警察+検察の矛盾を暴き、
真実へ辿りつけ!
みなさんこんにちは。2018年4月刊行の『弁護士アイゼンベルク』の続編、『突破口』がついに刊行となりました!
著者のアンドレアス・フェーアは1958年、ドイツのバイエルン州生まれの作家です。バイエルン州の放送メディアで法律関係の職務に携わりながら、1991年からミステリ・ドラマの脚本家として活躍していました。そして2009年に発表したデビュー作Der Prinzess-innenmörder(お姫様殺し)でフリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)新人賞を受賞します。以降、同書を含む警察小説シリーズで一躍人気作家となります。
そんな彼が自身の法律家としての経験を活かして発表した新シリーズ第一弾が、『弁護士アイゼンベルク』。刑事事件専門の敏腕女性弁護士ラヘル・アイゼンベルクが主人公です。ショッキングな幕開け、二転三転する事件、そして熾烈な裁判の果てに明らかになるあまりに意外な真実。まさに一気読み必至のエンターテインメントです!
そしてついにシリーズ2作目となる『突破口 弁護士アイゼンベルク』が刊行となりました。まずはあらすじを……。
刑事弁護士アイゼンベルクは、映画プロデューサーのユーディットから弁護を依頼される。ログハウスにプラスチック爆弾を仕掛け、遠隔操作で恋人を爆殺した容疑で逮捕されたというのだ。ユーディットは無実を主張するが、自宅から爆薬の包装紙と起爆装置が発見され……。鋭い洞察力と行動力を武器に事件に挑む凄腕の女性弁護士の活躍を描く、疾走感溢れるエンターテインメント!
このあらすじで「爆殺!?」と思った方が多いのではと思いますが、本国でのあらすじを読んだときのわたしもそうでした……。日常とはかけ離れた単語ですからね。でもこのド派手な事件の幕開けからわくわくすること間違いなしです! そして前作よりさらにスピーディで意外性に満ちた展開が繰り広げられ、まさに「100%読む手が止まらない」弁護士ミステリなのです!
前作に引き続き、とてつもない行動力で警察や検察の矛盾をつき、事件をひっくり返そうとするラヘル・アイゼンベルクの活躍にご注目ください。いろいろなピンチに陥るのですが、それを見事に回避してみせる姿が格好いいです。そして今回はさらに、ラヘルの依頼で警察が捜査を終了した爆殺事件を調べ直す、私立探偵のアクセル・バウムが登場。1980年代に旧東独国家保安省の職員だったという人物です。地味に徹しつつもなかなか味のあるキャラクターで、ラヘルと協力して依頼人の無実を証明するべく奔走します。
実は、本書の原題Eifersuchtは「嫉妬」という意味なのですが、邦題は『突破口』としました。爆殺という事件やラヘルの活躍ぶり、スピーディで力強い本書のイメージを出したいと思い、「敵陣の一部を突破して作った攻め口」(大辞泉)の意味で「突破口」を選びました。さらに「突破口」には、「困難や障害を乗りこえる手がかり」(大辞泉)という意味もあります。こちらのイメージについては……、ぜひ本書を最後まで読んで感じ取っていただければ幸いです。
本国ではまだこの2冊目までしか発売されていないので、ぜひ『弁護士アイゼンベルク』とあわせてお楽しみいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします!