2021年最初にして最後の『ミステリーズ!』をお届けいたします。今号で、約17年半にわたって多くのミステリをお届けした『ミステリーズ!』は休刊しますが、最後まで充実のラインナップでお送りします!


 まず、読み切りはバラエティに富んだ4編。倉知淳さんによる、『皇帝と拳銃と』で登場した乙姫警部が再び活躍する、倒叙ミステリ「愚者の選択」『七つの海を照らす星』の俊英・七河迦南さんによる、ひと夏のミステリ「千夜行」。本誌初登場の新鋭・杉山幌さんによる、青春ミステリ「光を描く」。斧田小夜さんによる、壮大なスケールで描いた第10回創元SF短編賞優秀賞受賞作「飲鴆止渇」。ベテランから期待の新鋭まで、どの作品も読み応えがあります。

 特別企画はふたつです。ひとつは、昨年『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』で年末ミステリランキング3冠を獲得した、辻真先さんスペシャルインタビューをお届けします。1月に文庫化した『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』も含めた創作秘話や、作中の舞台となった戦後当時の、貴重なお話をお伺いしました。
 もうひとつは、昨年開催されたワセダミステリ・クラブ主催の、米澤穂信さんオンライン講演会を再構成した「13冊のミステリについて」。古今東西の名作13冊の魅力を再確認できますし、ブックガイドとしてもぜひご活用いただければと思います。

 そして、老人犯罪を描いた衝撃作、櫛木理宇さん『老い蜂』がいよいよ最終回。不気味な老人が暗躍する一連の事件は、どのような結末を迎えるのか? 忘れがたい余韻が残るラストを、どうか見届けていただければと思います。
 また、本作をはじめ、大阪・船場の商家を舞台にした、芦辺拓さん『大鞠家殺人事件』と、様々な「クセの強い犯人vs.名探偵&名刑事の攻防」を描いてきた、喜国雅彦さん『嗜好機械の事件簿』は、近々、単行本でお目にかける予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。

 隅々まで目が離せない本書を、どうぞよろしくお願いいたします!