室内で行うゲームには、囲碁、将棋、チェス、麻雀、トランプなどが思い浮かぶ。それぞれ推理が重要なゲームである。ある局面で相手がどう考えているのかを推理して、次の一手を考える。「読み」の連続でゲームは進行する。

 麻雀やトランプでは、局面は隠されているが、囲碁や将棋、チェスでは、盤上はオープンで、有利不利は第三者にも分かるようになっている。分かるようになっていると言っても、そこが難しい。将棋やチェスでは、王将(キング)を仕留めれば勝ちであるけれど、それぞれの駒の役割の筋を縫って、勝ち筋を見つけるには、相当の読みが必要となる。将棋では、捕獲した相手の駒を自分の戦力に出来るので、益々複雑になる。

 さて囲碁は、囲った地(目数)の多い方が勝ちであるが、二眼のない石は死んでいるというルールがあり、相手の死んだ石は、相手の囲った地を埋めることが出来る。囲ってばかりいると石が死んでしまい、結局勝負には負けてしまうことになる。地を囲うことと、打った石が生きようとすることが二律背反のようになると、たちまち敗勢となる。

 囲碁を打っていると、攻めるべきか守るべきかの判断に悩まされる。攻めるか守るかによって、その後の局勢がガラリと変わる。相手の強い場所で戦いを仕掛けては、自分が不利になることは言うまでもない。しかし自分が有利に戦える場所で消極的に守っていては、相手の無理が通ってしまう。一手の判断ミスで勝敗が決まることは珍しくない。結局、盤上をどう解釈するのかが勝敗を決めることになる。

 本書は、攻防の分岐点となる局面をまとめ、攻めと守りのどちらを選択するのかを考える問題集で、分かり易いように次の一手の選択肢としてAとBの二つに絞ってある。盤上の局面をどう解釈するかを含め、攻め方、守り方の例を示したものである。

 本書が棋力向上の一助になることを願っている。