ドッペルゲンガーをご存知ですか?
自分そっくりの幻、または妖魔、ともかく超自然の存在で、その姿を見た者の死の前兆とも言われます。


高校3年生の少女遠野美弥。とりたてて勉強ができるわけでも、綺麗なわけでもない。何事にも真面目に取り組むのだが、要領が悪いせいか、必死で勉強していてもなかなか成果がでない。自分の目標をしっかり定めている友人たちと比べて、ふがいない自分がつくづく嫌になってる今日このごろだ。。
そんなある日、クラスメイトの男の子に「遠野、おまえ一昨日、旧校舎に行ったりしてないよな?」と聞かれた。
聞けば、旧校舎には学校の七不思議のひとつ、呪われた鏡があり、その鏡に姿を映すと鏡の中の自分が抜け出して襲いにくるのだとか。
旧校舎は現在部室などに使われている古い建物で、部活をしていない美弥が立ち入ったことなどない。それにそもそも美弥は鏡を見るのが怖いのだ。
最初は男子生徒の見間違いだろうくらいに思っていた美弥だったが、その後も行った覚えのないところで美弥を見たという話が続いた。
そんなある日の夕方、黄昏どきに自宅へと向かっていた美弥の行く手に、自分とそっくりの少女の姿が……
そんなことがあるはずがないと、頭ではわかっている。見間違いだ、人違いだ。だが、ずっと見るのを怖れていた自分がそこにいる。
いきなり踵を返し遠ざかるもうひとりの自分を夢中で追った美弥は、階段をふみはずしてしまう。
そんな彼女を救ったのは、一頭の大型犬とその犬を兄とよぶ不思議な少年朱鷺だった。
一族の蔵から盗まれた呪われた品々を集めるべく旅をしているという朱鷺は、美弥の周囲で不気味な出来事が起きていることを見抜くのだが……

受験を目前の少女周辺で起きる怪現象、呪われた品をあつめる奇妙な少年と犬、『魔導の系譜』のシリーズの著者がおくる、夏を涼しくしてくれるシリーズ第一弾です。