デビュー作の『ボディ・メッセージ』以降、独特の雰囲気のミステリを発表してきた安萬純一。ファンからは、“癖になるミステリ”として評判ですが、今回『星空にパレット』と題した、短編集が刊行となりました。星空のように、煌めきのあるキレのあるミステリを揃えました。ですが、アマンワールドは、今回も全開です!
それでは、作品紹介をしていきましょう。
・「黒いアキレス」←学園ミステリ???
なぜか探偵部を創設させた浩介たちは、下校途中にバドミントン部の合宿費の強奪事件に巻き込まれる。数人でその犯人を追いかけるも、あまりの足の速さに追いつけずに、見失ってしまう。数日後、味を占めたのか、犯人は再度学内で事件を起こして……。
・「夏の北斗七星」←クローズドサークル???
事故で車を失った松島と床平は、怪しげなログハウスに宿泊する羽目に。どことなく人目を避けるかのような宿泊客に囲まれる中、殺人事件が発生する。閉ざされたログハウスで一体何が起こるのか?
・「谷間のカシオペア」←メタミステリ???
新宿歌舞伎町内の雑居ビルで殺人事件が起こった。どうやら、何者かがその事件を元にミステリを書いたようだが……。アリバイを偽っているのは誰なのか? そして、小説仕立てにしたのもその人物なのか?
・「病院の人魚姫」←屋上での密室殺人???
大学病院での看護師転落死の謎を追う医師たちと警察。事件が発生した時間帯には、屋上には被害者しかおらず、歯科医である、アマン先生ならではのトリッキーな犯人像を見破れるのか?
担当個人のオススメは、最終話「病院の人魚姫」。大学病院の雰囲気が垣間見ることができて、ミステリとしても「そうきたか」という醍醐味を味わえます。外出等に制限のあるいまこそ、屋内でミステリをじっくりと味わってみてください。