不慮の事故で仲間を撃ってしまった人工知性(マ・フ)のナサニエル。
罪の意識に苛まれる彼の目の前に現れたのは――
「一万年の午後」(『Genesis』一万年の午後』収録)の続編を特別読み切りで贈る

人類がとうに絶滅した未来。広大な宇宙では、かつて人の手でつくられたロボット――マ・フたちが、人間の遺した〈聖典(ドキュメント)〉にしたがって惑星調査をつづけていた。姿形がすべて同じにデザインされたマ・フたちは、〈聖典〉を何より大切にし、「特別はつくらない」をモットーに穏やかな日々を送っていた。しかしあるとき、彼らの間に生じた小さな「特別」が、長い長いあいだ保たれてきたこれまでの世界を変えることに……


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【特別読み切り】久永実木彦「口風琴」を読む


久永実木彦(ひさなが・みきひこ)
1975年生まれ。2017年、「七十四秒の旋律と孤独」で第8回創元SF短編賞を受賞しデビュー。2018年、書き下ろしアンソロジーシリーズ《Genesis》創刊号に「一万年の午後」を掲載。