その時に取材した3人のママたちは、わたしが常々憧れている素敵なスウェーデン人のママだ。うちひとりはお子さんがADHD(注意欠陥多動性障害)で特殊学校に通っていて、もう1人は兄弟2人ともがアスペルガーだと診断されている。苦労も多いと同時に、自分たちにとっての幸せの形をしっかりとわかっているママたちである。
 そして肝心の〝ママ友〟だが、結局たどり着いた結論は「どうやらママ友グループというものは存在しない」というものだった。「この取材、そんなオチでよいのか?」と不安になったが、実際にそうなのだから仕方ない。もちろん気の合うママと女友達として親しくなることはあるだろうが、グループとか派閥といったものは確かにない。わたしが仲間に入れてもらえなかったわけではないのだ。そもそもグループが存在しないのである。
 それでは子育ての悩みや愚痴を誰かと共有したいときはどうすればいいのか? わたしが取材したママたちは、悩みがあれば真っ先に相談する相手は子供の父親つまり自分の夫だと即答した。自分以外に子供のことを誰よりもわかっているのは子供の父親なのだから、当然といえば当然だ。
 そういえばわたしも、週に何度も夫と仕事の合間に街でランチをして、子供の育て方を相談し合っていた。例えば娘が「i P a d ばかり観ている」「小学校の宿題をやりたがらない」といった悩みがあれば、2人で相談して「今日からこうやってみよう」と取り決め、うまくいかなければ次のランチのときにまた別の解決策を探るというのを繰り返してきた。だから他のママに相談したいと思ったこともなかった。最強の〝ママ友〟は、自分の夫。だからスウェーデンにはママ友グループが必要ないのだ。