第7回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」にはじまる、イヤミス連作集『強欲な羊』の衝撃を皆さんは覚えてらっしゃいますでしょうか? この『強欲な羊』から8年、著者が原点に立ち返って描いた続編、『暗黒の羊』がいよいよ登場しました。イヤな読み味もさらにパワーアップした今作にご期待ください。
“羊の皮をかぶった狼”たちの話ではなく、今回は“黒い羊”たちの話です。
『強欲な羊』の世界から数年後が舞台。あの姉妹が殺し合ったという洋館の噂は、途絶えるどころか未だ健在で、近隣の羊が丘女学院や、物件として取り扱っている不動産業者内でも囁かれている。「あの洋館の六角形の部屋で、羊目さんにお願いをすると……」
それでは各編を簡単に紹介していきましょう。
「炎上する羊」……SNSにはまって過激な動画のアップに執念を燃やす女。いま話題のSNS映えを狙う女たちを扱った作品です。“映え“も美輪さんにかかるとこんなに怖くなるなんて。
「暗黒の羊」……女子高内でのトラブルから同級生の殺害を目論むものの? 女性同士の黒い話をさせたら一級品。美輪さんの筆さばきすごいです。
「病んだ羊、あるいは狡猾な羊」……隣の部屋の夫婦が心配で仕方のない女。心配が徐々にエスカレートしていくと、一転して――マンションに帰るのが本当にイヤになります。
「不寛容な羊」……大雪の日、車の故障で緊急避難的にとある家を訪ねた男性が出会ったのは不可思議な女たちだった。怪しげな女たちが出迎えた家、この登場人物たちはどこかで――
「因果な羊」……あの洋館を買取りたいという女と現地を訪れた不動産業者の女子社員が見たものとは? 恐怖の根源となった洋館を買取りたいなんて、はたしてどんな人物なのか。読むと納得です!
どの登場人物も一癖も二癖もある、美輪さんならではの作品集となっております。