銀獣、それは石の卵から生まれ、主人となる人間の想いを受けて、その姿を成長させるもの。富豪が屋敷に集めた五人の男女に言い渡したのは「一年後にもっとも優れた銀獣を連れていた者に財産を譲る」という条件だった。
金華、天璃、真弓、琥門、万禍
五人の候補者、五体の銀獣……銀獣に魅せられた五人はどのような運命を辿るのか……。

「咎人の灯台」
故郷で罪を犯し、ひとり孤島に流刑にされたヨキは、この島の灯台守として灯台の火を絶やさず五年の刑期を務めなければならなかった。孤独に耐え島で暮らすヨキ。だが、ある日ひとりの少女が流されてくる。少女の名はヒナ。故郷でヨキが愛した少女と同じ名前だった。島流しにされた青年と難破した少女、二人の交流は運命を変えるのか?

「茨館の子供達」
黄金館で母親と暮らすキア。たっぷりの愛情を注がれ、美味しいものを食べ、幸せな毎日。
だが、気になることがいくつもあった。母親は日のあるうちは地下の部屋から出てこない。館を取り囲む茨の垣根の外にてはだめ、昼間は庭で過ごしてもいいが、夜になる前に館に戻らなければならない……。ある日キアは床板の下から子供が描いたらしい、一枚の絵を見つけた。黄金館には他に子供はいないはずだけど? 昔話風のちょっとダークな物語。

時代も舞台も様々な三編が入った短編集。橋賢亀先生の美しい挿絵も美しく、〈妖怪の子預かります〉〈ナルマーン年代記〉の読者ならぜったい見逃せない一冊です。



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