第14位 このミステリーがすごい!2022年版
第16位 週刊文春ミステリーベスト10 2021
第16位 ミステリが読みたい!2022年版
法廷では、ひとりの弁護士が刑事裁判の審理を他人事のように眺めていた。彼は二件の殺人の、有罪が確実視された被告人としてそこにいるにもかかわらず。六年前、駆け出しだった男――プレスコットは、友人からある女性を紹介される。ひと目でその美女ノラの虜になったときから、彼の運命は狂いだした。四部構成の四部すべてに驚きが待つ、ディヴァイン中期の傑作本格ミステリ! 解説=大山誠一郎

彼と彼女の衝撃の瞬間 (創元推理文庫)

『彼と彼女の衝撃の瞬間』アリス・フィーニー/越智睦訳(創元推理文庫)
第7位 このミステリーがすごい!2022年版
第7位 ミステリが読みたい!2022年版
第20位 週刊文春ミステリーベスト10 2021
ロンドンから車で2時間ほどの町の森で、女性の死体が発見された。爪にマニキュアで“偽善者”という言葉を書かれて――。取材に向かったのは、ニュースキャスター職から外されたばかりのBBC記者のアナ。捜査するのは、地元警察の警部ジャック。彼らによって語られる事件の様相は、なぜか微妙に食い違い……。予想外の展開とどんでん返しが待ち受ける、第一級のサスペンス! 解説=三橋暁

地の告発 (創元推理文庫)

『地の告発』アン・クリーヴス/玉木亨訳(創元推理文庫)
第7位 2022 本格ミステリ・ベスト10
大きな地滑りが発生したのは、ペレス警部が知人の葬儀に参列している最中だった。周辺の状況を調べると、土砂が直撃した空き家で身元不明の女性の遺体が見つかる。だが検死で、女性は地滑りの前に殺されていたと判明。ペレスは身元の割り出しを急ぐが――。シェトランド諸島を舞台に、英国現代本格ミステリの進化を実証しつづける、CWA最優秀長編賞受賞シリーズのマイルストーン。解説=吉野仁


■国内ミステリ

兇人邸の殺人 屍人荘の殺人シリーズ

『兇人邸の殺人』今村昌弘(東京創元社/単行本)
第3位 週刊文春ミステリーベスト10 2021
第3位 2022 本格ミステリ・ベスト10
第4位 このミステリーがすごい!2022年版
第5位 ミステリが読みたい!2022年版
『魔眼の匣の殺人』から数ヶ月後――。神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子が突然の依頼で連れて行かれた先は、“生ける廃墟”として人気を博す地方テーマパークだった。園内にそびえる異様な建物「兇人邸」に、比留子たちが追う班目機関の研究成果が隠されているという。深夜、依頼主たちとともに兇人邸に潜入した二人を、“異形の存在”の無慈悲な殺戮が待ち受けていた。待望のシリーズ第3弾、ついに刊行!

大鞠家殺人事件

『大鞠家殺人事件』芦辺拓(東京創元社/単行本)
第6位 2022 本格ミステリ・ベスト10
大阪の商業都市・船場の化粧品問屋に嫁いだ軍人の娘。だが、夫は戦地に向かい、残された彼女は単身連続殺人の謎に挑むことに……本格の雄の新たな代表作!

孤島の来訪者 〈竜泉家の一族〉シリーズ

『孤島の来訪者』方丈貴恵(東京創元社/単行本)
第7位 2022 本格ミステリ・ベスト10
第13位 このミステリーがすごい!2022年版
第13位 ミステリが読みたい!2022年版
復讐を誓い孤島に向かった竜泉佑樹は、不可解な殺人事件に巻き込まれる。その犯行には人ではないものが絡み、謎解きは予想外の展開へ……。『時空旅行者の砂時計』に連なる、〈竜泉家の一族〉シリーズ第2弾。

あと十五秒で死ぬ (ミステリ・フロンティア)

『あと十五秒で死ぬ』榊林銘(ミステリ・フロンティア/単行本)
第10位 2022 本格ミステリ・ベスト10
第12位 このミステリーがすごい!2022年版
第15位 ミステリが読みたい!2022年版
死神から与えられた余命十五秒をどう使えば、「私」は自分を撃った犯人を告発し、かつ反撃できるのか? 被害者と犯人の一風変わった攻防を描く、第12回ミステリーズ!新人賞佳作「十五秒」。犯人当てドラマの最終回、エンディング間際で登場人物が前触れもなく急死した。もう展開はわかりきっているとテレビの前を離れていた十五秒の間に、一体何が起こったのか? 過去のエピソードを手がかりに当ててみろと、姉から挑まれた弟の推理を描く「このあと衝撃の結末が」。〈十五秒後に死ぬ〉というトリッキーな状況設定で起きる四つの事件の真相を、あなたは見破れるか? 期待の新鋭が贈る、デビュー作品集。

蝶として死す: 平家物語推理抄 (ミステリ・フロンティア 108)

『蝶として死す 平家物語推理抄』羽生飛鳥(ミステリ・フロンティア/単行本)
第10位&新人賞 ミステリが読みたい!2022年版
清盛が都に放った童子は、なぜ惨殺されたのか? 高倉天皇の庇護下にあったはずの寵姫は、どのようにして毒を盛られたのか? 平家の全盛期から源平の争乱へとなだれ込んでゆく時代に、推理力を武器に生き抜いた頼盛の生涯を描く、歴史ミステリ連作集。