もうすぐハロウィーン。ハロウィーンといえば、お化けですね。
創元推理文庫でハロウィーン気分を味わえるファンタジイをご紹介します。
まずは、可愛い妖怪が満載の〈妖怪の子預かります〉シリーズ。ものすごく美形の妖狐族の月夜公や、気まぐれが魅力の妖猫族の姫、王蜜の君など大物妖怪も魅力的ですが、なんといっても子妖怪たちが可愛い! 小さいけれど気が強い梅の子妖怪梅吉や、月夜公の甥っ子で泣き虫の津弓、双子の烏天狗の子で礼儀正しい右京と左京などてんこ盛りです。著者は〈ふしぎ駄菓子屋銭天堂〉がNHKのEテレでアニメ化され,人気絶頂の廣嶋玲子。今年は「和」のハロウィーンもいいかもと思われる方は是非お読みください。大人向けの文庫版の他にも、著者が子ども向けに直した児童書版も刊行しています。
もうひとつ妖怪といえばお薦めなのが第2回創元ファンタジイ新人賞で優秀を受賞した白鷺あおい著〈しらたまおろち、ぬばたまおろち〉シリーズ。現代日本の魔女学校ディアーヌ学院を舞台に繰り広げられる学園魔法ファンタジイ。魔女学校で学ぶ生徒のなかには、鬼やのっぺらぼう、山姥といった妖怪がいっぱい。妖怪のガールズトークも秀逸です。
忘れてはならないのが、死者を蘇らせる術で発展した王国、亀珈王国を舞台に、死霊術師たちが活躍する〈忘却城〉シリーズです。著者は第四回創元ファンタジイ新人賞佳作の鈴森琴。ゾンビではなく、死霊術で蘇った死者があたりまえに闊歩し、死者たちの代弁をする夢無予言院が国王、元老院と並び、国を司る機関のひとつである、そして死者と生者のあいだに生まれた子ども、界人が存在する独特の世界感はハロウィーンにぴったり。一度読んだら抜け出せない、くせになる面白さです。