フェルディナント・フォン・シーラッハは1994年からドイツのベルリンで刑事事件弁護士として活躍し、2009年に『犯罪』で作家デビューしました。この作品は本国でクライスト賞を受賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝きました。鋭利で洗練された文体と深みのある物語性で絶大な反響を巻き起こしただけでなく、『このミステリーがすごい!2012年版』海外編で2位にランクインするなど、ミステリとしても高く評価されました。その後『罪悪』『コリーニ事件』などを上梓し、2013年に刊行された本書『禁忌』(原題Tabu)は世紀の問題作として、ドイツのみならずヨーロッパの読書界を驚嘆させました。



『禁忌』は2015年にドイツ文学翻訳家の酒寄進一先生の翻訳で日本版を刊行し、〈週刊文春〉の2015年ミステリーベスト10/海外部門で10位にランクイン。また、文学・ミステリ界だけでなく演劇界にも魅力が伝わり、日本で世界初の舞台化が実現!『TABU タブー ~シーラッハ「禁忌」より~』として新国立劇場 小劇場、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールなどで上演されました。

そんな話題作がついに文庫化! 内容については、多くを語りません。ぜひご一読いただき、法廷で暴かれる想像を絶する真実と、登場人物たちの感情や思惑に考えをめぐらせていただけますと幸いです。めったに味わえないような、とてつもない読書体験をお約束いたします。単行本時に好評を博した著者の日本版オリジナルエッセイ「日本の読者のみなさんへ」も再録。また、酒寄進一先生による訳者あとがきは、「文庫版に寄せて」が追加となっています。シーラッハ氏が目指すところとは……非常に示唆に富んだ文章です!

そして、2019年に弊社からシーラッハの新たな短編集を刊行! 昨年本国で発売となったStrafe(刑罰)です。ドイツでは20万部以上の大ベストセラーとなっているとか。『犯罪』『罪悪』に連なる第三短編集であり、さらなる驚きもあるものすごい作品です! どうぞお楽しみに。

『禁忌』文庫版は2019年1月12日発売です!

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■フェルディナント・フォン・シーラッハ『禁忌』あらすじ

ドイツ名家の御曹司ゼバスティアンは、文字のひとつひとつに色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性の誘拐・殺人容疑で緊急逮捕されてしまう。取り調べの際、捜査官に強要されて殺害を自供したゼバスティアンを弁護するため、ベテラン刑事弁護士ビーグラーが法廷に立つことになった。緊迫感に満ち満ちた裁判の行方と、あらゆる者の想像を絶する驚愕の真相とは。『犯罪』で2012年本屋大賞翻訳小説部門第一位に輝いた著者が「罪とは何か」を真摯に問いかけた恐るべき問題作。