ついに〈第五の季節〉が訪れ、破滅的な地殻変動が超大陸を襲う。降りしきる灰のなか、父ジージャにむりやり連れ去られた娘ナッスンは、ロガを“治療”できるという南極地方のある地を目指して旅をする。一方、娘を追う母エッスンは地下都市カストリマにたどり着き、再会した意外な人物に〈月〉と呼ばれるものの存在を聞かされる。〈父なる地球〉、失われた〈月〉、石喰いたち、オベリスク、そして人間――彼らが舞台に出そろったいま、物語は大きく動きはじめる。前人未到、3年連続で三部作すべてがヒューゴー賞長編部門受賞シリーズ、『第五の季節』につづく第2弾!
ほかの誰もが無条件で受けている敬意を、戦い取らねばならない人々に――
(『第五の季節』献辞より)
舞台となるのは、数百年ごとに〈第五の季節〉と呼ばれる破局的な天変地異が訪れ、文明を滅ぼす歴史を繰り返してきた世界。この世界には「オロジェン(ロガ)」と呼ばれる、大地と通じてそのエネルギーを操る能力を持った人々がおり、帝国は彼らを利用して文明の崩壊を防ぎ繁栄しているのですが、むしろそれゆえに彼らは差別され抑圧されています。
前作では3人のオロジェンの女性を主人公として、この無慈悲な世界のありようとその過去を描いてきましたが、本作ではいよいよ〈季節〉到来後の現在が語られてゆきます。〈季節〉到来後の世界の崩壊、オベリスクや石喰いたちといった謎めいた存在の正体とその目的、そして苛烈な運命を背負わされたエッスンたちの生きのびるための戦い……幾重にも積み重ねられた豊かな物語をぜひ、お楽しみに。