あけましておめでとうございます。

恒例となっております、元日の特別企画。2021年に刊行される予定の翻訳ミステリとノンフィクションのラインナップをご案内いたします。本年も東京創元社は引きつづき、読者の皆さまに良質な作品をご紹介することでお役に立ちたいと思っております。ご愛読のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
今年も「お年玉プレゼント」企画をご用意しましたので、ぜひ最後までお読みください。

(日本語タイトルは一部を除き仮題です)


【強烈プッシュ作】

Moonflower Murders
『カササギ殺人事件』から2年、元編集者のわたしはクレタ島でアンドレアスと苦労しつつもホテルの経営に専念していた。そこへ、英国サフォーク州のホテルを所有するトレハーン夫妻が、失踪した夫妻の娘セシリーの件でわたしを訪ねてくる。8年前、その《ブランロウ・ホール》ホテルでは宿泊客が撲殺される事件が起きたのだが、アラン・コンウェイのアティカス・ピュントシリーズ『愚行の代償』に犯人のヒントが隠されており、その事件が娘の失踪にもかかわっているらしいというのだ。わたしは2年ぶりに英国に戻り、現場のホテルを訪れるとともに、忘れようとしていたコンウェイの著書『愚行の代償』と向きあう覚悟を固める……。3作品で累計15冠58万部を突破したアンソニー・ホロヴィッツが贈る、『カササギ殺人事件』の続編にして至高の犯人当てミステリが登場!


■エリー・グリフィス/上條ひろみ訳StrangerDiaries
The Stranger Diaries
【アメリカ探偵作家クラブ(MWA)最優秀長編賞受賞作】イギリスの伝統校で教師をしながら、ヴィクトリア朝時代の作家を研究しているクレア。ある日、クレアの同僚が自宅で殺害されてしまう。遺体のそばには“Hell is empty”というメモが残されていた。これはクレアが研究している作家の幻想怪奇短編に繰り返し出てくるフレーズだった。犯人はこの短編になぞらえた見立て殺人をおこなっているのか? そしてさらなる殺人も……。有名ミステリやホラーが多数登場し、本が物語の重要な鍵になるブッキッシュな一冊。CWA賞図書館賞受賞のベテラン作家が、本好きの読者へ贈る傑作謎解きミステリ!


【名匠たちの最新作】

ヘニング・マンケル(スウェーデン)/柳沢由実子訳Handen
Handen
イースタ警察署の刑事ヴァランダーは、長年住んでいる街中のアパートから、田舎に引っ越したいと常々思っていた。そんなある日、同僚が紹介してくれた物件を見に行ったところ、なんと庭から骸骨の手が突き出しているのを発見する……。『霜の降りる前に』のあとの事件を描く中編「手」と、著者自らの手による〈刑事ヴァランダー〉シリーズの各事件、人名、地名など、すべてを網羅した事典を付した、シリーズファン必読の一冊 !


ジョエル・ディケール(フランス)/橘明美・荷見明子 共訳LeLivredesBaltimore
『ゴールドマン家の悲劇』
処女作『ハリー・クバート事件』で大ベストセラー作家となったマーカス・ゴールドマン。彼は少年時代、生家モントクレアのゴールドマン家は質素だったので、弁護士の伯父と医師の伯母夫妻の裕福な家であるボルティモアのゴールドマン家に憧れていた。しかし、晩年の伯父は一人貧しく暮らしていた。それは、ある悲劇が同家を襲ったからだ。あの悲劇を食い止めることはできなかったのか? 伯父の息子で優秀だが体の弱かったいとこと、養子として引き取られた孤児でスポーツマンの同級生、二人はマーカスと仲が良く、三人はトリオで遊び回っていた。そこに難病を抱える同級生と美人の姉も加わり、少年たちの関係は危うい均衡を保つようになったのだった。ベストセラー作家となったマーカスの少年時代、作家デビュー前とそれ以後の時代を行き来し、ゴールドマン家の悲劇と崩壊の謎を解き明かしながら、マーカスの成長を描く、成長小説ミステリ。


ピーター・スワンソン/務台夏子訳AllTheBeautifulLies
All the Beautiful Lies
大学生のハリーは、父親の事故死の知らせを受けて急遽帰省する。父親は13歳年下の二度目の妻、アリスと暮らしていた。事故の日は、岸壁の遊歩道を散歩していて海に転落したらしい。だが刑事の話では、海に転落する前に鈍器で殴られていた。ハリーは父の死について話そうとしない継母の態度に違和感を覚え……。過去と現在の物語を入り混ぜながら描く二部構成で、最初の印象がある場面でがらりとくつがえる! 著者の恐るべき構成力を存分に堪能できる、これぞ傑作!


ダニエル・フリードマン/野口百合子訳12207
『もう耳は貸さない』※2月刊
わたしはメンフィス市警の殺人課の刑事の現役時代、357マグナムを手に、強盗や殺人犯を追っていた。しかし引退から数十年、89歳になったわたしは、心身ともに弱っていく日々を過ごしている。そんなわたしに、ラジオ番組のレポーターからインタビューの申し込みがあった。かつて逮捕し死刑の執行が間近に迫っている殺人犯が、捜査でわたしから暴力的に自白を強要されたと主張しているというのだ。わたしはあの事件で何をしたのか――。好評『もう年はとれない』のバック・シャッツ・シリーズ最新作登場!


【期待の新作登場!】

■スティーヴン・スポッツウッド/法村里絵訳FortuneFavorsDead
『幸運は死者に味方する』
わたしは、元サーカス団員のウィロージーン・パーカー。ニューヨークきっての、いや全米一の探偵リリアン・ペンテコストの助手だ。1945年のニューヨーク、ハロウィン・パーティ中の大邸宅の閉ざされた書斎で、女主人が水晶玉で撲殺された。直前に開かれた交霊会が、事件に関係しているのか? 母と娘ほど年齢の離れた探偵とその助手コンビの活躍を描く、ミステリ・シリーズ第一弾!


■ホリー・ジャクソン/服部京子訳GoodGirls
A Good Girl's Guide to Murder
イギリスの小さな町に住むピッパは、グラマースクール最上級生に課される自由研究に取り組んでいた。題材は5年前に起きた17歳の少女失踪事件。交際していた男子生徒が次の日に森のなかで遺体で発見され、警察は彼が殺害して自殺したと発表した。少年と親交があったピッパは今回の自由研究で彼の無実を証明するつもりだが……。何者かに脅迫され、危険な目にあっても、ピッパは粘り強く真相を追う。犯人当ての楽しさを満喫できる爽快なミステリ!


■アリスン・モントクレア/山田久美子訳RightSortOfMan
『ロンドン謎解き結婚相談所』※2月刊
舞台は戦後ロンドン。戦時中にスパイ活動のスキルを得たアイリスと、人の内面を見抜く優れた目を持つ上流階級出身のグウェン。対照的な二人が営む結婚相談所に、若い美女が入会する。奥手だが誠実な会計士を紹介したところ、女性が殺され、会計士の青年が逮捕されてしまう。彼が犯人と思えない二人は、能力や人脈を駆使して真犯人捜しに乗りだすが……。女性コンビの謎解きと、人生を切り拓こうとする勇姿を描く爽快なミステリ!


【人気シリーズ最新刊】

ロバート・クレイス/高橋恭美子訳11508
私立探偵を営む、海兵隊あがりの元警官ジョー・パイクは、銀行の帰りに窓口の女性イザベルの誘拐現場を目撃、彼女を救い、二人組の犯人を警察に引き渡した。ところが一件落着と安心したのも束の間、犯人が保釈されてしまった。それを知ったイザベルは、また狙われるのではないかと怯え、パイクの電話にメッセージを残し失踪する。だが、二人組は保釈直後に殺害されていた。パイクはイザベルの行方を追うが……。人気の著者の最新作。


ピーター・トレメイン/田村美佐子訳ActOfMercy
『憐れみをなす者』上下※2月刊
フィデルマは、単身巡礼の船旅に出ていた。修道女としての人生に疑問を抱いていたのだ。だが船には、かつての恋人キアンが乗っていた。波乱ぶくみの船旅だったが、巡礼の一員である修道女が、行方不明に。時化のなか海に落ちたと思われていたが、その後船室から血のついた衣が見つかった。殺されて海に捨てられたのだろうか? 七世紀アイルランドを舞台に、王の妹にして弁護士、美貌の修道女フィデルマが活躍するシリーズ第8弾。


C・J・ボックス/野口百合子訳StoneCold
Stone Cold
猟区管理官の職を辞したジョー・ピケットは、ルーロン知事の指示で斥候役も兼ねて現場に復帰していた。そして知事から、暗殺された疑いのある失踪人について、FBIに協力して探ることを命じられる。だが現場近くでジョーの友人であるネイトが目撃されており……。ジョー・ピケットが盟友ネイトと敵対!? 大自然のもたらす危機や卑劣な陰謀との闘いを描く、大人気冒険サスペンス〈猟区管理官ジョー・ピケット〉シリーズ最新作!


ロビン・スローン/島村浩子訳1106
『はじまりの24時間書店』(単行本)※1月刊
1969年、ひとりの大学図書館員がサンフランシスコを訪れた。数百年ものあいだ行方不明の貴重な書物(予言の書という説も!)を見つけ出す使命を帯びて。エイジャックス・ペナンブラという風変わりな名前ののっぽの青年は、手がかりを求めて街中をさまよった末、真夜中に一軒の小さな書店に行き着く。薄暗い店内に異様に背の高い本棚が並ぶその〈二十四時間書店〉は、店名どおり終日休まず営業していた――〈二十四時間書店〉の誕生秘話をまじえて語られる、本にまつわる少し不思議な冒険の物語。ペナンブラ氏の24時間書店』前日譚。


ジャナ・デリオン/島村浩子訳SwampTeam3
Swamp Team 3(ワニの町へ来たスパイ4)
町長選挙が無事に(?)終わったシンフルの町で、今度は放火事件が発生。これまでさんざんな目にあったルブランク保安官助手から、じきじきに「首を突っこむな」と釘を刺されるわたし。もちろん素直に聞くつもりはない。なぜなら、放火されたのはわたしの初めての同年代の友人、アリーの家なのだから! わけあって人口数百人の町で身分を偽り暮らすCIAスパイ・フォーチュンとその友人兼トラブルメーカーのおばあちゃんコンビが無双の活躍を繰り広げる痛快ミステリ〈ワニ町〉シリーズ第四弾、熱烈な読者の声にこたえて登場!


【非英語圏の俊英たち】

レイフ・GW・ペーション(スウェーデン)/久山葉子訳19208
殺されたのは、アルコール依存症で年金生活者の老人だった。きわめてありふれた事件。捜査にあたるのはベックストレーム警部以下、一癖も二癖もあるソルナ署の刑事たちだ。同じアパートの住人や、競馬仲間と、一筋縄ではいかない関係者にも事欠かない。有力な容疑者の一人だった第一発見者の新聞配達人が死体で発見され、捜査は混迷を極める。スウェーデンミステリ界の重鎮、『許されざる者』で5冠獲得の著者の、最新シリーズ第2弾。


ホーカン・ネッセル(スウェーデン)/久山葉子訳EnHeltAnnanHistoria
『殺人者の手記』上下
「エリック・ベリマンの命を奪うつもりだ。きみに止められるかな?」シムリンゲ署のバルバロッティ捜査官が休暇に出発する直前に郵便配達人から渡されたのは、殺人予告ともとれる手紙だった。悪戯か? 念のため休暇先から署に連絡して調べてもらうが、同名の人物が複数いて手間取っているうちに、本当に遺体が発見される。そしてバルバロッティのもとに新たな予告状が……。スウェーデン推理作家アカデミーの最優秀賞に輝く傑作。


マウリツィオ・デ・ジョバンニ(イタリア)/直良和美訳Buio
『誘拐 P分署捜査班』
ピッツォファルコーネ署管内の美術館から子どもがひとり消えた。愛称はドド、バットマンのフィギュアを片時も離さない九歳の少年だ。激昂しやすいロマーノと気取り屋アラゴーナの刑事コンビが初動捜査を進めるうち、事件は誘拐らしき様相を呈してくる。いっぽうロヤコーノ警部が担当するのは、スポーツジム経営者夫婦の自宅が空き巣にはいられた一件。室内は荒らされているものの、金品が盗られた様子はない。さらに副署長が独自に調べる一連の自殺案件にも新たな展開が……。ナポリの街で同時進行する事件をP分署の型破りな刑事たちが追う、『集結』に続く〈21世紀の87分署〉シリーズ第二弾!


【古典発掘・名作新訳版】

アガサ・クリスティ/山田順子訳ParkerPyne
『パーカー・パインの事件簿』【名作ミステリ新訳プロジェクト】
「あなたは幸せですか? 幸福でないかたはパーカー・パインにご相談ください」そんな新聞広告を見て訪れる、夫の浮気を疑う妻や、退屈した退役軍人、隣人とのトラブルに悩む女性などの悩みをパーカー・パインが次々解決する。さらにオリエントへの旅に出た彼は、旅先の各地で事件に遭遇、見事犯人の正体を見破っていく。官庁で統計をとっていたという異色の経歴をもつ探偵パーカー・パインが活躍する短編14編を収めた新訳決定版。


『復讐の女神』【名作ミステリ新訳プロジェクト】
短編を書かせては随一の巨匠の代表的作品集第二弾を新訳! 『真っ白な嘘』に続いて、奇抜な着想と軽妙なプロットで書かれた名作が勢揃い。中編「踊るサンドイッチ」を含む11編をどうぞお楽しみください。


『ジャマイカ・イン』【名作ミステリ新訳プロジェクト】
母が亡くなり、叔母の住むジャマイカ館に身を寄せることになったメアリー。だが、荒野のただ中に建つ館で見たのは、昔の面影もなく窶れ怯えた様子の叔母と、その夫だという荒くれ者の大男だった。寂れ果てた館の様子、夜に集まる不審な男たち、不気味な物音。ジャマイカ館で何が起きているのか? 『レベッカ』「鳥」で知られる名手デュ・モーリアが、故郷コーンウォールの荒野を舞台に描くサスペンスの名作、待望の新訳!


D・M・ディヴァイン/中村有希訳
The Sleeping Tiger
その日、法廷ではひとりの男がまもなく始まる裁判を待っていた。男は弁護士だが、この場所にいるのは六年前に起きた殺人事件の、ほぼ有罪が確定した被告としてだった。そう、六年前、駆け出しの弁護士だった男は、ある女性と出会う。それがすべての始まりだった……。円熟の技を持つ本格ミステリ作家が仕掛けた陥穽を見破れるか? 迫真の法廷劇と謎解きが合わさった、ディヴァイン中期の傑作登場。


■小森収編29902
『短編ミステリの二百年5』『6』【名作ミステリ新訳プロジェクト】
江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』とは異なる観点から、実作と評論の両面で短編ミステリの歴史をさぐっていく、刺激的で意欲に満ちたアンソロジー全6巻が完結を迎える。5巻と6巻の評論では短編ミステリに近接ジャンルであるSFおよび〈幻想と怪奇〉の与えた影響をさらに掘り下げ、CWAコンテストや〈ウィンターズ・クライム〉からうかがえる70年代以降のイギリス作家の「逆襲」、さらに21世紀へとつながる流れなどを論じていく。収録短編は厳選を重ねたうえ、本書のための新訳を前提に巨匠から知る人ぞ知る名手までを網羅する。


【必読ノンフィクション】

■サイモン・パーキン/野口百合子訳AGameofBirdsandWolves
『小鳥と狼のゲーム 第二次世界大戦を勝利に導いたボードゲームと女性たち』(単行本)
1942年、イギリス軍は大西洋でドイツ軍のUボートに苦しめられていた。デーニッツ提督率いるUボート戦隊は、英国船団の護衛ラインの内側に侵入し、魚雷攻撃を仕掛けてきていたのだ。なぜUボートに負け続けるのか? その謎を解明するため〈ラズベリー〉作戦が立案され、海軍婦人部隊がその任に当たった。17歳から21歳ほどの女性たちは、ボードゲームを用いて、Uボートがどのような作戦をとっているのかを解明していく――。映画化決定の傑作ノンフィクション!


■K・W・ドーソン/高山祥子訳AmericanSherlock
『アメリカのシャーロック・ホームズ 殺人、法医学、アメリカのCSIの誕生』(単行本)
アメリカでの科学捜査のパイオニアとして、鑑識技術を犯罪捜査に用いて大きな成果を上げ、"アメリカのシャーロック・ホームズ"と称されたエドワード・オスカー・ハインリッヒ。オスカーが科学捜査の分野で活躍を始めた1920年代は、未発達な法執行機関による混沌の時代だった。禁酒法の影響で犯罪率は上がり、公の科学捜査研究所ができるのは1932年のこと。オスカーは1910年に最初の個人的な科学捜査研究所をワシントン州タコマに設立して以来、現代では当然と思われているような鑑識技術を開発、初めて実際の犯罪捜査に使用した。彼が手掛けた事件を紹介しながら、誤算や誤解に苦しみながらも、犯罪捜査をアメリカに初めて導入した経緯を描く傑作ノンフィクション!!


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【お年玉プレゼント!】

東京創元社からのお年玉として、公式キャラクター「くらり」のオリジナルグッズをご用意しました。以下のものをまとめたセットを、抽選で5名様にプレゼントします!

・くらり特製シール(〈ミステリーズ!〉vol.100付録と同一のもの)
・くらり付箋
・くらりアクリルキーホルダー(全身バージョン)
・創元推理文庫創刊60周年フェア特製しおりコンプリートセット(全5種類)


newyear2021


※セットに「くらり」ぬいぐるみと牛のお面は含まれません


応募方法は東京創元社の公式Twitterアカウント(@tokyosogensha)をフォローし、下記のツイート(以下をクリック)をリツイートするだけ!


※応募締切は1月7日(木)昼12時です!
※該当ツイートをリツイートしてくださった方の中から、「5名様」を抽選で選ばせていただきます。
※ご当選者のみに、1月13日(水)昼12時までにTwitterのダイレクトメッセージ機能を使ってご連絡差し上げます。賞品をお送りするため、ご住所とご本名をお伺いいたします。ご了承のほど、お願い申し上げます。

(2021年1月1日)