みなさまこんにちは、国内SF担当のSF班(妹)です。
8月末発売の『Genesis  されど星は流れる』のご紹介、第五弾をお送りします。
《Genesis》シリーズは、各作品の扉裏に担当編集者による内容紹介とプロフィール紹介を掲載しています。今年はふだん主に海外SFを担当しているSF班(兄)も編集人として加わり、SF班全員で書かせていただきました。今回は特別に、刊行前にその扉裏紹介をお目にかけたいと思います。
五編目は堀晃さんの大阪SF「循環」です。
それではどうぞ!

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堀晃さんには、『Genesis 一万年の午後』所収の「10月2日を過ぎても」につづいて、今回も大阪SFをお寄せいただきました。
大阪湾の淀川河口から十キロほど上流にある毛馬閘門──南の大川へ分流させるために水面の高さを調節するエレベーター機構──のほとりで語られる、半日たらずの静かな物語です。
堀さん自身を思わせる語り手が、そこで社会人としての半生を回想しつつ、さらに水の街・大阪をめぐる歴史と幻視が挿入されます。物語の鍵となるのは、最初の毛馬閘門の設計者となった人物と、そして語り手が二十代のころに会社の片隅で見つけた奇妙な道具。
自身の半世紀におよぶ仕事、さらに大阪キタの歴史に思いを寄せ、それを川の流れとともに語る、忘れがたい好編です。前作以上に今回は水のモチーフが濃厚です。そこに「循環」するものとは。

堀晃(ほり・あきら)さんは一九四四年兵庫県生まれ。大阪大学基礎工学部卒。この作品の舞台となった紡績会社に勤務するかたわら、七〇年に短編「イカルスの翼」が〈SFマガジン〉に掲載され作家デビュー。八一年、『太陽風交点』で第一回日本SF大賞を、また八九年、『バビロニア・ウェーブ』で第二十回星雲賞を受賞しました。作品集に、短編「太陽風交点」に始まる〈遺跡調査員〉シリーズをまとめた『遺跡の声』などがあります。
(小浜徹也)

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