累計650万部を超える大ヒットシリーズで、アニメ化もされた《彩雲国物語》の著者、雪乃紗衣。2020年4月に刊行される新作『永遠の夏をあとに』は、少年少女の切ない交流を幻想的な筆致で描いた、最高傑作です!
全国の書店員さんからも、絶賛の声が続々と届いております(お名前の五十音順)。
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◆読み進めると、小学校の夏休みの記憶が泡を吹くようにポカリ、ポカリと蘇ってきた。当時はまるで時が止まっているように長く思えたけれど、今にして思い返せば、なんて贅沢な時間を過ごしていたのだろう。かけがえのない記憶を巡る旅は、過去の自分との対峙でもあることを教えてくれた。ありがとう。
――文教堂商品本部 青柳将人さん
◆子供が抱えるには重すぎる物を持つ彼らに胸が締め付けられる。可憐な花のようなサヤの存在に穏やかな気持ちになる一方、彼女は一体誰でどこから来たのか、拓人に失くした記憶の中に何があったのか気になって読み進めた。後半にいく程ただただ切なく、詩的な文体の美しさが同時に酷く残酷でもあった。
――東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん
◆幼い日のセミの声が響く夏の陽射しの強い頃、全ては幻だったのか!? 人を恋する気持ち、人を大切に思う気持ちは、決して色褪せることなく、やがて大人になっても、心の中に切なく残っているに違いない。この、人を想う、ともに苦しい、そして苦い、きゅうっとなる気持ちを、皆さまにも大事にして欲しい。
――書泉芳林堂書店高田馬場店 江連聡美さん
◆深い沼のような、輝く星空のような。読了後も頭がこちら側に戻って来ない。少しずつゆっくりと読んで行きたい作品。
――紀伊國屋書店笹塚店 小川由起さん
◆少年時代の情景が凝縮された結晶のような物語。暑すぎる陽射し、青い空と白い雲、夏の匂いと幼い恋心……。まだ世界の輪郭が曖昧だったあのころを思い出し、それを手放して大人になってしまった自分に気づいて、せつなくなった。
◆かつて少年だったころを忘れていた。
ただ幼いだけでなく、見える世界そのものが違った少年のころ。
太陽の熱さも、自販機で買ったソーダの冷たさも、夏の匂いも、一緒にいるだけで最強だと思えた友人も、好きな子へのよくわからない気持ちも、全部が少年だけが感じとれる世界だった。思い出すことさえなくなってしまった、あのみずみずしい情景を引っ張りだされて、せつなくなった。
ああ、自分は失ってしまったんだな、と。
大人になったということかもしれないけど、大人になってしまったんだな、とも思う。これから歳を重ねて、さらに少年時代は遠くなっていくのだろう。
せめてすべてを忘れてしまわないように、またいつか少年だった自分に会いたくなったら、この本を読み返そうと思う。
――(2つともに)戸田書店新潟南店 小林典朋さん
◆真夏の田んぼ、畦道、神社、祭り…情景描写がとても綺麗で頭の中では常に映像で再現されリアルに読めました。拓人の周りとの関係性、サヤとの過去、少しずつしか明らかにならず最後のページまで本当にやきもきしました。不思議な、しかしとても綺麗な物語でした。
――紀伊國屋書店佐賀店 鳥居清香さん
◆人と人でないもの、良くないもの、優しいもの、美しいものが同じ濃度で溶け込んでいる濃密な夏の情景にくらくらしました。
1999年7月、世界は終わらず、続く世界の中で約束を守った拓人君は最高にいい男です。
――書泉ブックタワー 山田麻紀子さん
◆神隠しにあった主人公がずいぶん大人びた小学生だなと終始感じながら読んでいました。
中高生が主人公の方がしっくりくるのではないかとさえ思っていました。しかし彼に迫られた選択、幼い小学生故に素直に返した答えが、こんなにも様々な人の人生に影響を及ぼしたのか。それがわかると納得し切ない余韻がすごかった。
――名古屋大学生協南部生協プラザ 渡邉典江さん
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また、担当編集者および担当営業者からの、感想コメントも紹介いたします。
美しく繊細な筆致で彩られた、少年少女の友情、勇敢さ、そして恋心。残酷なまでに変わっていく時間の中で、彼らがたったひとつの“変わらない大切なもの”を守り抜いた姿に、心を揺り動かされました。一度読んだら二度と忘れられない、鮮烈な夏の物語を、ぜひ。
(編集部 I)
幼かっただけの日々から、大人への階段を上り始める多感な少年時代の鮮やかなきらめきと切なさを見事に描いた作品です。失ったものを取り戻すためにあきらめずに手を伸ばす、その強さが生んだ感動の結末をぜひ味わってほしい。
(営業部 M)