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「父を殺したのは、母です。さようなら。いつか母に天罰が下ることだけを願って」
父の死後、生命保険金と遺産、そしてビジネスを引き継ぎ、生き生きと活躍し始めた継母の姿に、女子高生の瑠璃は「この若くて美しい継母が父を殺したのだ」と確信します。しかし、証拠はなく、誰にも信じてもらえません。絶望した瑠璃は継母の罪を告発するため、遺書を残して死ぬことを決意したのでした……。
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瑠璃は両親の影響で占いや風水に詳しく、六曜に沿って行動します。六曜とは仏滅や大安などに代表される六種類の吉凶日のこと。この六曜が事件の展開にも影響しますので、簡単にご説明しますと……。
・大安(たいあん、だいあん)
「大いに安し」の意で、大吉日とされる日。六曜の中で最も吉の日とされる。何事においても吉、成功しないことはない日。
・赤口(しゃっこう、じゃっこう、しゃっく、じゃっく、せきぐち)
もともとは人間を悩ませる中国の鬼の名前。午の刻──午前十一時頃から午後一時頃まで──のみ吉で、それ 以外は凶とされる。赤という字から連想される火や刃物に、特に気をつける日とされている。
・先勝(さきがち、せんしょう、せんかち、さきかち)
「先んずればすなわち勝つ」の意味。急用や訴訟などを行うのに良いとされ、何事も急いで早く行うと 幸運が舞い込む日。午前中が吉、午後は凶。 別名、「速喜」「即吉」。
・友引(ともびき、ゆういん)
大安に次ぐ吉日。朝晩は吉、昼は凶。一般的に、「友を引く」と言われ、慶事は吉だが葬儀などは縁起が悪いとされている。かつては「勝負なき日と知るべし」と言われ、何事も引き分けになる日、つまり「共引」とされており、現在のような意味はなかった。
・先負(せんぷ、せんまけ、さきまけ)
「先んずれば負け」という、先勝とは逆の日。この日は平静を守って吉、また午前は凶、午後は吉という。勝負事や急用、公事は避ける
・仏滅(ぶつめつ)
仏も滅するような大凶日。 何事も遠慮する日、病めば長引く。しかしもともとは「物滅」とされ、物がいったん滅び、新たに物 事が始まる日とも言われている。
(単行本より引用)
『自殺予定日』文庫発売日2019年5月31日は『赤口』でした。「午前11時から午後1時までが吉」なので、書店さん開店と同時にご購入いただくのが良いかもしれません!?
瑠璃の遺書から始まるこの作品は、占いや六曜、料理など多彩なモチーフが巧みに組み込まれ、ラストページまで目が離せないノンストップ・ミステリです。