【あらすじ】
1967年のイギリスで、4人の女性科学者がタイムマシンの開発に成功し、300年先の未来までの時間旅行が実現。そして時間移動を厳格に管理すべく、〈コンクレーヴ〉と呼ばれる国家からも独立した巨大なタイムマシン運用組織が誕生した。時間旅行を独占するのはもちろん、タイムトラベラーが起こした犯罪も、この組織が独自に対処する。だが、タイムトラベルには精神に及ぼす深刻な副作用があった。ある殺人事件に遭遇した女性オデットが〈コンクレーヴ〉に潜入し、事件の調査を進めるうちに、その恐るべき事実が明るみに……
9月上旬に刊行される創元SF文庫の新刊『時間旅行者のキャンディボックス』は、“タイムトラベル”ד心理学”という異色の時間SF。
物語は、密室状態で発見された身元不明の射殺体に関する捜査を軸に展開しますが、そのなかで浮かび上がってくるのは「タイムトラベル」というきわめて特殊な新テクノロジーが人間の精神に及ぼす影響。第一発見者として殺人事件に巻き込まれたオデット、タイムマシン開発者のひとりでありながら組織から排除されたバーバラ、その孫で心理学者のルビーという3人の主要人物の視点から、事件の真相とともにタイムトラベルの特異な影響が徐々に明かされてゆきます。
現役の臨床心理士でもある著者が、これまでにはないユニークな着眼点から描く斬新な時間SF、どうぞお楽しみに!