東京創元社では品切れ中の文庫作品を対象として、毎年"復刊フェア"を開催しています。
ここから紹介するのが、2020年9月下旬よりおこなわれる本年度の復刊フェア作品全10点です。
ご購入の参考にどうぞ。

※書店・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは9月下旬以降となります。


ホッグズ・バックの怪事件
F・W・クロフツ/大庭忠男訳
『ホッグズ・バックの怪事件』
《新カバー!》
イングランドの町で引退した医師が失踪した。三分ほど前には、くつろいで新聞を読んでいる姿を妻が見ているというのに。誘拐か? それとも数日前、彼が密かに会っていた女性と駈落ちしたのだろうか? 彼が書いていた原稿とは何か……? そしてまた失踪者が一人……。フレンチ警部が64の手がかりをあげて連続失踪事件の真相を解明する。訳者あとがき=大庭忠男


誰の死体?
ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽莢子訳
『誰の死体?』
《新カバー!》
実直な建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が出現した。場所柄、男は素っ裸で、身につけているものは金縁の鼻眼鏡のみ。一体これは誰の死体なのか? 卓抜した謎の魅力とウイットに富む会話、そして、この1作が初登場となる貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿。クリスティと並ぶミステリの女王が贈る、会心の長編第1作! 訳者あとがき=浅羽莢子


ソーラー・ポンズの事件簿
オーガスト・ダーレス/吉田誠一訳
『ソーラー・ポンズの事件簿』

シャーロック・ホームズを模して書かれた贋作、偽作の類は、天文学的な数字に上っている。中でもダーレスの創造したソーラー・ポンズは〈プレイド街のシャーロック・ホームズ〉といわれるほど生き写しのキャラクターだった。その全70編の作品中から、「アルミの松葉杖」「ファヴァシャム教授の失踪」等、聖典中の〈語られざる物語〉を取り上げた短編など13編を収録した。解説=戸川安宣


とむらい機関車
大阪圭吉
『とむらい機関車』
《新カバー!》
数々の変奏を生み出した名作「とむらい機関車」を劈頭に、シャーロック・ホームズばりの叡智で謎を解く名探偵青山喬介の全活躍譚、金鉱探しに取り憑かれた男が辿る狂惑の過程を容赦なく描く「雪解」、海底炭坑という舞台を得て物された最高傑作との呼び声も高い本格中篇「坑鬼」――計九篇に併せて「連続短篇回顧」などのエッセイと初出時の挿絵を附す。戦前探偵文壇にあって本格派の孤高を持し、惜しくも戦地に歿した大阪圭吉のベスト・コレクション。解説=巽昌章


銀座幽霊
大阪圭吉
『銀座幽霊』
《新カバー!》
探偵小説誌〈新青年〉で六箇月連続短篇執筆の重責を担った大阪圭吉は、うらぶれた精神病院に出来した事件を描く「三狂人」を皮切りに、捕鯨船の砲手が生還した一夜の出来事から雄大な展開を見せる「動かぬ鯨群」、雪の聖夜に舞い下りた哀切な物語「寒の夜晴れ」など、代表作に数えられる作品を書き上げた。本書にはそのほか筆遣いも多彩な全十一篇を収める。戦前探偵文壇に得難い光芒を遺した早世の本格派、大阪圭吉のベストコレクション。著作リスト、初出時の挿絵附。解説=山前譲


罪灯
佐々木丸美
『罪灯』

「手を下さなければ殺人ではない。私は何もしていない」偶然と悪意が重なる瞬間に“完全犯罪”を成し遂げた、春夏秋冬を名に冠する四人の少女と四つの事件。彼女たちの前に、それぞれの罪を見抜いた男性が現れる時、その心をよぎるものは――。犯罪心理と少女の心の綾を巧みに組み合わせた、全編を通して蓋然性の犯罪を扱う幻のミステリが初文庫化。「危険区域」他、全四編を収録。解説=新保博久

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青い蛇
トーマス・オーウェン/加藤尚宏訳
『青い蛇』

ベルギーを代表する幻想小説作家による、『黒い玉』と対を成す珠玉の短編集。霧深い夜、宿を求めた酒場で行われていたのは、雌豚を見に行く権利を賭けた奇妙なゲーム。それに勝ち、納屋に案内された男が見たものとは――。悪夢のような一夜の体験を淡々と綴り、長く深い余韻を残す傑作「雌豚」、奇妙な味わいの掌編「青い蛇」など16の不気味な物語を収録。解説=垂野創一郎


隠し部屋を査察して
エリック・マコーマック/増田まもる訳
『隠し部屋を査察して』

7月7日、日曜日の朝。カナダのある町に突然、幅100メートル、深さ30メートルの溝が出現、時速1600キロで西に向かいはじめた。触れるものすべてを消滅させながら……。世界じゅうを混乱に陥れる奇妙な現象「刈り跡」、不可解な死の真相を追ううちに迷宮に踏み込んでいく警部「窓辺のエックハート」、全体主義国家の支配のもと、想像力の罪を犯し幽閉された人々の、それぞれの「罪」を描く表題作など、謎と奇想に満ちた20の物語を収録。序文=エリック・マコーマック/解説=柴田元幸


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世界最終戦争の夢
H・G・ウェルズ/阿部知二訳
『世界最終戦争の夢』

サイエンス・フィクションの世界的巨人、大ウェルズの多彩をきわめる作品群から精選してお届けする短編集。第二次世界大戦を予見したかのごとき悪夢を描いた表題作をはじめ「アリの帝国」「森の中の宝」「めずらしい蘭の花が咲く」「海からの襲撃者」「盲人の国」など、必読の傑作中短編全12編を精選した。訳者あとがき=阿部知二(初刊時タイトル『ウェルズSF傑作集2』を改題)


地球の静止する日
アン・マキャフリー/酒匂真理子訳
『歌う船』

金属の殻に封じ込められ、神経シナプスを宇宙船の維持と管理に従事する各種の機械装置につながれたヘルヴァは、優秀なサイボーグ宇宙船だった。〈中央諸世界〉に所属する彼女は銀河を駆けめぐり、苛烈な任務をこなしていく。だが、嘆き、喜び、愛し、歌う、彼女はやっぱり女の子なのだ……! サイボーグ宇宙船の活躍を描く傑作オムニバス長編。解説=新藤克己


※書店・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは9月下旬以降となります。


(2020年9月4日)