将棋の世界では、藤井棋聖の活躍が目覚ましい。人気も凄い。対局時の昼食が話題になるだけでなく、付けているマスクまで売れているそうだ。なんでも福井県の帯メーカーが作った絹製のマスクで、数日で数万枚売れたという。さてその藤井棋聖は、AIをベースに将棋の勉強をしていると聞いている。将棋の名人がAIに負けたのはいつだったろうか。囲碁でも当時の第一人者、韓国のイ・セドル九段がアルファ碁に負けている。

将棋だけでなく、囲碁に於いてもAIとの勝負というのではなく、AIの考え方を学ぶという共存の時代になってきている。自分の好き嫌いに関わらず、相手がAIの手法を参考に打ってくれば、対応を迫られることになるのだから。

さて、おおよそ「次の一手」というのは配石とか構想によって決めていくものだが、私たちは先人たちがつちかってきた常識に縛られすぎていたように思う。定石だから打つというのではなく、「定石とは何か」が改めて問われることになった。AIの影響で、今まで考えられなかった手、早期の<三々入り>だとか、過去に悪いとされた打ち方を再考しなければならなくなってきた。

本書は、そういった研究の内容をプロ棋士が対局で使うような手法も取り入れて「次の一手」の問題集として構成したものである。

失敗図には、今まで常識としていた打ち方も含まれている。正解図と失敗図の優劣の差が小さいようでも、その小さなポイントの積み重ねが優位に打ち進める為には重要である。なお本書の内容をただ覚えるだけではなく、自分なりに一手一手の意味を考えてみるこそが重要である。そうすれば、棋力向上の一助になるはずである。